新信州暦 お月見の準備はできていますか?

autumn.jpg朝から照りつけていた日差しはいつしか和らぎ、爽やかに通勤できるようになりました。半袖のワイシャツから長袖に切り替えた人たちの姿も、だんだん多く見うけられるようになりました。窓を開けて寝ていても、寒さで目を覚ます夜もある程です。それでも鈴虫たちの音色は心地よく、やっとぐっすりと眠れそうな季節がやってきました。信州はもう秋です!

littlebiggrape.jpg秋になればいよいよ本格的な収穫の季節。暦の前半はここにきてまずピークシーズンを迎えた農産物の話題を中心にお届けします。このブログマガジンでも募集をしました北信州に位置するJA須高のあの新しいブドウ、「うまさがギュッと詰まったぶどう」の出荷がはじまりましたよ! 「巨峰」を小ぶりに育てた、1房約180〜200グラムという食べきりサイズのブドウです。主に県内と関西の市場へ出荷されます。関西のみなさん、期待していてくださいね。また長野県オリジナル品種「ナガノパープル」の出荷も順調です。お近くの販売店でお見かけの際には、ぜひお試しください。JAグリーン長野でもぶどう(巨峰やピオーネ)の出荷が好調。高温の影響で着色はやや遅れていますが、味よく仕上がっています。管内の今年度出荷量は1000トンを見込んでいます。

momo.jpg桃の季節はすでに後半戦に突入です。JA北信州みゆきでは「川中島白桃」や「黄金桃」が最終を迎え、晩生種の「美香」「あぶくま」の出荷がはじまりました。例年より全体的に3〜5日ほど桃の生育は遅れていますが、現在は玉肥大、糖度ともに例年通り上々に仕上がっているようです。今月20日前後には、「だて白桃」や「白根白桃」の出荷に切り替わるとか。

meron.jpg信州の中心部に位置するJAあづみでは、網メロンの代表品種「アールスメロン」の出荷がピークを迎えています。「アールスメロン」は「アールスフェボリットメロン」が正式名で、意味は「伯爵のお気に入り」。19世紀末にイギリスのラドナー伯爵邸の農園で最初に作られたことからその名がつけられました。この時期は他の産地の出荷量が減る時期でもあり、高品質のメロンをおよそ10月上旬まで、信州安曇野からみなさまにお届けできるでしょう。

wine.jpg桔梗ヶ原に広がる広大なぶどう畑を背景にして、ぶどうとワインの里で名高いJA塩尻市のワイナリーでは、今月からナイアガラとコンコードの仕込みがはじまります。実はJA塩尻市産の北米系赤ワイン「コンコード 2009」は、今年の「国産ワインコンクール2010」にて奨励賞を受賞した実力ワイン! 今年もいいワインができますようにと生産現場は期待に胸を膨らませ、ワインづくりに励みます。

lettuce.jpgJA塩尻市JA洗馬では、旬を迎えた秋レタスの出荷が続いています。信州の高原でとれる夏レタスを除けば、本来夏レタスは固く苦いのですが、秋レタスはやわらかく、今が旬です。出荷は来月まで続きますので、信州の秋野菜にもご期待ください!

okome.jpg実りの秋の先頭を切る、お米(新米)の出荷も開始です。JA松本ハイランド産の「あきたこまち」は全量が最高品位の1等米で出荷され、9月末までに約510トンの出荷が計画されています。また、JA松本ハイランドでは20年前から低農薬米の栽培にもとり組んでいます。有機低農薬米研究会今井支部は、除草用のコイ「マゴイ」を水田に放ち、コイの力を借りて農薬を減らす工夫をしてきました。

sakunofuna.jpgコイといえば、先週も暦でお伝えしたように、コイ科に属するフナの稚魚、小ブナの販売がピークです。東信州に位置するJA佐久浅間と南信州に位置するJA上伊那では、小ブナの出荷が、最盛期を迎えました。市内ではJAの店頭やチラシで「小ブナあります!」の文字がちらほら。小ブナを使った郷土食としての「フナの甘露煮」は、今では消費量が少なくなったとはいえ、お酒好きや季節限定のごはんのおかずとして、根強いファンに愛され続けているもの。

