岩垂さんの農事録
[岩垂さんの農事録]

オレさまの安曇野 風雲 農事録 連載第8回

連載※長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて5年目になる岩垂和明さん(40歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。



hatarakukuruma_1.jpg

ュゥイィ〜、グゴゴゴゴゴ、ゴォ〜〜ン

轟音とともに
隣のモロコシ畑にやってきた
巨大物体\(゜ロ\)(/ロ゜)/


あ、あれは・・・

はい、そうです、ウシさん用の
トウモロコシの刈り取りです。(^^)

すげぇ、迫力。

hatarakukuruma_2.jpg

いつも思うのだが、
この巨大マシン、カッコえぇ〜。

一回操縦してみたいものです。

まぁ、しかしねぇ、、、

酪農っていうのも大変な仕事ですからね。

「あのマシンカッコえぇから」
なんていう安易な気持ちじゃ
勤(つと)まらんでしょう。

hatarakukuruma_3.jpg

酪農という仕事の、大変さや苦労、
そしてまた、
そこから生まれるであろう感動を思うと、
今日食った肉や飲んだ牛乳の中にも
きっといろんなストーリーが
詰まってるんだろうなぁ。

そんなことを思います。

いつか、そんな農事録も読んでみたいな。


いきなり話はかわりまして

さて、、、

オレはりんご屋なので、りんごのストーリーを書かせてもらいましょう。

この秋初めて訪れた秋の大型連休シルバーウィーク。

しかし、もちろんオレさまに、休んでいる暇などはありません。(-_-;)


いそがしい・いそがしい・いそがしい

怒涛(どとう)のように訪れた、早生品種である「つがる」収穫もすでに終わり、今は、9月末ごろから収穫される中生品種、および10月末以降に収穫される晩生品種の、手入れに追われています。

今回はその中の、長野県を代表する3つの中生品種を紹介しましょう。

まずは、これ。

shinanosweet.jpg

シナノスイート!

最近の中生品種の中で最も注目されている品種です。

酸味がほとんどなく甘味が強いその味は、現代の一般ピーポー(people)に最も愛される味と言って良いでしょう。

うまいよ。ウチのシナノスイート。(^^)v


味は色に比例して濃くなる

そして二番目に紹介するこれは、、

akibae.jpg

秋映(あきばえ)

その特徴的な色は、赤を通り越しすでに黒!?
カブトムシのごとく黒光りしております。

実はこの秋映、もっと標高の低いところで栽培するとミヤマクワガタのように(?)もう少し赤みのある色になるのですが、この辺の標高だとカブトムシ色になってしまうのです。でも、それに比例するように、味もより濃くなって美味いですよ。

味は、シナノスイートとは対照的に酸味が強く、でも甘味もあって、甘酸のバランスのとれたウマさがあります。

りんごを食べなれた人の中には、シナノスイートよりこっちが好きだって人、多いですね。


これぞ通好みの味というのならこれ

そしてそして、最後に紹介するコイツが、、、

shinanogold.jpg

シナノゴールド。

中でもオレのイチオシ品種。

見た目は黄色がキレイなシナノゴールドですが、酸味甘味共に強く、複雑で奥が深いその味は秀逸。通好みの味です。

マジうまいよ。


食べたくなってきませんか?

いやぁ、宣伝しちゃったな。(^^ゞ

これでちょっとでもみなさんに興味をもってもらえたら嬉しいんですけどね。

だまされたと思って、ぜひ食ってみてくださいよ。

あ、そうそう、

りんごは安曇野産で、なにとぞよろしくお願い申しあげます。m(__)m


新顔のリンゴたちと遭遇した話

ところで話は変わりますが、先日のこと、

住宅展示場の前でりんごを販売する機会をいただき、行ってまいりました。

その時の話。

何種類かのりんご、梨を販売したのですが、その中に、まだほとんど世に出回っていないシナノドルチェという名のりんごと、トキという名のりんごがありました。

new_apples.jpg

この2つのりんご、とても対照的で、ドルチェは赤でトキは薄黄、ドルチェは酸っぱく(酸味)トキは甘い(甘味)といった感じ。

で、お客さんに試食をしてもらうとほとんどが、、、

トキ:「あっ、あま〜い♪」(^−^)=おいしい♪

ドルチェ:「あっ、すっぱ#$%&」(*_*) =不味い?

といった反応。

だいたい10人中8、9人がこんな感じです。

確かにトキは甘味が強くおいしい品種です。

でもドルチェの酸味も、これはこれでおいしいんですけどね。
現に、昔からりんごを良く食べる人たちや、我々プロのりんご農家の中では、酸味の強いりんごに結構人気があります。

しかし、

今、市場が求めているものは、甘味が強く、酸味がほとんどない食べ物ばかり。

りんごに限らず、あらゆる果物、あらゆる野菜までもが甘味を追求する方向へと向かっています。

もしかして日本人の味覚は、氾濫する砂糖や合成甘味料の入った食品に慣らされ、

甘い=おいしい

酸っぱい=不味い

という感覚になってしまったんではなかろうか?

と、ちょっと不安になってしまう。

やっぱりね、自然のものを食うのって、大切だと思いますよ。

甘い、酸っぱいとは言っても、自然のものは多かれ少なかれ、色々と複雑な味を含んでいるから。

ということで、

生食のりんごもよろしく!^^;
(酸っぱいりんごもね。)


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りんごをたくさん食べるようにね

オレも今はりんご生産者の端くれです。

りんごの生産者としては、市場のニーズをきっちり把握した上でそれに対応していくことが大切。

甘いものが求められているのなら、甘いものをつくる。

でもね、それだけでほんとにいいのだろうか?

そんな「問い」を自分に持つ今日この頃。

せっかく縁あって与えてもらったこの場所で、そんな疑問を少しでも知ってもらえたらいいなと、オレは思うのです。

さ・て・と、
また明日も、晴れそうだ。
りんごの手入れ、がんばりますよ!

ということで、今月はこの辺で。

Good bye, until we meet again! (@^^)/~~~


あわせて読みたい

● I'm a farmer!(岩垂和明さんの個人ブログ)

この記事を書いた人

長野県安曇野市三郷(みさと)地区で、農家家業をついでリンゴを作りはじめて8年目となる岩垂和明さん(44歳)が、幾多の押し寄せる誘惑や困難を乗り越えて時として風雲急を告げる月々の農事を綴ります。

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