長野県のおおかたの所では稲刈りが終了し、刈り取られた稲の長い丈が重そうにはぜに掛けられている様子には貫禄が感じられます。刈り取られた稲は少しの間干して乾燥させた後、はぜから降ろされますので、こんな光景が眺められるのもあと僅かでしょうか。
早くも雪の話題が聞こえてきました。冷え込んだ4日の朝、県北部の飯綱、黒姫、斑尾山では、早くも頂上が白く雪に覆われました。また北アルプス・後立山連峰では、爺ケ岳以北の山々で中腹あたりまでが雪化粧、また志賀高原横手山などでも平年より19日早く、紅葉しはじめた木々や道沿いの草木にうっすらと雪が積もりました。
実りの秋、収穫の秋、10月の県内は農業祭や収穫祭など週末ごとに各地で行われます。米にリンゴ、梨にブドウ、サツマイモに栗等々、秋の味覚がぞろぞろ顔を出しています。8月中旬より行われてきた出荷前の米の放射性物質検査ですが、県内で生産されている全76市町村(78カ所)を対象におこなった結果、このたびすべてで放射性物質が検出されなかったとして、県農政部では今年生産された米の安全宣言を発表しました。
リンゴがたわわに実をつけている光景も信州に訪れたならば目にする、信州ならではの風景でしょう。そう、いよいよこれからリンゴのシーズンも忙しくなります。長野県オリジナルの品種として栽培され、また”リンゴ3兄弟”の愛称で親しまれる兄弟の一番手”秋映”がいよいよ登場です。その名も「秋に映(は)えるりんご」であることから命された、水分たっぷりで歯切れがよく、爽やかな酸味が美味しく感じられる秋映。その後、豊かな甘味を感じるシナノスイート、甘味と酸味のバランスが絶妙なシナノゴールドの兄弟も順次登場しますので、それぞれが持つ味の個性をお楽しみください。
直売所で物色していると、県外からツアーで直売所に立ち寄られた方でしょうか、「リンゴが欲しいけれど、重いから持って帰るのが大変で・・・どうしようかしら・・・」とリンゴの購入を悩んでいる方がいました。確かに実がぎっしりと詰まったリンゴは重く、それが1袋にだいたい4〜5個入って販売されているのですから、重さはかなりのもの。しかし”1日1個のリンゴで医者いらず”などともいわれますし、信州のここでしか味わえない採りたての味覚を是非とも味わっていただきたいところです。
県中部はJAあづみ(安曇野市)では、以前から交流があり福島第一原発事故の被害にあった福島県郡山市のJAへ、安曇野で採れた新鮮な農産物を運び販売を行いました。販売された農産物はジャガイモやナス、タマネギ、豆など13種。地域住民から「私たちの思いも届けて」と集まった自宅で採れたものも集まり翌日には郡山市で販売。また野菜の販売のほか安曇野地区で昔から行われてきた、もみ殻を燃料にご飯を炊く「ぬかくど」も行い、炊いたご飯でおにぎりと、さらに味噌汁200食も作り集まった住民をもてなしました。
県北部の上高井郡小布施町では、特産の栗が直売所に並びはじめました。周辺の栗畑では、大きな丸いイガが割れて、口を開けた隙間から栗の実を覗かせているものもあり、早くその硬い皮に覆われた黄金色に輝く粒をふんだんに、
ご飯にまぶして栗ご飯を食べたいものです。また県中南部の木曽町開田高原ではそば祭りが行われ、打ち立ての新そばを大勢の観光客が味わいました。また開催されたそば食い競争では、保育園から高齢者まで70名が3分間に食べた新そばの量を競いあいました。
香川県の小豆島で開かれた「第25回日本一どでカボチャ大会」で、長野県は上伊那郡宮田村の北原三次(みつぎ)さんが育てた重さ423.8キロのカボチャが見事優勝を果しました。”アトランティックジャイアント”という品種のこのかぼちゃ、高さ87センチ、周囲は405センチ。10月に米カリフォルニア州で開催される世界大会には日本代表として出場します。「大会記録の500キロに届かず残念」と言いながらも「また良く面倒を見て大きなカボチャを育てたい」と言う北原さん。ちなみに日本一のこのカボチャ、12月の冬至にくりぬいて「カボチャ風呂」にする予定なのだとか。
夏場の畑で他の野菜たちが暑さでグッタリと葉を垂れているなか、ひと際立派に、そしてたくましく大きな葉を広げているのが里芋です。そんな里芋も収穫の時期を迎えました。ちなみに里芋は『土に預けておく』という言い方をするそうですが、それは里芋が、頻繁に手を加えなくても立派に成長して実りをもたらしてくれるものであることから。だから忙しくて農作業になかなか手が回らない人にはピッタリの作物だそうで、また親芋から子芋、孫芋と一緒にくっついて生る縁起の良い食べ物。スーパーなどでは通常あまり見かけることはないかもしれませんが、この里芋の親芋がまた、茹でこぼして素揚げして、甘辛い味付けでトロトロ煮込めば、ことのほか美味なのです。
