[]

大樹の、安曇野うまい米づくり農事録 第7回

皆様こんにちは。10月は大型の台風が日本各地に甚大な被害を落としていきました。毎年大きな災害が多すぎて復興の手が追い付いていないように感じます。長野県千曲川流域も大変なことになっています。水に浸かったリンゴを地面に落とす作業は見ているだけで心が痛みます。

安曇野市は幸い大きな被害は出ませんでした。しかし、それで良しとせず自分事として受け止め、災害に強い農業の実現のために経営改善をしていきたいと思います。我が家では第一歩としてハウスの補強をしました。

 

10月は麦まき。なのですが、、、

安田さん農事録

 

11月に入ってからは今までの曇天が嘘のように晴天に恵まれています。全く見えなかった北アルプスも気づけば紅葉真っ盛りの様子。常念岳の頭には初雪も見えました。春夏秋冬のなかで秋が一番好きなのですが、今年の秋は短く、どうやらすぐそこに冬がいるようです。
本来であれば10月は麦(大麦)撒きの時期なのです。しかし台風の大雨で田んぼに水がしっかり溜まってしまい、麦まきが出来ません。

安田さん農事録

 

麦は湿害の影響を大きく受けます。条件の良いときにまかなければ上手く発芽してくれません。出来るだけ圃場に水が溜まらないように、鍬を片手にせっせと排水を切って回ります。
乾いた圃場から虫食いの様にして麦まき準備を始めます。秋まきの作物は適期を過ぎると生育に大きく差が出るので大忙し。今年収穫した麦の様に最高の出来になればいいのですが、自然相手の職業なので中々そう上手くはいきませんね(-_-;)

安田さん農事録

 

連作する圃場や1年おきに麦を作る圃場には鶏糞を撒きます。有機質の肥料を入れることで微量成分を補充し、連作障害を防ぐためです。トラクターの後ろに付いているのはマニアスプレッダーという機械。堆肥など湿気った土のような形状の肥料を均一に撒くことが出来ます。そしてロータリーで土を細かく耕起したら麦まき準備の完了です。

安田さん農事録

 

あとはお馴染みのロータリーシーダーで種と肥料を同時にまいていきます。10月中には終わっていなければいけない麦まき。実は11月に入ってもまだ終わっておりません。台風前にまいてあった圃場は湿害で発芽せず、まき直しをした圃場もありました。この記事が掲載される頃には終わってないとやばいぞ。

 

レッツスパークジョイ!

さて、話は少し戻ります。稲刈りが終わったらすぐ麦まきといければいいのですが、ちゃんと使った機械を全部綺麗に掃除しなければいけません。米一粒残らず綺麗にしなければ虫が入ったりネズミが付いたり、来年使う時に違うお米が混ざったりといけないことばかりです。
仕事場や機械は常に綺麗にしておきたいので、シーズン終わりの掃除は特に徹底的にやります!

安田さん農事録

 

マニュアルを見ながらバラせるところは全部バラします。体中ホコリだらけでチクチク、目も痛くなりますが、機械がまた新品の様になると心まで洗われたようで、気持ちよくなりますね。汚い機械にはときめきませんが、綺麗な機械が整然と並んでいたらめっちゃときめきます! 掃除をしながら点検もすれば、冬場を使ってゆっくり修理もできるので、掃除片付けも農作業の大事な仕事の一つなのです。ときめく作業場を目指して、レッツスパークジョイ!

 

○○の秋!!

