チーズはお好きですか? 平成17年に日本国内で生産されたプロセスチーズとナチュラルチーズはあわせて約12万3千トン。生産量の第1位は神奈川県でした。次いで兵庫県、長野県、北海道の順番です。そしてこの4つの道県で日本のチーズの大部分が生産されています。
なぜ神奈川県なのでしょうか? 牛乳の生産量が日本一の北海道で、当然一番チーズが作られていると思いませんでしたか? ところがプロセスチーズも含むチーズ全体では、大消費地近くにある加工工場で多くが生産されるようになっているのです。ただしナチュラルチーズ(直接消費用)に限定すると、日本国内で生産されたものは約1万4千トンで、この場合はほとんどが北海道で生産されています。
近年は、国民1人当たりのチーズの消費量が増える傾向にあります。そしてそれにつれておいしいチーズもたくさん作られるようになっています。
長野県ならナチュラルチーズ
チーズは大きく分けるとナチュラルチーズとプロセスチーズに分かれます。ナチュラルチーズは、生乳を殺菌した後、乳酸菌と凝乳酵素を加えてできた凝固物(カード)から乳清(ホエー)を除去し、固形状にしたもので、加熱処理をしていません。一方、プロセスチーズは、ナチュラルチーズを混合して砕いた後、加熱により融解し乳化剤を加えかき混ぜ、冷却し固めたもの。ナチュラルチーズと違い乳酸菌や酵素は生きていませんので、長期間の保存ができます。
牛乳の発酵食品であるチーズの特徴は、なんといってもカルシウムが豊富なこと。発酵させたままのナチュラルチーズのひとつ、パルメザンチーズには牛乳の10倍以上、加熱処理したプロセスチーズでも5倍以上のカルシウムが含まれています。
ナチュラルチーズは熟成させないものと熟成させたものにわかれます。熟成させないもの、したがって常温での保存ができないものがフレッシュチーズです。フレッシュチーズのなかに、最近よく名前を耳にするようになっている「モッツァレッラ」などもあります。長時間熟成させて風味を高めたものには、国や風土、製法によって多くの種類があります。ナチュラルチーズは乳酸菌や酵素が生きており、ヨーグルトと同様に胃腸の働きを助け健康に良いとされています。
長野県内では、各地の牧場で絞りたてのミルクを使ったおいしいナチュラルチーズが作られ、直売されています。そのいくつかを今回ご紹介しましょう。「チーズのない食事は、心のこもらない握手のようなもの」ということわざがチーズの本場ヨーロッパにはあります。日本の古い言葉の「醍醐味」の「醍醐」は山羊のチーズのことだとか。あなたもぜひお口にあった自分好みのチーズを見つけてください。
たんぽぽ堂
小県郡(ちいさがたぐん)青木村の山間で山羊を飼い、搾ったミルクでおいしいチーズを作っているのがたんぽぽ堂です。ご主人の吉田良一さんと妻の敦子さんは、平成12年からシンプルですがとても豊かな暮らしかたをはじめました。こじんまりとしたチーズ工房で家族みんなでチーズづくりに励んでいます。山羊のいるカントリーオーヴェルジュ、ということで、牧場のロッジで宿泊ができます。自然の中でのんびりしたい方におすすめです。
作っているチーズは、
●このほかに、アルパインヨーグルト(飲むヨーグルト)も作っています。
●販売は、村内の農産物直売所(道の駅あおき)のほか、ネット販売、FAXでの注文もできます。
たんぽぽ堂
〒386−1601長野県小県郡青木村大字田沢1617
TEL 0268−49−0008
FAX 0268−49−0028
Webサイト http://www.tanpopodo.com
八ヶ岳中央農業実践大学校
八ヶ岳を望む広大な芝生公園に、かわいい三角屋根の直売所があります。学生たちが育てた野菜、花、乳製品、肉加工品、卵などを販売しています。フランスでチーズ製法を学び、オリジナルチーズを作る研究を重ね、今は11種類のチーズを製造しています。大量生産ではなく、心を込めた少量生産、技術を重ねた長期熟成の製造、自家生産の原料乳を使用しています。9月一杯は、芝生公園で熱気球の体験イベントも行っています。
