そのお店は、桃畑に囲まれた長野市川中島地区の農村集落にあります。お店の名前は「ギャラリーと喫茶 ハナモモ」。3年前に滋賀県からUターンして桃農家を継いだ店主さんご夫婦が、今年(2017年)4月にオープンしました。
自宅の隣に、店主さん自ら設計を手がけたお店があります。真新しい中にも、格子戸やステンドグラスを配した欄間など、伝統と落ち着きを感じさせるデザインが活かされています。店主さんが住環境デザインの研究をしていた経験から、陰と陽をテーマに建物を作ったそうです。「玄関を暗くしてあるのは非現実世界を演出しています」と店主さんが教えてくれました。玄関で靴を脱いで、ギャラリーに入っていくと、南向きに桃畑を眺めることができる土間が配置されており、縁側のようにカウンター席がしつらえてあります。静かな店内には柱時計の音が響き、心が落ち着きます。
店内には、店主さんが選んだ陶器やガラス器、郷土玩具が並びます。「自分が気に入ったものでもありますが、作家さんとの人間的つながりを大切にして選ぶようにしています」という店主さんが選ぶ作品は、つながりの数だけ増えていくのでしょう。
喫茶では、地元食材をふんだんに使ったメニューを楽しめます。おすすめは自家農園の川中島白桃や川中島白鳳をチャツネに使った「ハナモモカレー」。チキンと旬の野菜にスパイスを効かせて炒めたものが添えられ、食欲をそそります。他にも、タイの定番ごはんのガパオライスや、自家製ベーコンといろいろ野菜のキッシュ、ボリュームのある自家製チャーシューエッグがあります。
当然、スイーツの代表も桃を使ったもの。写真は、自家農園の桃のコンフィチュールをのせた爽やかなチーズタルト。桃を使用したスイーツは、大変な人気で、しかも収穫シーズン前のため、現在は品薄状態。今シーズンの収穫が終わる頃には、たくさんの桃のスイーツが登場することでしょう。
ドリンクメニューは、オーガニック豆を使用する珈琲、特性のスパイスが効いたチャイ、無農薬のケニヤ産茶葉の紅茶、清見100%のオレンジジュースがあります。
川中島白桃で全国的に有名な地域ですが、桃生産者も高齢化で引退するケースが増えています。「本当においしい桃ができる産地なので、まずは知ってもらうため、お店も始めました」と話す店主さん。若い生産者が増えていくように、ご自身も勉強しながら、力を尽くしたいと考えています。 喫茶コーナーでは、とにかく桃を知ってもらうため、これからのシーズンは桃を使ったかき氷も始めるそうです。桃とアートで、地域を盛り上げる「ハナモモ」を、ぜひ訪れてください。
■公共交通機関でのアクセス JR篠ノ井線今井駅から徒歩10分。
こちらは 2017.08.01 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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