皆さんは○○の秋と聞かれたら何を思い浮かべますか? 食欲、スポーツ、読書、実り、イベント、芸術等々ありますが、農家としてはやはり「収穫の秋」でしょう。我が家の家庭菜園も収穫の時期を迎えております。

安田さん農事録

 

生姜、人参、山ごぼうは使う分だけみんなで川で洗います。綺麗になった野菜は気持ちよさそう(^o^)

安田さん農事録

 

さつま芋掘りは、つるを退けて万能鍬で芋のまわりの土をほぐしていきます。こちらの農業女子たちは鍬で芋を刺す名人! 刺しちゃった芋は豚汁にして食べようね(笑)

安田さん農事録

 

やっとの思いで引き抜いた芋は大物ばかり! 今年は逆に大きく育ち過ぎました(^^;) 食べるにはちょっと難儀しますが、子供は大きい方が嬉しいんですよね♪ 大物を掘り起こして満足の様子でした。

安田さん農事録

 

栗も食べるまでが大変ですが「THE 秋」って感じですよね。必要な分だけ拾って栗ご飯と渋皮煮にしました。
新生姜は酢漬けでボリボリと食すも良し、贅沢に生姜シロップにするも良し。人参大根白菜キノコは鍋や汁にすればあったまりますよね~。山ごぼうの漬物は最高に美味しいし、さつま芋は焼き芋や干し芋にして冬のお茶菓子にします。
大昔は人間だって冬の到来に備えてしっかりと食料や脂肪を蓄えていました。ちゃんと冬を越せる様に秋収穫の作物は保存性の高いものが多い気がします。そしてこの時期にみんな食べられるように成熟するんですね。今は年中食べ物に困ることはありませんが、本来であればこの時期は生物的にしっかりと食べるべき季節! 個人的には太るとか気にせずしっかり食べていいと思います。
現代社会はカロリーばかり気にするあまり、必要な栄養を取れていない方もいるように思います。食べ物はカロリーだけで出来ているのかい? 必要なものだけサプリでとればいいのかい? 作物だって化成肥料だけだと連作障害で上手く育たないように、大事なのは多くの微量成分や栄養のバランスなんです。
だから食材は全部まるごと食べることに意味があると思うのです。何か一つの成分を摂取しても、その成分が働くためには他の多くの成分が必要だったりするわけです。でもまぁ、利便性を追求する現代社会、それってなかなか難しいことですけどね。

 

農事録番外編
長野県のおいしいおつまみ:11月

11月のおつまみは大人の秋の味覚「雑きのこ」!
今年の9月に雨が殆ど降らなかったため、本来であれば10月に出るきのこが凄く少ないみたいです。私は庭で椎茸を育てるくらいで、直接山へ採りにはいかないのですが、10月になると知り合いから沢山の雑きのこを貰うので毎年楽しみにしています。

安田さん農事録

 

今年はこれだけ。貴重な山の幸です。「リコボウ」と「クリタケ」が多かったです。

安田さん農事録

 

雑きのこはしっかり洗ってごみを取り、きのこ汁にしました。この独特の食感と味は雑きのこでしか味わえません。あ~、きのこ汁と熱燗が冷えた身体に染みる~~。

安田さん農事録

 

庭で採れた椎茸はシンプルに焼いて、おろしと醤油でパクリ。おろしにした大根も畑で採れたばかり。旬と旬のコラボレーションに間違いはありません! 欲を言えば雑きのこで「きのこおろし」を食べたかった。

というわけで、今年は本当に雑きのこが貴重なようなので、飲み屋さんで雑きのこを見つけたら迷わず注文しましょう!
あと、きのこを貰う時は信頼できる人から貰いましょうね。きのこを採りに行くときも確信が持てないきのこは採らないようにしましょう。食中毒にはくれぐれも気を付けて、秋の味覚を存分に楽しみましょう!

ではまた次回!

1573570800000

関連記事

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第4回
飯島さんの農事録

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第4回

大樹の、安曇野うまい米づくり農事録 第3回
大樹の農事録

大樹の、安曇野うまい米づくり農事録 第3回

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第8回
飯島さんの農事録

仲間と楽しく、農業を。飯島さんの農事録 第8回

田舎で暮らそ。移住女子の就農奮闘記 Vol.3
松野さんの農事録

田舎で暮らそ。移住女子の就農奮闘記 Vol.3

新着記事