shinsyuninnjinn.jpgJA佐久浅間管内では「信州人蔘(にんじん)」の収穫作業がはじまりました。ウコギ科の多年草で、漢方生薬として滋養強壮・健胃・鎮痛効果などの薬効が知られ、古来から健康増進に珍重されてきたものです。「信州人蔘」は加工され、漢方製剤としても利用され、健康志向で需要が高まっています。出荷は11月中ごろまで。信州人参のホームページには「収穫した畑では、その後30年間に渡って信州人蔘は育たないと言われ、信州人蔘の畑は適地を求めて次々と山中を移動します。日陰で土中の栄養分をじっくりと吸収蓄積して高い漢方成分を生み出す」と記されています。

kiku.jpg彼岸の飾り花用としての小菊の出荷も、安曇野市堀金烏川のJAあづみそ菜特産流通センターではじまっています。農家が持ち込んだ小菊を一本ずつ丁寧により分ける「一本共選」は21日まで続けられ、静岡県を中心に出荷がされます。全国的に数量が少なくなっている小菊は、市場からの需要も高く、地域の期待も高まります。

nougyousai.jpg編集部から休刊日のお知らせです。今月は水曜日が5回あり、来週は平日が2日お休みとなりますので、当メール+ブログマガジンも発行をお休みとさせていただきます。次回の発行は9月29日(水)です。すっかり秋めいてきた信州の情報と、各地のJAが行う年間のうちでもメインとなるイベント、収穫祭のお知らせも順次お届けできることと思います! 各地のJAの農業祭では、旬のおいしい農産物がお買い得に手に入ります♪ ぜひカレンダーにしるしをつけて、ドライブがてらご家族やお仲間とお出かけの予定にいれてください。

top_0915_top_fix_small.jpg*巻頭のカバー写真を入れ替えました。ようやく秋めいてきた信州は佐久市前山の森です。先週日曜日の昼すぎに森へ入ると、木々の葉がわずかに色をつけていました。昼すぎとはいえ涼しさが心地よく、少し前までこの辺りはセミの大合唱が聞こえていましたが、これからは鈴虫の大合唱へと変わっていくことでしょう。


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otukimi.jpg本日15日、日の出の時間は午前5時29分でした。日没の予定は午後5時56分です。昼間の時間が12時間と27分。昼と夜の時間がだんだん近づいてきましたね。今夜は上弦の月。半分の月は、昼過ぎにのぼってきて、真夜中には沈んでしまいます。満月まであとおよそ1週間です。来週はこのブログマガジンもメルマガも休刊ですから、今週はお月見準備号ということになります。

harvestmoon.jpg満月は秋分の日、23日木曜日。満月と秋分の日が重なるので、秋分の日に最も近い9月か10月の満月を「収穫月」とするというきまりから、23日はフル・ハーベストムーンになります。ロマンチックな呼び名ですが、実際は、日没と前後して明るい月がのぼることから、農家が収穫作業に忙しく、夜になり暗くなっても野外では月明かりのなかで作業ができたことで、この名前がついたそうです。信州の果樹農家も、数週間は猫の手も借りたい忙しさでしょう。

nashifes.jpg南信州では梨がおいしくなっています。くだものの里松川町では19(日)にJAみなみ信州西選果場で梨祭り開催が予定されています。のどの渇きを癒し、疲労を回復してくれるなし。たくさん種類のあるなしのなかでも一番美味しい旬である20世紀・サンセーキ・豊水がならびます。