10月から11月には、長野県が誇るリンゴを筆頭に県内の特産品が首都圏や関西圏でも販売される機会も多くなります。大阪のメインストリート御堂筋を一日限定で歩行者に開放し、大阪の新しい魅力を見つけてもらうイベント“御堂筋kappo2011”が今月9日(日)12時〜16時、御堂筋の淀屋橋交差点〜新橋交差点、約1.9キロで開催されます。その中の「味旅JAPAN」のブースでは、長野県のリンゴ“シナノスイート”と、梨の“南水”が販売される予定です。
東京では今月15日(土)〜16日(日)“信州発 食と味覚フェア2011”が今年も池袋サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4階にて開催されます。この信州ご当地グルメが大集合するフードフェア、そばやおやき、塩尻市ご当地グルメの山賊焼きなどB級グルメ、スイーツなど長野県でも現地に行かなければ出あえないものともこの場では出あえます。また両日200名さまに先着で、ご来場特典として信州産リンゴのプレゼントもいたします。食べきれない2日間、入場は無料です。これに先立ち、7日(金)から16日(日)まで、池袋サンシャインシティ 専門店街アルパとスカイレストランにおいて“ご当地グルメレストランフェア”も開催されます。各レストランで、信州産の食材を使った期間限定オリジナルメニューを味わえる10日間。食と味覚フェアが待ちきれない方も、今週末から信州を味わうことができます。期間中、信州産の食材を使ったメニューを注文の(各店)先着30名さまに、飯田市名産の水引細工をプレゼントいたします。
日本各地の食や農に携わる人たちの声を紹介し、リスナーからの意見を反映させながら食と農の魅力を発信し、リスナーに“よい食”を実践するライフスタイルを提案するラジオ番組「みんなのよい食プロジェクトpresentsベジラジオ」がTOKYO FMをはじめとするJFN(全国FM放送協議会)系列局38局で全国放送されています。放送は毎週日曜日、午後0時より0時25分。また番組を通して東日本大震災被災地の農業復興も支援していきますので、是非お聞きください。
いよいよ紅葉シーズンもはじまりますね。北アルプスでは山々が紅葉に染まる絶景を楽しもうと、この週末には大勢の人が集い山は今シーズン最後の賑わいをみせることでしょう。また今月県内ではウォーキングやマラソン大会など、スポーツイベントも盛りだくさん。おいしい恵みをたくさん食べて体をよく動かし、日々を健康に過ごしたいものです。
*巻頭のカバー写真。上高井郡小布施町にて。信州の秋の味覚として、忘れてはならないもののひとつにある栗。野球ボールくらいの大きなイガのなかから栗の実が顔を覗かせていました。
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●朝晩と、このところ急激に寒さが増している信州。11月の気温ですよ、11月。外に出れば吹く風は冷たく、毎朝の通勤に「何を着ていこう?」と悩むこの頃です。すれ違う人は帽子や手袋をしている人も何人か見受けられ、深夜や早朝は家の窓や車のガラスが白く曇っていることも幾度かあり、また夜間はジッとしていれば寒さが襲い、とはいえ暖房に頼るのもまだ早いような気がして、毛布に脚をすっぽりと包んで過ごすこの頃です。急激な温度変化のせいでしょうか、職場内では風邪をひいている人もちらほら。また巷では既にインフルエンザも流行っているようですので、うがい、手洗いをしっかりして、暖かい服装でたっぷりの栄養と休養をとりましょう。
吹く風が冷たかったものの、比較的お天気に恵まれたこの一週間、週末には布団や洗濯物を干したり、また衣替えにあわせて夏物と冬物との整理をした方も多かったことでしょう。そうそう、一番最近使ったのはいつだったでしょうか、部屋の隅に置いてあった蚊取り線香も片付けました。長野市内の街路樹は、緑から徐々に黄色や薄オレンジ色へと葉の色が変化しはじめています。ついつい立ち止まってしまうほどに甘く香りを漂わせるのはキンモクセイ。また萩の目の覚めるような赤紫色も、先月から引き続き鮮やかな色彩で咲き誇っています。そして気付けばもう柿の実も、オレンジ色へと色付きが進んでいました。
