古田さんの農事録
[古田さんの農事録]

農業が好き!地域が好き!古田さんちの安曇野LIFE:2

古田さん農事録

 

足。。。でございますね。突然失礼いたしました。
しかし、足もかわいいものでございます。小さくて小さくて。
はい。4月の頭に。ありがとうございます。はい、ひとり目で。エコーで見えていたとおり、男の子でございましたよ。
ほんと、張り合いがあるってもんでございます。独立と同時にこどもが産まれたわけで。
そう、新米経営者であり、新米父ちゃんってことになりますからね。
忙しくなりますよ。ただ、本当にこれからが楽しみでございます。
はい、それはもちろん。こどものためにも、早く一人前にならないといけませんね。

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一本桜と桜並木

先週から、びっくりするような暖かい日が幾日かありましたでしょう。
まあ全国の地域によっては違うかもしれませんが、安曇野は急に暖かくなりました。
それまではなんだか気温が低めで、季節も少々ゆっくりめにやってきていたのに、突然でございます。
しかし面白いものでございますね、気温が上がると途端に植物が急ぎだしまして。
昨日蕾で固そうだった桜が、今日は咲き乱れていたり。
景色が一変してしまった場所もございました。

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※4月22日撮影

こちらは近所の有名なしだれ桜でございます。
個人のお宅ですので、あまり近くから見ることはできないのですけれど、県外からも桜ファンがやってきて、よくカメラを向けている姿が見られます。

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※4月20日撮影

こちらも近所の桜の名所。黒沢川の桜並木でございます。

"苗づくり"も始まりました

そして、りんご畑も、先週から賑やかになってまいりました。
今回は、りんごの木にとっては赤ちゃんと言えなくもない、"苗づくり"のお話をいたしましょう。
冬の間のりんごの木、覚えておいででしょうか。骨組みだけでしたでしょう。
春の訪れとともに、そんな木の芽がぐんぐんと育って、葉っぱがにょにょにょっと出てまいりました。
はい。桜とは違います。りんごは花よりも葉っぱから先に育つのでございます。

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こうなりますとですね。まぁりんご農家は焦ってくるのでございます。
もう病害虫防除も始まっておりますし、何せ蕾ができれば摘蕾摘花、花が咲けば受粉作業と、やることは目白押しでございますから。
そんな中で、早めにやっておきたいのが、苗づくりのための接ぎ木と植え付けでございます。

もちろん、苗は買うこともできますけれど、自分で作った方が安上がり。
まとめて植え替えようと思えば苗もたくさん必要でございますから、苗木代もバカになりません。
突然畑を借りてくれと言われることもあれば、木が病気になって伐採するのも、よくあることでございます。
そんなときに苗が用意できていれば、すぐに植え直しや植え足しができるでしょう。
ですから、多めに自分で作っておいて、用意しておきたいと考えております。

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さて、接ぎ木はこんな感じで、根っこが出た台木に、増やしたい品種の枝を接いでいきます。
え? 種、でございますか? 種からは育てられないのでございますよ。りんごは。
簡単に説明いたしますとですね。
ふじやシナノゴールドといったりんごの品種は、すべて交配によって生まれた一代限りの突然変異でございます。
はい、一代限りでございますから、例えばふじに入っていた種を植えても、ふじが生る木には育ちません。
同じふじが生る木を増やすには、ふじのクローンを作るのが唯一の手段。
その方法が、接ぎ木でございます。
ふじの遺伝子を持った枝を、根っこがある台木の力を借りて、育てるわけでございます。

強いばかりでもいけません

さて、地味だけれど大事な台木にもいくつか品種がございまして、それぞれ特徴がございます。
最も異なるのは、木の強さでしょうか。
マルバカイドウという台木に接げば、かなり強く、大きな木に育ちます。
逆にM9という台木に接げば、弱い木になります。

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この苗は、根っこはマルバカイドウ、真ん中がM9、さきっちょにシナノゴールドを接いでみました。
中間台木としてM9を入れることで、弱すぎない程度に弱らせるのが狙いでございます。

え、強い木の方がいいだろうって? 一概にそうとは言えないのが果樹生産でございます。
木が強いということは、ぐんぐんと枝が伸びていくということですね。
そうなると、栄養の多くが木を育てるために使われることになります。
木が元気ですと、子孫を残す気分になってくれず、美味しい実が付きにくいのでございます。
そこで、りんご農家は枝を下に引っ張ったりして「お前は弱ってきたぞ。そろそろお迎え来るから子孫残せよ。」と勘違いさせてやることで、美味しい実を付けさせる。まあ、実を騙し取っていると言われたら、そうかもしれません。
ただ、人間の手で木を弱らせるのには限界がございます。元々強い木はなかなか落ち着いてくれず、手を焼いてしまいます。
そんなわけで、計画に合った生産ができるような強さの木を育てる必要があるので、いろいろな台木が使われているのでございます。

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やってみないとわからない

先月お話ししました剪定もそうですが、苗づくりも今後の自分の畑をどうしていこうか、と考えながら行う作業でございます。
今接いでいるものは、上手く育てば来年定植して、どうでしょう、4年後くらいに数えるほどの実がなって、そのあと5年ほどは毎年収量が倍になっていく感じでしょうか。
まあ気の長い話でございますけれど、どんな品種をどのくらい育てようか、この品種はどの台木でどう仕立てたらうまくいくのだろうか、どんな間隔で植え付けるのがベストだろうか。。。などと考えだすと、結構楽しく、わくわくしてしまいます。
仲間や先輩農家と話しても、成功も失敗も含めて、それぞれが違う経験にもとづいて教えてくれますから。
ええ、絶対的な方法なんて無いのでございましょう。
結局、自分の畑でやってみないと何もわからないし、判断できないのでございます。

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数えてみましたら、おそらく300本ほど接ぎ木して苗を育てることになりそうですが、こんなにいるのでしょうか。
ま、足りないよりは余るくらいの方が良いでしょう。

ま~たダラダラと、長くなってしまいましたね。失礼いたしました。
お話しする予定だった内容が他にもあるのでございますが、思ったよりも苗づくりの話題に時間がかかってしまいました。
自分がりんごづくりを始めてから知ったことの中で「面白いな!」と感じたことは、あまり端折らずにお伝えできたらと思っております。

しかしこのままでは、いつになっても私がどんな野郎なのか、謎のままでございますね。
気になる! という奇特な方がいらっしゃいましたら、毎日更新しておりますブログ「りんご屋さん 弐七農園」も覗いてみていただけたらと思います。
そういえば、4月から屋号を"弐七農園"(にいななのうえん)にいたしました。(名前の理由も、今はブログを参照ください)
よろしくお願いいたします。

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ではまた来月、お会いいたしましょう。

 

この記事を書いた人

古田然さん

北アルプスのふもと安曇野市三郷小倉で3年間の研修を経て、2017年にりんご農家として独立した古田然さん。
農業が好き! 人が好き! 地域が好き! な古田さんが、安曇野の暮らしをつづります。

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