真冬の幽玄美「松本城氷彫フェスティバル」

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空が白んできた1月21日の未明、お堀に沿って並んだ15体の氷の彫刻が、見事にライトアップされて輝き出しました。ダイナミックでありながら繊細な力作たちに、思わず寒さを忘れて見入ってしまいます。
ここは「国宝松本城氷彫フェスティバル」の会場。目の当たりにする完成作品が素晴らしいのはもちろんですが、このフェスティバルの魅力はそれだけではありません。夜を徹して氷彫に取り組む職人さん達の真剣な眼差しと職人芸に、訪れたすべての人は圧倒されてしまうこと間違いなし。
今回は氷彫の制作段階から密着し、その様子を時系列に写真でご紹介いたします!! o(^0^)o


「第26回国宝松本城氷彫フェスティバル」が開催されたのは、1月21日(土)と22日(日)の両日。実際は21日の土曜日夕方18時から翌朝6時までが氷彫の制作、その後夜が明けきるまでライトアップされ、日曜日いっぱい氷彫が展示されるというスケジュールです。 全国各地から腕に覚えのある氷彫職人が、今年は15組が参加しました。 21日は、1月なのにみぞれに近い湿った雪が降る"比較的"暖かい一日。それでも夜中は氷点下になるだろうと、防寒着を着込んで松本城に乗り込んだのでした。ε=(ノ^∇^)ノ

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厳冬の夜のクリエイターたち
icecarving_1_225.jpg18時の気温は約0℃。松本城黒門付近のお堀に沿って、氷のブロック(氷柱)が集められています。一組あたり15本の氷柱を使用するとのこと。まずは彫り出す形をイメージしながら氷柱を積み上げます。
20時半頃までステージイベントが行われていたこともあり、最初のうちは特にたくさんの人が制作風景を見に来ていました。中には、明け方に完成することを知らずに来てしまい、残念そうに帰っていく人もいます。

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徹夜の闘いから生まれる作品群
チェーンソーやドリル、ノミなどを使い、積み上げた氷柱を彫刻していきます。また、細かい部分は彫刻を施してから取り付けるようです。チェーンソーは真っ二つにする道具だと思われがちですが、木のチェーンソーアートがあるように、氷彫の場合もかなり細かい作業までチェーンソーが大活躍。真夜中近くになると雪が降り指先もかじかむ中、職人さんたちの目つきも真剣そのもの。寒さで手元が少しでも狂えば氷を割ってしまいそうな厳しい状況での作業が続きます。

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ダイナミックにチェーンソーを操っている横で、とても繊細な作業も行われています。細かな模様を彫ったり、立方体に削りだした氷を水晶のような球にしたり。素早くも正確なノミさばきは、これぞ職人芸!!感心して見入ってしまいます。夜中の2時を回っていましたが、見ている方も寒さを忘れてしまうほどです。



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おすすめは、何といっても夜明け前
制作のタイムリミットは朝6時。4時頃になると、どんな氷彫が出来上がるのか、全貌が明らかになってきました。完成に向けてバランスを見たり、細かい模様を彫ったり。仕上げは、火で炙って表面を溶かすことで滑らかにし、透明にしていきます。削った面が白く霞んでいた氷彫が、更に輝きを増す瞬間です。w(*゚o゚*)w

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はかなさが創り出す、つかの間の幻想
5時半頃から、早起きして見に来た人たちで松本城は賑わいだします。完成した氷彫がライトアップされるのは、完成した朝のみ。白んで来た空に浮かぶ松本城をバックに光り輝く氷の作品群が訪れた人々を魅了します。 日の出以降は徐々に氷彫が融けてしまい、昼頃にはバランスの悪い部分から崩れ始めてしまいます。もったいないですが、その儚さが氷彫の魅力でもあります。本当に"その時"にしか見られない芸術作品なんですね。

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少なくなった氷彫イベント・・来年もぜひ
氷の彫刻のイベントは以前、軽井沢や茅野市白樺湖など各地で行われていたようですが、温暖化や氷彫の仕事の減少などで、数が激減しているそうです。そんな中、松本城の氷彫フェスティバルは、屋外の絶好のロケーションで氷彫が鑑賞できる貴重な機会。来年も開催されることを期待しましょう。そして、お越しの際は、是非制作現場で職人芸に触れることをおススメします!!(*'▽'*)

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