ふたつのアルプスを望む直売所：南箕輪村｜NOW特集

農と食をつなぐ直売所の旬を徹底取材！

新鮮・安価・安心に加え、
ご当地ならではの「＋α」があるのが直売所の魅力。
農業とおいしいものを愛する編集部が信州の東西南北をかけめぐり、
知る人ぞ知る穴場商品から噂の仕掛人まで、
信州の直売所の魅力をあますところなくお伝えします！

【直売所レポート！ No.16】
ファーマーズあじ～な（南箕輪村）

長野県の南部にある上伊那郡南箕輪村は、西に中央アルプス、東に南アルプスと、2つのアルプスを望む地域。その雄大な眺望も一緒に楽しめる直売所「ファーマーズあじ～な」は、県道伊那箕輪線（春日街道）沿いにあります。地域のみなさんに親しまれている人気の直売所です。

中央アルプスを背景に

JA上伊那最大の生産者直売施設

中央自動車道・伊那インターから車で5分。便利な立地にあることから、週末には県外ナンバーの車両も目立つ駐車場。ところが、日ごろから店内を忙しく動き回る千野泰孝店長は、「地元の方に多く利用していただいている直売所です」と、顔なじみの多い来客を元気に迎えます。
「あじ～な」は、地元南箕輪村をはじめ伊那市や駒ヶ根市など8市町村から年間約800人、常時200～300人の登録生産者が季節の野菜や果物、花、加工品などを出品しています。

千野店長。26歳と若く元気な店長さんです

「お客様が見やすいよう、農産物は段差なく並べ、できるだけ見やすく、彩りよく見えるようにしています」と今春から店長に就いた千野店長。店舗に入った時から感じる、ゆったりとした店内の広さは、高い天井だけでなく、平棚に並べることで、1つひとつが目に入るように工夫されたレイアウトにあることが分かりました。
それに、旬のものは入口近くにあることで季節感が分かります。取材に伺った日はハクサイが店頭に並んでいました。それから奥に進むにつれてブドウ、ナシ、リンゴと地元産の味覚が続き、秋の収穫期に入っていることが実感できました。

おいしい食べ方を手書きのレシピで紹介

天竜川の上流に位置する上伊那エリアは、河岸段丘の地形を生かして様々な農産物が作られています。そろそろ終盤を迎えるキュウリやナス、トマト、トウモロコシなどの夏野菜のほか、これからはリンゴ、ナシ、ブドウが最盛期を迎えます。
店内に並ぶ農産物の見やすさに、さらにひと工夫されているのが手書きの文字で書かれたポップ（商品名を書いた紙）や、同じく手書きの文字で印刷されたレシピです。これらは店内の「食育ソムリエ」（一般社団法人JC総研の認定資格）のスタッフが担当し、ポップを書いたり、季節の素材で作るレシピをチラシにしたりして紹介しています。

カボチャ売り場にはカボチャのレシピ、ジャガイモ売り場にはジャガイモのレシピといった具合に、旬の素材を美味しく食べるヒントが書かれています。直売所で野菜を見つけても、どうやって食べたら良いか分からない時や、ワンパターンになりがちなメニューのバリエーションを広げたい時にもありがたい存在です。手書き文字の温かさから「地元の食材を食べてほしい」という思いも感じられます。

食育ソムリエからの提案も

地粉を使った麺類はお土産におすすめ

また、上伊那エリアが全国シェアの約7割を生産している自慢の小麦「ハナマンテン」もおすすめの1品。グルテンが強い超強力タイプの小麦粉で、手作りパンやピザなどに適しています。
このハナマンテンを使った乾麺のうどんや、スープ付きのラーメンなどもあり、自宅で手軽に調理して食べたり、お土産にしたりできます。
ほかに地元産のそば粉を使ったそばもあります。

コシの強い小麦粉「ハナマンテン」。てんぷらには向いていないようです...とアドバイスも

いつでも新米の味わいが楽しめる精米も

精米コーナー

これからは新米の季節。店内では精米にも対応しており、いつでも精米したての米を持ち帰ることができます。精米は玄米の表皮を少し削る3分づきから8分づき、白米、無洗米まで好みの分づきに対応してもらえます。こうした臨機応変な対応が好評で、コシヒカリだけで年間2tもの精米に応じているそうで、そのおいしさや人気ぶりがうかがえます。