長野県の東部に位置する東御(とうみ)市の市立祢津小学校に通う5年生55人が、まだ4年生だったこの春先に、藪払いされたカシワの枝葉から卵を探しだて救出し、心をこめてこれを羽化させ、チョウになるまで育ててきたチョウ30匹が、このほど彼らの手で近くの山に放たれた。
「ハヤシミドリシジミ救出大作戦」と名づけられた試みで、祢津地区活性化研究委員会と同小学校の共同の取り組みとして、払い落とされたカシワの枝葉から約200個のハヤシミドリシジミという森林に生息するチョウの卵が救出されて木に戻されたり、子どもたちが学校に持ち帰ってカシワの花や葉を城山で集めて与えて成長を観察し続けてきたもの。
子どもたちは心躍らせて
勢いよく飛び立ったチョウを、児童たちは「ちゃんと育ってくれてうれしい」「元気よく飛んでいったね」と笑顔で見送ったが、別れを惜しむように、帽子や体に止まって、なかなか離れないチョウもいた(写真をクリックすると中央の少女の手元が拡大されます)。アメリカ・インディアンのパパゴの人たちの伝承によれば、地球を創られた存在は、雨の季節の子どもたちの心をうきうきとさせるために、最初のチョウチョを作ったといわれている。
祢津地区活性化研究委員会の船田信会長は児童らの協力に感謝しながら、「春には桜が咲き、初夏にはチョウが舞い、みなさんに親しまれる城山にしていきたい」と話した。