浦部さんの農事録
[浦部さんの農事録]

新しく農家になったふたりの農事録 第12回

連載※長野県北安曇郡松川村の浦部勇一さん(39歳)と同い年の千代美さんご夫妻に、月々の農事などを伝えていただきます。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録し、今年の4月に独立した新規就農者のひとりです。

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すっかり寂しくなった田んぼ
漬けられるのを待つ固大根
化粧を落として甘くなる渋柿・・・
安曇野は冬に向かってまっしぐらです。

nouji12-3.jpg起こしの終わる11月なかば頃、わたしも主人もだ〜い好きな「りんご収穫のお手伝い!」がはじまります。お手伝い先は隣の安曇野市穂高にある曽根原農園さん。ここは親方の親戚の農家さんで、2月の農事録のりんごジュース作りでもお世話になっているところです。

「今年のりんごはよくねぇー」農園のおじちゃんの第一声でした・・・わたしたちには「そうかな? 結構いいりんご一杯なってるよねぇ〜」という感じ。お手伝いしはじめて4年目ですが素人まるだしです・・・まぁ、そう簡単に「本当だ良くないね〜」なんて言えるようならベテラン農家さんも商売上ったりですから・・・「え!そうなんだ???」と言うのが「正解!」ですけどね。

回の収穫初日のメンバーはおじちゃん・おばちゃん・農大同期の二郎君と奥さんの愛ちゃん・主人とわたしでした。それにしても収穫お手伝い4回目にもなると要領も良くなっていて、肩から掛けるカゴいっぱいに採ってはりんご箱が積んである所に運び、箱詰めの人にパスすると言う一連の作業も、問題なくスムーズにこなし・・・永遠続けます。

二郎君と主人は脚立に乗って木の上のりんごを採ります。愛ちゃんとわたしは下のほう担当と男衆のカゴを運ぶ係りです(土日は二郎君と愛ちゃんの娘の桃ちゃんもカゴ運び)。りんごの収穫お手伝いは、二郎君や愛ちゃんとおしゃべりしながらやれるのがまた楽しい時間でもあります・・・なんて言ったって、新規就農して農業をやっていこうという志の同士ですから、話は尽きませんし、時間もあっという間に過ぎて行きます。

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そしてお茶の時間はもちろんおばちゃんがりんごをむいてくれます・・・蜜が入っていていい香り! シャキシャキして美味しい! やっぱりおじちゃんとおばちゃんの作ったりんごが最高だ! と思う瞬間でした。わが家では曽根原農園のりんご以外は買わないので、ほぼ1年ぶりのりんごちゃんとの再会ですから、そのお味は格別なものがあります。そして今年の楽しいりんご収穫お手伝いは約1週間11月29日で終わったのでした。

んごも終わると、いよいよ冬眠の季節!になります。

あっ!

nouji12-6.jpgその前に・・・畑の大根・野沢菜・白菜を収穫して、漬けなければいけません。漬物を自分で漬けるなんて、神奈川に居た頃には想像もしませんでした。

それも、自分で作った野菜を里親のお母さんレシピで漬けるのですから、美味しいに決まっています。今では小さめの漬物樽を5つも持つようになりました(すっかり信州人)。

今年は、野沢菜漬け・固大根ぬか漬け・大根甘酢漬けの3種類を漬けようと思います。

nouji12-5.jpg白菜は・・・なんと失敗で、苗の定植時期が遅かったために結球していません。とほほ・・・です。途中からなんか変だな〜とは思っていましたがやはり丸まらずに、開いたままの葉っぱの白菜が出来てしまいました。でも、葉っぱは食べられるので、良しとしましょうか・・・と自分で自分をなぐさめたりして・・・

12月2日には念願の温泉に行って来ました。わが家で温泉と言うと《鹿教湯温泉》と言う事で・・・朝からわんこ2匹も連れてドライブしながら行って来ました。

nouji12-7.jpgはじめの目的地は佐久平PAにあるドッグランです。しかし、行った時には大型犬が入っていてちょっと恐いのでドッグランには入らず、公園の中を散策・・・

くぬぎの葉っぱがた〜くさん落ちていてふかふかの落ち葉ふみふみ散歩ができました。ここは夏になるとカブトムシドームなるものがオープンして昆虫好きのお子様たちで賑わい、冬はPA直結のスキー場になるとの事でした。長野の自然は季節によって色々変化があって凄いなぁ〜と改めて感心したものです。

nouji12-8.jpgしてメインの温泉ですが、わたしたちが鹿教湯温泉に行くのには理由があります。鹿教湯温泉は松川村から農業大学校小諸キャンパスに行く途中にあります。初めて寄ったのは、わたしが月2回のアグリ研修に小諸まで通っていた2004年の夏頃・・・主人は小諸の寮に入っていた為一人で松川村まで帰ってくるのですが、公共浴場があるとの情報をゲットしたわたしは一人で温泉街に・・・無料駐車場に車を止めて行ってみたはいいのですが、公共浴場が分からず「おみやげ物屋さん?」で場所を尋ねて、やっと辿り着きました。すっかり温まったわたしは・・・さっきのおみやげ屋さんに寄ってみました。

浴場の場所を教えてくれた方はそのお店の女将さんでした。お礼を言って「いいお湯ですね〜」なんてお話をしているうちに意気投合! 月に2回は来るね〜と毎回温泉に寄って、わたしたちの新規就農の話をすると応援してくれました。今ではこの時期に元気でやってるよ〜と挨拶に行くのが恒例になっています。そしてそのお店はなんと家族で迎えてくれる温泉饅頭屋さん《おきな菓子舗》だったのです・・・

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もう一つの目的はこの温泉饅頭と最中をゲットすること! ここのお饅頭のファンである親方にもおみやげを買って・・・今年もた〜くさんのお饅頭と共に帰宅しました。あ〜鹿教湯温泉とおきなの饅頭。

しあわせですぅ〜

これも何かのご縁ですね。これからも大切にしていきたいと思います。

て、12月から2月までは完全に農家のお仕事がOFFになります。

お米の注文が入れば精米・発送の業務はありますが、それだけではやっていけない現状と、「おこずかいが出ないよ〜」と言うわたしの発言によって、主人は派遣会社から仕事を紹介してもらい、12月3日から会社勤めの人になりました。

お米農家の仕事をはじめて春から秋までのスピードがとても速く感じます。その分、師走から弥生の初め頃まではゆっくりとした時が流れるように感じます。

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して、今の時期は色々な事を考える時でもあります。

今年は縁あってこの農事録を綴る事ができました。1月から読み返して1年間の反省と来年の決意を改めたいと思います。

そして、ここで会えたみなさまに感謝致します。

ありがとうございました。

この記事を書いた人

長野県北安曇郡松川村の浦部勇一・千代美さんご夫妻に月々の農事などを伝えていただいています。浦部勇一さんは2005年から長野県が行う里親支援制度に登録後、独立された新規就農者。おふたりは6年ほど前に神奈川県から長野県に移住してこられました。

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