いよいよ今日で9月も終わり。明日からは10月です。予報では明日は晴れそう。県内では紅葉の便りも聞こえてきます。先日熊が観光客を襲った北アルプス乗鞍岳の山頂付近では、ナナカマドやダケカンバなどが赤く色づき見頃を迎えています。今年は例年と比べて10日程早い紅葉で、山頂の見頃はあと1週間くらい、それから紅葉は徐々に山の下へと降りてきます。
先日の朝、あまりの寒さに目が覚めてしまいました。布団をきちんと掛け直しましたが、夏布団と毛布だけでは冷えてしまった足先はなかなか温かくなりませんでした。外の温度計を確認するとなんと8度。温かくならないのに納得しました。
昼間はまだ暑く、半袖でも大丈夫な日もありますが、それも午後の3時を過ぎるとグッと寒くなり、加えてずいぶん日が短くなってきたことも感じるこの頃です。夕日に照らされて風にゆらゆらと揺れるコスモス、そして家々の庭では柿がそろそろ収穫時かという程にオレンジ色にその実を大きく膨らませ、柿の葉っぱはところどころ紅葉をはじめて、秋はさらに深まりつつ冬に向かって少しづつ進んでいることを感じます。
「赤ソバ畑」で有名な県南部は上伊那郡箕輪町の伊那高原(標高900m)に行ってきました。信州伊那高原赤そばの里。坂道を登り切るとそれはそれは見事なまでのピンク色で、一瞬「息を呑む」という言葉はこのようなときなのかと思いました。この赤ソバ畑は10月初めから一層赤色が増して、霜が降る中旬まで鮮やかな色合いが楽しめるのですが、今からすでに見学者が続々と訪れており、4.2ヘクタールのソバ畑は圧巻でした。ここのそばの実は標高3800mのヒマラヤより持ちかえられたもので、後の品種改良により、「高嶺(たかね)ルビー」と名づけられています。
収穫の秋、味覚の秋真っ只中。県中部の松本市や塩尻市などのワイナリーではワインの仕込みが最盛期を迎えています。今年は8月中旬以降の好天で、糖度が高くなり、数十年ぶりの高品質のブドウが生産されているということで、どうやら今年のワインは期待がもてそうです。
また今県内の至る所では稲刈りが盛んに行なわれていますが、稲刈りがまだ行なわれていない田んぼは、稲の穂も葉っぱも全身が黄色く、そして陽の光を浴びた田んぼはまさに黄金色となり、この様子を見て「黄金の国ジパング」と呼んだのではないか、ともいわれる話に納得するのです。
ところで家の周りにある田んぼを見ていて気付いたのですが、一枚の田んぼの中に、刈り取ってはぜがけをしてある所とまだ刈り取ってない所のある田んぼが、以前に比べて目につくようになりました。かつては稲はほとんど全部を自家消費用とするためにはぜかけにしていたのに、最近では米を作る農家ですら米を食べる量が減ったと見えて、もちろんそれは一世帯数が減少していることもあるのですが、
食べきれない部分の稲は地域の営農組織に依頼して刈り取ってもらってJAに出荷するとか。農村の光景を見るだけで日本人1人当たりの1年間の米の消費量が減ってきているのが分かるような気がします。
先週のシルバーウィーク5連休では、各地で農畜産物の試食販売が行なわれました。県北部の須坂市や中野市ではブドウ祭りが、南部の下伊那郡では梨祭りが。また県東部の八ヶ岳では豚肉や牛乳などの試食や試飲など、日頃のお客様への感謝を込めたこのお祭りには、大勢の人が訪れその味覚を楽しんでいただけたことでしょう。
食欲の秋です。『果物は健康にいいから食べなきゃ損損』とついつい果物を食べ過ぎている人も多いかもしれません。食後のデザートとして甘〜い果物を食べると即エネルギーとして利用できませんので、果糖が中性脂肪やコレステロールに合成され蓄積されて太ることがわかっています。デザートとしてではなく、朝色として果物を食べたり、食事の前に果物を食べることでしたら太ることもありません。果物にも、太らない正しい食べ方があるのです。さらに今家の台所にある旬を感じるものといえば、サツマイモに、栗、かぼちゃなど、ほのかな甘味とホクホクとした食感に幸せを感じさせるものたち。ご飯ももりもりでデザートにフルーツだとしたら、あぁやはり体重の増加は避けられそうにありませんね。
週末の夕方プラプラと散歩していると、あちらこちらの家庭菜園では作業をしている人が大勢いましたが、この時期の作業は汗をかいた体に風が気持ち良く作業もはかどることでしょう。3センチほど伸びた苗に水くれをしている人に、「その苗は何ですか?」とたずねると、「野沢菜」という答えがかえってきました。いよいよ信州が誇る郷土食・野沢菜の出番かと思っていると、さらに続けて「これは青菜として若いうちに摘んで食べると軟らかくて美味しいのよ」とのことでした。その他にホウレンソウや小松菜、春菊なども数センチほどに成長しており、これから冬に向けての野菜の準備も着々と行なわれていました。
知りあいの家の庭に「マイタケ」が顔を出したそうです(写真)。このマイタケは一昨年前、JAの共同購入品に「わが家でもおいしいマイタケを育て食べよう」という文句とともに、種菌の申し込みがあり、早速注文したものだそうですが、自宅に届いた種菌はコンビニなどで売られている氷のブロックぐらいの大きさのものがふたつ。それを日陰の落ち葉の多いところに埋めておくと、その年か翌年にはマイタケが収穫できるといううたい文句だったそうです。しかしながら埋めた年は顔を出さず、昨年もまったく反応なし。半ばもう諦めていたのですが、先日ひょっと、出ているのを見つけて喜んだという話です。量販店などで見られるものより表面がやや黒味がかっているのですが、それはまぎれもなくマイタケだそうで、大きさは握り拳2つ分の塊が1箇所と親指大が2箇所。早く大きくなれと心待ちにしているようです。