そういえば安曇野が舞台のNHK連続テレビ小説「おひさま」が終わってしまいましたね。最近報じられたところでは、平均視聴率(関東地区)が18・8%だったことが、ビデオリサーチの調べでわかったそうです。放送開始が午前8時に変更された2010年以降では、「ゲゲゲの女房」(18・6%)、「てっぱん」(17・2%)を上回ったというのは、すこしだけ信州人の心をくすぐる数字ではあります。
今週金曜日頃からの7日ごろから10月りゅう座流星群(旧称ジャコビニ流星群)が夜空に現れはじめます。13年ごとに活発な出現をすることで知られていて、今年がその13年周期の年。9日明け方がピークです。暖かい格好で祈りごとを用意して夜空を見あげましょう。
9日は夜空を見あげるにふさわしい日で、十三夜でもあります。十三夜の月は「豆名月」とも呼ばれ、十五夜は中国起源でしたが、この日に月を見るのは日本にだけ残された風習だそうです。また9日は二十四節気のひとつ「寒露(かんろ)」です。暦便覧に「陰寒の気に合って、露むすび凝らんとすれば也」とあって、冷たい露の結ぶ頃となり、秋が本番になることを示しています。この日から次の「霜降(しもふり)」までの間の期間を言い、信州の稲刈りも終わるころです。
10月10日は「天天」「ten ten」であることから「空を見る日」とされています。爽やかで美しい信州の秋空を見ようと、長野県の文化人グループが発案して2002年に設けられた日です。その当時の趣意書に「山、川、緑に恵まれ、自然あふれる信州の美しい空を、しばし立ち止まって眺めてみませんか? 普段意識せず私たちの頭上に広がる空は日々刻々と色や深みを変え、見る者を元気づけ、ある時は落ち込ませ、またある時は喜ばせてくれる存在です。そんな空を10月10日10時10分に見上げてみませんか?」とあります。信州に縁のあるみなさんも、この日が晴れていたらぜひ空を見あげてください。その空は、アルプスをはじめとするいくつもの名峰が支えている信州の空とつながっています。
10日はまた「10」に関係するイベントが世界でも行われます。この日は「国際メートル法の日」なのです。10ミリが1センチで、100センチが1メートル、1000メートルが1キロとすべてが10の倍数から成立しています。メートル法は、18世紀末のフランスにおいて、世界で共通に使える統一された単位制度の確立を目指して制定されたとウィキペディアに記されています。わたしたちにはメートル法はあたりまえになっていますが、世界にはメートル法を使っていない国が3つあって、ひとつはアメリカです。これはたいていのみなさんがご存じですが、残りの2つの国は知らない人が多いようです。正解はリベリアとミャンマーです。
12日が満月。秋がいよいよ深まりゆくこの季節、自然の近くで生活している人は、冬の準備をするのと同時に深まる秋を楽しむために野鳥の餌を仕込んだ鳥のためのリースを作るのもいいでしょう。自分の家の裏庭に野鳥がよくやってくるのならなおさらです。隣で暮らしている鳥たちにも収穫祭のおすそ分けを。ツルになる植物、枯れて乾燥したヒマワリの花の部分を適宜、いろいろなハーブ類、背の高い草を適量、いろいろな種のついている野の草、小ぶりなトウモロコシなど、鳥たちの好む種をつけた植物を用意します。ツルになる植物を使ってまずリースのベースになる部分を円形に作ります。ぶどうの不要になるツルなどがあればぴったりですし、なければいわゆるツルでかまいません。このベースとなる部分のあちこちに乾燥したヒマワリの花の部分を、必要なら花飾り用のワイヤーを使ってぐるりとつけていきます。鳥たちが突きにきても簡単に落ちないようにしておく必要があります。それから手に入るいくつもの野の花や乾燥させたトウモロコシなどを取り付けていき、様々なハーブ類もあちこちにさしこんでリースを完成させましょう。完成したリースは鳥たちの目につきやすく、あなたとあなたの家族からもよく見えるところに設置します。鳥たちがこれを見つけて餌を食べに来てくれるなら、移ろいゆく秋の中しばらく家族で楽しめます。
長野県の秋の気象の特徴
長野県の気候 長野地方気象台のウェブサイトより
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