chikuma_kangetsu.jpg20日敬老の日は彼岸入。暑さ寒さも彼岸までのお彼岸です。この日を含めた7日間が彼岸の期間。そして20日の夜になれば、もう月はほぼ丸く見えているでしょう。満月へのカウントダウンがはじまります。翌々日の22日は旧暦八月十五日で、この日の月を「中秋の名月」「芋名月」などと呼び、月見をする風習が日本全国にあります。旧暦八月十五日と九月十三日の両日に月見をする風習もあります。そこで信州で「お月見」といえば、さらしなの月を忘れることはできません。松尾芭蕉をはじめ多くの文人・墨客の訪れた地として知られる、さらしな・おばすて。名月の里として知られるその地は、現在長野県北部の千曲市にふくまれています。

homeofmoon.jpg「さらしなの里、おばすて山の月見ん事、しきりにすすむる秋風の心に吹きさわぎて・・・」

これは松尾芭蕉の『更級紀行』の書き出しの部分です。山も、月も、秋風も、芭蕉の当時と変わることのないさらしな・おばすてでは、月が満月に近づく22日から、月齢18日寝待月の26日まで第27回信州さらしな・おばすて観月祭がおこなわれ、俳句大会をはじめ、農道道しるべ(ライトアップ)、棚田ボランティアガイド、地物野菜や果物・おやき・地酒などが並ぶ市、月見汁の200食無料配布、棚田米おにぎり無料配布などが準備されます。

timemoneyAF.gif23日は二十四節気のひとつ「秋分(しゅうぶん)」。暦便覧という江戸時代の暦の解説書に「陰陽の中分となれば也」と書かれていました。太陽が赤道の上を通過する日は一年に二回あり、秋分はそのひとつです。もうひとつが春分です。北半球においては、春分が春を告げる日であり、秋分は秋のはじまりを告げる日です。陰の力と陽の力が完ぺきにバランスを取りあい、昼と夜の長さがほぼ同じになるのです。北半球の伝統的な文化においては、この日は、夏という万物が成長する季節が終わり、果実の実りと種子の自然落下を確認し、収穫の時を告げるものであって、同時に冬を迎える準備をはじめる日でもありました。23日、長野市の日没は午後5時44分、月の出は午後5時18分。

rabbitmoon.jpg322年前の貞享5年旧暦八月十五日に、おばすてで中秋の名月を見た翌日、松尾芭蕉は「しなのの国さかきといふ所」現在の坂城町(埴科郡)の十六夜山で十六夜の月を鑑賞しています。現在では十六夜観月堂の北側には芭蕉の句碑が建てられています。「いざよひもまた更級の郡かな」と。23日の月は十六夜(いざよい)の月、この月はまた不知夜月(いざよいづき)などとも書かれます。この日の月は午後5時17分に上り、翌朝の6時11分に沈む(長野市の場合)ため、一晩中月が出ているので、夜を知らないことから名づけられたともいいます。この日芭蕉は坂城で名産のねずみ大根を食べたことが次の句からわかります。「身にしみて大根からし秋の風」

ohune.jpg26日は彼岸の期間の最後の日、秋の彼岸明。彼岸の明ける26日から、27日にかけて安曇野市の穂高神社で例大祭の御船祭。高さ6mにもなる船型の山車に、穂高人形を飾った大小5艘の御船が境内を練り、ぶつかりあう勇壮な祭りです。海のない信州にもかかわらず、穂高神社や他の神社でお船祭りが開かれたり、神社の御神体が木舟であることがけっこう多いのは、その昔、北九州や朝鮮半島を拠点とした古代海人族の「安曇族」が信州安曇野地方に移住したことを物語るものかもしれません。ロマンを感じるこの祭りのクライマックスは27日の午後3時頃。

あらためて繰り返しますが、毎週水曜日に発行更新の週刊ブログマガジン「長野県のおいしい食べ方」は、次週22日は休刊日となりますから、次号は29日になります。月を愛でる2週間を、信州産のくだものなど召しあがりつつ、心豊かにお過ごしください。

indexarrow.gif 長野県の夏の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
indexarrow.gif 長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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