新信州暦 夏から秋へ、そして収穫の季節へ

asatsuyu.jpg9月も半ばに入り、朝夕の肌寒さと日中の残暑の入り混じりは、まさに季節の変わり目といった感じがします。畑の作物たちや森の木々の葉に露が見られるのもこの季節です。夜、草木や地面の冷えと空気の冷えがあいまって、水蒸気が固まり水滴を作るからです。気がつけば、夜の演奏会の主役は蛙から鈴虫へバトンタッチ。窓を開けてその音色を楽しむ際には、どうか体を冷やさないようにご注意ください。

holiday.jpg先日、テレビで「9月病」という言葉を耳にしました。ネットのニュースでも「今年は9月病が大流行か」という記事がありました。ゴールデンウイーク後の5月病とよく似ていて、食欲不振やヤル気の喪失などの症状が引き起こされ、出社や通学がおっくうになる症状です。holiday.jpg冷房で体を必要以上に冷やすという、現代のオフィス事情が原因のひとつかもしれません。とくにシルバーウイークと呼ばれる来週の大型連休明けの反動がきつそうですねえ。これからの季節、冷えは体の大敵。ぜひ3度の食事を大切に、栄養をしっかりとって、体調管理をきっちりしてください。

momojam.jpg疲労回復や食欲増進に効果的なのは桃やりんごです。川中島白桃で名高い長野市川中島では、地域興しグループが「川中島白桃ジャム」を開発したそうです。とかく痛みやすい桃ですから、今まではジャムに加工する人手もありませんでした。しかし地元の協力あって、農家と企業が連携してこのジャムの製品化にこぎつけたのです。川中島白桃ジャムは発売数日で生産した1000個を売り切ったと言うことです。来年は手に入れて食べてみたいものではありませんか。

shinanodolce.jpgまたりんごでは、JAグリーン長野JAあづみJA志賀高原などから今週は続々と、長野県生まれの新品種「シナノドルチェ」の出荷がはじまります。早生種のつがるからバトンを受け継ぐかたちの「シナノドルチェ」は、長野県果樹試験場が「ゴールデン・デリシャス」に「千秋」を交配し、育成した品種で、爽やかな酸味と甘みのバランスが絶妙といわれ、色づきがよく、果汁が多いのが特徴です。楽しみです。

shinmaida.jpg他にも収穫の秋の話題が信州各地から届いています。JAあづみでは09年産米の初検査が行われ、水分測定、品位検査共に、全てが一等品と評価されました。この9月の連休が収穫のピークとなりそうです。いよいよ嬉しい新米の季節になりましたね♪ 飯田市では子どもたちが「日本の棚田100選」にも選ばれている「よこね田んぼ」で今季初の稲刈りを行いました。今年は雨が多く、棚田の水が多く確保できたために稲の生育が良いそうです。美しい風景の中での収穫作業は、子どもたちの心に深く印象づけられたことでしょう。

13日には、伊那市の天竜川で、年に一度のアユ刺し網漁が行われました。雨の中、年に一度の刺し網ということもあり、雨の中にも関わらず漁に力が入っていたようです。さらに、小諸市のソバ畑では「あなたのそばに」をテーマに、思い切りソバ畑で叫ぶ、ユニークな絶叫コンテストが開かれました。speech_bubble.jpg信州小諸そば振興会が地元のそばをPRしようと、初めて行った取り組みです。信州のおいしい新そばを、風味を楽しむざるそばで、またはホッと温まる温そばで、誰かと一緒に食べたいですね。

秋はスポーツの季節です。この週末もスポーツ大会に出場したり、運動をしたという方も多いのではないでしょうか。14日には松本市の各小学校で運動会が開かれました。運動会の楽しみといえば、「お弁当」です。パワーの源のおにぎりと、信州の農畜産物をぜいたくに使ったおかずを、ぜひお子さまのお弁当にたくさん詰めてあげてください♪ onbashira.jpgそういえば、はやくも来春に行われる長野県諏訪市の名物・諏訪大社御柱祭を盛り上げようと、「御柱祭弁当」がJR茅野駅で発売されました。信州産の食材をたくさん使った豪華二段重ねのお弁当です。このシルバーウイークの9 月 21 日には、東京の赤坂サカスに、模擬御柱を実際に運び入れ、諏訪市富士見町の氏子の面々が、上社御柱の特徴でもある「めどでこ」の実演技を行います。本番さながらの勢いを、会場でご覧下さい! 来週はいよいよ大型連休。県外の方も県内の方も、ぜひ信州各地へ、信州と縁のある場所へ足を運び、秋の味覚、秋の風景を存分に楽しんでください。

