新信州暦 収穫の秋いよいよ本番へ

reki20120912_01.jpg稲穂がたくさんの実りをつけて重そうに頭をたれ、それは黄金色の海となって目に眩しく映る頃。その上ではトンボが優雅に舞い、また近くではコスモスが風に吹かれてヒラヒラと花びらを揺らす、そんな秋ならではの光景が広がっています。またソバ畑の多い長野県内では、ソバの白い花と黄金色に染まる田んぼ、そして大豆の葉っぱの緑色と、白と黄色、緑のコントラストが美しく、まるでパッチワークのように耕地が広がっています。

reki20120912_02.jpgそして、いよいよ長野県中部や南部では続々と稲刈りが行われています。
北アルプスの麓に、のどかな田園地帯が広がる安曇野。晴天に恵まれた先週半ばは、早朝からコンバインの動き回る光景が至る所で見られ、あっという間に稲が刈り取られていきます。稲刈りといえば、昔は10月頃のイメージがあったのですが、その時期も年々早くなっているように感じます。

reki20120912_03.jpg日中は照りつける陽射しの強さを感じるものの、朝晩はだいぶ涼しくなりました。
晩には家の窓を開けずに寝れるほどですが、とはいえ虫の涼やかな音が聞こえないのも物足りなく、時折ひんやりと吹く風を浴びながら虫の音を楽しむ、そんな秋の夜長です。 最近はめっきり暗くなるのが早く驚くほどで、夏至の頃と比べると1時間以上も昼間が短くなっているもよう。ちなみに9月は「長月」といいますが、これは少しずつ夜が長くなるため「夜長月」が略されて「長月」となったそうで、今月末には、さらにもう30分も昼間が短くなるそうです。

reki20120912_04.jpg実る稲の間を元気良くピョンピョンと跳ねるイナゴ。このイナゴを佃煮にしたものが店頭に並ぶようになりました。昔はよく、田んぼに入ってこのイナゴを捕まえたものです。佃煮にするために熱湯で茹でられたイナゴの姿は、子供の頃は可愛そうで泣いて悲しんだものですが、食べてみると案外カリカリとした軽い歯触りで、甘じょっぱさが後を引く、なかなか美味しいものなのです。なんてことを言ってると、さすが長野県、ゲテモノ食いなどと言われてしまいそうですが・・・。

reki20120912_05.jpg軽やかな様子でコスモスが風に揺れています。ついこの間まで太陽に負けないほど大きく力強い様子で咲いていたヒマワリの花は、そろそろ花としての役割を終えぐったりと頭を垂れてしまいました。そんなヒマワリの花は今度は種取り用となるのでしょうか、頭をネットで覆われています。このようなヒマワリ畑はちょっと異様な光景でもありますが、こうして次世代へと命が繋がれていくのでしょう。

reki20120912_06.jpg あなたは今、どんな果物を食べているでしょうか?
夏の暑さを潤してくれたスイカも8月になると桃が加わり、その桃ももうそろそろ終盤となって、今はブドウや梨が県内の売り場をにぎわせています。梨なら幸水や豊水が旬です。またブドウは、長野県中部地区では巨峰やピオーネ、ナイヤガラ、北部では巨峰のほか、長野県オリジナル品種のナガノパープルや、またシャインマスカットなどが続々と登場しています。天候に恵まれた今年は甘味も強く「とてもいい出来栄え」との声が各地で聞かれますから期待してくださいね。
またブドウの収穫期を待っていたように、ワインの仕込みも、そろそろ行われます。
さらに長野県といえばリンゴの産地でもありますから、今は”つがる”に”さんさ”も走りのリンゴとしてお楽しみいただけます。
いろいろな種類の果物が出回る時期、何を食べようかと迷っている人も多いのではないでしょうか、そんな贅沢を感じる実りの秋の到来です。