そしてもうひとつのまったく迷惑なものの収穫の話。その人の家の玄関の天井裏にスズメバチが巣を作っていたそうで、普段玄関を使うことがなかったため気付かずにいたのを、家を訪ねてきた人が玄関先に蜂の子が20匹ほど落ちているのを発見して発覚。玄関の上を飛び回っている蜂が天井裏へ出入りしているのを確認し、早速玄関の柱に「蜂注意」の張り紙をし、どう対処するか検討。「専門家に駆除してもらうのが良いのでは」との話もあったそうですが、蜂の出入りする場所が廊下のサッシの内側から良く見えるため、ここはひとつ市販の殺虫剤を使って自分で駆除することを決意。2日間かけて何とか処理することができたそうですが、多少大げさかも知れないけど命がけの気分だった、と本人はいっています。無事でなにより。
これから秋本番。信州の農産物が一段とおいしくなる時期を迎えます。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。空にそびえ立つ「はぜかけ」の様子です。この日曜日、木曽馬とそばの里で知られている木曽郡木曽町の開田高原に向かう途中出会いました。「はぜかけ」とは、稲刈り後、すぐに脱穀をせずに天日干をして、稲を自然乾燥させることです。地域によって形は様々。山間の木曽ではご覧のとおり、何段にも積み重ねて狭い土地を有効活用しています。平坦な土地ではこんなに上層に積み上げることはしません。天日干しをすることで、米のうまみが増すため、手間隙はかかりますが、「天日干し米」もしくは「はぜかけ米」として、これらのお米はブランド化され、長野県でもその普及を推進しています。はぜ掛けはおよそ2週間。太陽を浴びて、じっくりとうまみを醸成中です。
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●今日30日はくるみの日だそうです。これは「く(9)るみ(3)はまるい(0)」の語呂合せからだとか。縄文時代から日本列島では栽培され続けている木の実で、日本では長野県東御市(とうみし・旧小県郡東部町)がクルミの生産量日本一です。くるみ博物館というサイトによれば、昔はどこの家にもクルミの木があったそうで、この東御市の農村女性ネットワークとうぶのみなさんがつくられた「くるみ料理・レシピ一覧」が公開されています。梅のくるみ入りおにぎり、くるみの海苔巻き寿司、くるみおはぎ、くるみ入り巨峰の笹餅といった主食の一部になるもの11種、お総菜の青菜のくるみ味噌あえ、くるみ衣のエビフライ、野菜串さしくるみ味噌あえなど17種類、デザートのくるみクッキー、干し柿のくるみ菓子など11種類、薬味としてくるみ味噌など3種類など、クルミをふんだんに使ったレシビを堪能できます。
そして明日10月1日は衣更え(更衣・衣替え)の日です。衣服が冬バージョンに一斉に替わる日です。信州はどんどんと秋が深まっています。今年ももう後3カ月。明日2日でちょうど残りは今年も90日になります。3日は旧暦八月十五日。この夜の月は、左側がほんの少し欠けていて、満月には1日足りないのですが、
昔から「中秋の名月・芋名月」と呼ばれ、月見をする風習があります。よく晴れなくてもいいのですが、雲間に月の姿など見れればよいですね。しかしこのところ前線が本州南岸に停滞しているからなあ。この雨が早く去ってくれると、絶好の月見日和になるのですが。
4日は天文学的な意味での満月。英語では「収穫月( Full Harvest Moon )」と呼ばれています。収穫月というのは、秋分の日に最も近い満月のことで、普通は9月の後半に訪れることが多いのですが、ごくたまに今年のように10月に入ることもあります。もちろん北半球ではだいたいどこも今ごろが年にいちどの収穫のピークシーズンで、農家はきまって大忙しになっています。月が明るいので、日が沈んだ後までいっしょうけんめい収穫を続けるために、収穫月というのです。この収穫月の満月は、月の出と日没の時間がほぼ重なるのが特徴です。長野市の場合だと、4日の満月は夕方5時6分にのぼってきます。5時27分が日没ですから、ほとんど差はありません。明るさが昼から夜へと引き継がれるので、農家は手塩にかけてきた作物の収穫に没頭できるのです。
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秋の七草は、春のそれほど騒がれることもありませんが、伊勢神宮の外宮などでは秋の観月祭のときには、秋の七草が月に供えられます。春の七草と違って秋の七草は料理にするものではないとしばしば言われますが、秋の七草も古代にはそれぞれが薬草として使われていたとも言われています。秋の七草をあなたは間違わずに言えますか? 「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花(万葉集・巻八)」という山上憶良の詠んだ歌がもとになっています。萩(はぎ)、尾花(おばな:すすき)、葛(くず)、瞿麦(なでしこ:撫子)、姫部志(おみなえし:女郎花)、藤袴(ふじばかま)、朝貌(あさがお:桔梗)。最後の「あさがおの花」が何かははっきりしませんが、桔梗であるという説が一番有力とされています。覚え方としては「ハギ・キキョウ / クズ・フジバカマ / オミナエシ / オバナ・ナデシコ / 秋の七草」を繰り返して歌として覚えるものの他、「おすきなふくは」「ハスキーなおふくろ」というそれぞれの頭文字からとったものがあります。
長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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