なお週刊でお届けしている「長野県のおいしい食べ方」の更新とメルマガの配信も、ハーベストムーンを目前に各地の農産物が収穫のピークを迎えている来週は、お休みをいただきます。

top-090916_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。先週末、長野県佐久市内山で撮影した午後の風景です。澄み切った空にそよぐ、ススキとコスモス。内山地区にある「コスモス街道」に見とれながら車を走らせていると、コスモスに代わり、ススキの穂が見えてきました。なんとも秋を感じさせる、いい眺めではありませんか。今年の中秋の名月は来月の3日。今度は夜空の下でお月さまとススキを眺めたいです。


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silverweek.gif1年を24の季節に分けると今は「白露」の候です。18日には白露の候もいよいよ最終段階に入り「ツバメが去る頃」になります。朝夕の涼しさをとくに感じるようになると、夏草の勢いも目に見えて衰えてきます。19日は土曜日で新月。そしてシルバーウイークのはじまりです。でもなんでこんなに休日が続くのか納得していない人がいるかもしれません。敬老の日が、それまでは9月の15日と決められていたのでしたが、2003年からは9月の第3月曜日に変更になって、今年は21日がその第3月曜日で、今年は秋分の日が22日でなく、23日であるために、21日と23日の間の22日が、2005年に国会で可決した「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」のおかげで「国民の祝日と次の国民の祝日の間隔が中1日しかなく、その中日(なかび)が国民の祝日でない場合、その日を休日とする」という法律が適応されるため22日火曜日が「国民の休日」となったもので、この結果、土曜日から翌週の水曜日までが連休となりました。9月にこうした大型連休が出現するのは、今年が最初であり、法律が改正されないかぎり、次回は2015年になります。この説明でわかりましたか?

bunkazai6.jpg20日は秋の彼岸の入り。この日を含めた7日間がいわゆるお彼岸。この日と翌21日の両日には、大町にあり、入口に杉の巨木がそびえている、信濃で一番古い社という説もあるパワースポット仁科神明宮(大町市大字社字宮本)で、例祭がおこなわれ、奈良平安の頃の名族であり、奥州阿部一族の末裔ともされる安曇の大豪族仁科氏の地に古くから伝えられる独特の、面と装束を着けた舞方が踊る能神楽が奉納されます。この神楽は長野県無形民俗文化財とされているもので中世から今に伝わっています。

akihigan.gif23日は秋分の日。暦便覧に「陰陽の中分となれば也」とあります。昼と夜が等しくなると教えられていますが、昼と夜の定義が曖昧なために、実際は秋分の日でも昼の方が夜よりもまだ14分ほど長いそうです。実際に昼夜の差が最も小さくなるのは27日頃。昼と夜の長さがだいたい等しくなるとはいっても、春分の日よりも昼の平均気温は秋分の方が10度程高く、まだ夏の気配がすこし残ります。秋分の日を中心にした7日間を「秋彼岸〔あきひがん〕」と言い、家族そろってお墓参りに行ったりします。農村では春に山から里に迎えた祖先の霊を、秋に里から山に送る儀式が行われていました。祖先の霊は春に山から下りてきて子孫が育てる作物の成長を見守り、作物が収穫の時期を迎えるとまた山に帰っていくのです。これは仏教以前からわたしたちの生活の中にあった考え方で、地球の先住民の多くが同じような考え方を伝統的に持っています。

26日は秋の彼岸が明ける日。上弦の月です。この月が満月を迎えればそれが中秋の名月で、ハーベストムーンになります。26日、27日は信州を代表する安曇野の穂高地区の穂高神社で秋の祭り。古代、おそらく1500年以上昔に、海人族の安曇族が朝鮮半島での海戦に敗れた日を肝に銘じて忘れないために、海のない山国信州で「お船祭り」がおこなわれ、船をかたどった勇壮なだしが引き回され、海戦を模した船と船とのぶつかりあい展開されるのです。この古くから伝えられたお船祭りが終わると、安曇野は本格的な秋になります。昨年の御船祭りの光景が YouTube にあげられていましたので、よければ動画でご覧ください。



穂高神社御船まつり

信州はそろそろ、みなさんお待ちかねのそば祭りのシーズンにはいります。この秋に開催される各地のそば祭りの情報はさわやか信州旅.net の秋の信州そばまつり情報のページをチェックしてみてください。シルバーウイークは、中川村、木島平村、北志賀高原山ノ内村などでそば祭りが行われます。

indexarrow.gif 長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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