作っている主なチーズは
●販売は直売所のほか通販も可能です。
八ヶ岳中央農業実践大学校(八ヶ岳農場)
〒391−0112長野県諏訪軍原村17217−118
TEL&FAX 0266−74−2080(直売所直通)
Webサイト http://www.lcv.ne.jp/~yatsunou/chokubaijyo/top/top.htm
清水牧場
野麦峠近くの松本市奈川の山合いにある清水牧場ではブラウンスイス牛30頭とフライスランド羊30頭を飼い、毎日搾乳した新鮮なミルクでウォッシュタイプ、山岳タイプ、フレッシュタイプのチーズやヨーグルトを製造・販売しています。牧場へのアプローチは最後林道のような舗装していない道ですから、こんな道の先にお店があるのか? と一瞬不安になりますが、ご覧のような素敵なチーズ工房があります。東京のフレンチレストランのシェフやチーズ専門店が絶賛するというチーズです。SVARASA(スヴァラサ)が牧場のモットーですが、これはサンスクリット語で「自然味(じねんみ)」「あるがままの姿」という意味だそうです。
作っている主なチーズは、
清水牧場チーズ工房(有)山岳牧畜研究会
〒390−1611 長野県松本市奈川51
TEL 0263−79−2800
FAX 0263−79−2801
Webサイト http://www.avis.ne.jp/~svarasa/index.html
アトリエ・ド・フロマージュ
フロマージュとはフランス語でチーズのこと。とにかくナチュラルチーズのメッカで、自らを「チーズ文化をリードする食の工房」と称するほど。1982年に自家製の生チーズをつくりはじめ、毎年ヨーロッパに研修を重ねて、今では熟成チーズはもちろん、ケーキ、ソフトクリーム、ピザ、フォンデュ、ラクレットと多彩な商品を作っています。浅間山麓の東御市の高原に本社・本店のほか、直営レストラン(リストランテ・フォルマッジオ)があり、軽井沢にも売店・ピッツェリアカフェ、チーズスイーツのお店があります。
作っている主なチーズは
アトリエ・ド・フロマージュ
〒389−0501長野県東御市新張504−6
TEL 0268−64−2767
FAX 0268−64−4454
Webサイト http://www.a-fromage.co.jp/
長門牧場
長門牧場は、蓼科山のふもと標高1400mの高原に21haもの広大な牧草地を持つ搾乳牧場。高原の太陽の下、栄養豊富な牧草をたっぷり食べて育った健康な乳牛から搾った新鮮な生乳を使って乳製品を製造・販売しています。牧場内の工場で、チーズはもちろんヨーグルトやアイスクリームなどさまざまな乳製品が作られます。牧場内にはレストハウスがあり、ショップのほかレストラン・コリーヌがあり、自家製乳製品をふんだんに使った牧歌的家庭料理が堪能できます。チーズやバター、アイスクリームづくりの体験コースや乗馬もできます。
作っている主なチーズは、
長門牧場
〒386−0601 長野県小県郡長和町大門3539−2
TEL 0267−55−6969
FAX 0267−55−7327
Webサイト http://www.nagatofarm.com
ヤツレン
八ヶ岳連峰のふもとに広がる雄大な草原が野辺山高原。8月でも平均気温は18度と冷涼な気候で、高原レタスの産地です。そんな野辺山高原の豊かな自然から、衛生的な牛舎で搾乳した新鮮な牛乳を原料に、おいしい乳製品を作っているのがヤツレンです。休日ともなれば、高原を訪れた観光客が、フレッシュなソフトクリームを食べ、お土産を買い求めるスポットになっています。
作っている主なチーズは
株式会社ヤツレン
〒 長野県南佐久郡南牧村野辺山79−7
TEL 0120−190−820(直売店フリーダイヤル)
直売店FAX 0267−98−0368
Webサイト http://www.dia.janis.or.jp/~yatsuren/
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