reki20120912_07.jpg 園芸王国の長野県ですから花の栽培も盛んです。
先週長野市では44回目となる信州フラワーショーサマーセレクションが開催されました。毎年夏と冬の年2回開催される切花と花木類の品評会。今年も500点ほどが一堂に会し、その生産技術や美しさが競われました。暑い夏場ではありますが、この時期生産されるトルコキキョウは、夏場でも日持ちのするものだそうで 出荷量は全国一です。また母の日に送る花としてのイメージが強いカーネーションも、県内では夏場が出荷の最盛期としてこれも長野県が全国一の出荷量を誇ります。そろそろ涼しくなり花持ちも良くなる時期。毎日の心の潤いと安らぎに花のある生活をおたのしみください。

reki20120912_08.jpg小ブナの出荷が始まりました。
県南部の駒ヶ根市や東部の佐久地方では、この小ブナを秋の風物詩として食べる習慣があります。その味わいは、身が締まって味も大変良いと、地元でも人気の小ブナ。駒ヶ根地方では秋祭りにこれを郷土料理「煮つけ」にして振舞います。佐久地方では大勢の人に知ってもらい味わってもらおうと、「鮒(ふな)まつり」が毎年開催され、多くの人だかりとなる人気ぶりだそうです。最近では長野市内のスーパーでもこの小ブナを見かけるようにもなりました。

reki20120912_09.jpg秋野菜の種蒔きや定植が行われています。
安曇野市穂高の牧地区では、伝統野菜「牧大根」の種蒔きが行われました。これは肉質が緻密で硬く漬け物に最適な大根で、明治時代から地域で親しまれてきたものです。牧地区でしか栽培できないために生産量は少なく、また近年ではその担い手不足が課題として「牧大根プロジェクト」が発足され、次世代につなげるための活動も今年で7年目となりました。大根は11月中旬には収穫され、その後、牧大根祭りで販売されますが、例年あっという間の完売品。また”うんめえ漬け”としても販売されます。

もうひとつ安曇野ネタです。連続テレビドラマ小説「おひさま」の舞台ともなった安曇野の入り口となるインターといえば”豊科インター”ですが、来月の10月7日からその名称が変わり”安曇野インター”になります。この名前を見たら自然溢れる豊かな光景を思い浮かべてください。10月からはお間違えのないようによろしくお願いします。

近代遺産として、またドラマや映画のロケなどでも何度も使われてきた上田市浦野の市浦里小学校の木造校舎など5棟が全焼してしまいました。2階建ての旧管理棟(旧校舎)は1924年(大正13年)の建築で瓦屋根に外壁や木枠は木製のつくりといった、今年で140年を迎える歴史ある建物。これまで何度も統廃合が議論されながらも地元では、地域の象徴としての思いから小学校を存続してきただけに、悲しみは大きいものです。

reki20120912_10.jpg早くも秋を通り越し、冬の準備も始まっています。
長野市にあるエムウェーブでは、先週から一周400メートルのスケートリンクの整備に向けた作業が始まっています。氷の中にちりやほこりなどの異物が混ざるとスピードが落ちる影響になるとされることから、いい氷を作る為、職員は命綱をつけて地上40メートルほどでの天井や照明設備の清掃を行いました。今後6トンから8トンの水をまき続け、4センチの厚さに仕上げたリンクは、来月7日には一般向けとしてオープンし、また12月3日には4季ぶりとなるスピードスケートのワールドカップ長野県大会や、来年2月の全国中学校スケート大会などで使われます。

reki20120912_11.jpgまだまだ日差しは強いものの吹く風はひんやりとして、季節は着実に秋へと向っていますが、まだまだ遊び足りずに今年最後の夏の余韻を楽んでいたい気持ちもあります。涼しくなっていくのは何だか少し寂しいようなそんなこの頃です。



reki20120912_cover.jpg[巻頭のカバー写真]安曇野にて。風に揺れるコスモスの花、そして顔を垂れるヒマワリと青々とした大豆の葉。その奥には収穫を待つばかりの黄金色の稲が広がっていました。

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*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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