7月下旬から8月はじめにかけて低温が続き、どうなるかと心配しておりましたが、ようやく暑さを取り戻しつつあるようです。先週から今週にかけて県内では夕方どこかの空で夕立があります。災害は困りますが、おかげで涼しくなり過ごしやすくもなります。それにしても今週の長野市日中は暑くて耐えられないくらいです。しかし県内の高冷地では、お盆前までに穂が出なければ水稲は冷害となるいわれますが、穂は出てきたもののこれまでの天候不順がどのように影響するのか心配しています。
梅雨明け後の早い旱魃とその後の降雨・曇天により、特産の桃の出荷が遅れておりましたが、ようやく出荷量が増えてきました。また夏野菜の代表きゅうりは、例年お盆に向け出荷量が増えてこなければならない季節。やはり7月の高温の影響でしょうか、不稔により実のつきが悪く、数量が増えずに困っています。それにしても夏のきゅうりは、みずみずしくて味噌を少しつけるだけで、一本二本と食べれるのが不思議です。
デラウェアの出荷も始まっています。梅雨明けが早かったおかげで糖度も高いとのこと。お盆のデラウェアも定番です。主産地のJA松本ハイランドでは地元や中京・関西方面中心に13万ケース(1ケース4kg)が出荷されます。
今年の気候のせいでしょうか、長野県病害虫防除所が、アメリカシロヒトリとカメムシを県下全域にたいして、東北信地方のりんご、日本すもも、プルーン栽培地帯にスモモヒメシンクイの大量発生注意報を5日に出しました。アメリカシロヒトリは、街路樹や果樹の葉を食い荒らしますし、カメムシもコメの食害を引き起こすということでこちらも心配です。アメリカシロヒトリは、あの桜も好むようで人間にとっては厄介です。
盆暮れ正月には、里帰りをし、お墓参りをする方も多いと思いますが、この季節は、生まれ育った地方の方言がよみがえりますね。なぜか標準語がでてこない、記憶が呼び起こされるんでしょうか。あとおやきなど郷土各家庭定番の料理が食卓に並ぶのも楽しみです。地域によっては天ぷら用のまんじゅうなんていうものも売られています。
先月末、草刈を行った栄村の水田復興に向けたそばプロジェクト。8日〜12日にかけ、水田40枚分を延べ50人が蕎麦の種の播種作業を行っています。もともと水田だったところのため、排水用の溝きりも不可欠な作業となります。
県内の放射性物質については、毎週長野県によるサンプリング調査により、現在規制値を超える放射性物質は検出されておりませんが、県産牛肉の風評被害を防止するため、県内で飼育され、県内のと畜場に出荷される肉牛について検査体制が整い次第、全頭検査を実施することになりました。国の原子力賠償紛争審査会において、長野県は賠償対象県となっておらず、価格が低下する中、生産農家は非常に厳しい状況に置かれています。このような中、長野県産牛肉の安全性を消費者に伝えようと7日から21日まで信州産牛肉の安全・安心PRキャンペーンが行われています。ぜひ長野県の牛肉をご賞味ください。また、米についても8月下旬以降、県内全域78箇所において県産米の放射性物質検査を実施し、安全なお米を消費者の皆さんにお届けします。
*巻頭のカバー写真。土用の晴天が続く3日間、塩漬けしておいた梅を干すことによって、果肉を軟らかく、色鮮やかで味まろやか、そして殺菌効果も加わった梅干しが作られます(土用干し)。しかし天候不順が続いた今年は、ようやく天候が定まった8月に入って梅を干す作業が出来るようになりました。
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●11日は、西欧でも6月3日に始まり8月11日に終わる「1年で最も暑くて体にきつい40日とされる犬の日」の最後の日にあたります。日本でも立秋が過ぎて夏の終わりが見えかけています。泣いても笑っても暑い日はもうすぐ終わるのです。夏の終わりの夜空を彩る天文現象と言えば、ペルセウス座流星群を忘れてはいけません。すでにここ1週間ほど流れ星の数も増えてきています。出現のピークは、12日の夜から翌日13日の未明にかけて。お盆休みのころなので、空が暗くなったら上を見あげ、信州の街の灯から遠く離れた暗い空で、夜空に一瞬の魔法を見つけてください。今年は満月に近づいた月が空にあるので条件は厳しいですが、信州の夜空ならきっといくつか流れ星も見えることでしょう。うすだスタードーム(佐久市臼田)でも12日夜にペルセウス座流星群観望会が開催され、肉眼による流星観望のほか、望遠鏡による夏の天体観望も楽しめるそうです。脚を伸ばしてみるのもよいですね。
13日は二十四節気のひとつ立秋を3つに分けるまんなかで「蜩鳴く」にあたります。「ヒグラシ なく」と読みます。夕方の日暮れ時に鳴くことから、「日を暮れさせるもの」としてヒグラシの和名がついたとされますが、朝夕に響く声は涼感や物悲しさを感じさせ、夏の夕暮れの気分をいやがうえにも高めます。夏が終わろうとしているのを惜しむかのようなセミの声です。そしていよいよ週末。各地で月遅れのお盆ですね。お盆のこの時期、信州各地では盆踊りや花火大会などが催され、ふるさとはいっそう賑やかになります。農家の人は村の行事で忙しく、また遠方からの来客もあり、この時ばかりは畑をお休みする人も少なくないようです。今まさに長野の食卓は、いずこも新鮮な野菜で溢れんばかり。いっぱい食べても、箸をつけていないお料理があるほどで、こんなに美味しく新鮮な野菜を沢山食べられる信州の夏の恵みには感謝、感謝です。
14日、満月。夕方から善光寺お盆縁日(ぜんこうじおぼんえんにち)です。昭和の初期ごろまで境内で行われていたという盆踊りをもとに、2007年から新たに始まった夏祭り。参拝者と僧侶が本堂前のやぐらを囲んで自由に踊る「大盆踊り会」、蓮の花の精“蓮の童子”に扮した稚児とともに先祖供養を祈る「精霊会」など、境内各所でさまざまな行事がおこなわれます。今年は、東日本大震災 被災地復興祈願行事がおこなわれます。15日も。あ、15日月曜日は諏訪湖祭湖上花火大会も開催されます。信州の花火のメッカ諏訪湖の花火のなかでも最大のイベントで、4万発が湖上を彩るので、浴衣でも着て見に行きたいですね。
信州では月遅れのお盆であるこの15日をはさんで、14日(満月)、15日(十六夜)、16日(立待月)と、各地で往く夏を惜しむかのような盆踊りがおこなわれます。なかでも珍しいのが、南信州のさらに南端、愛知県境の阿南町新野でおこなわれる盆踊り。五百年以上の歴史がある神仏混合の、神々を供養する独特な盆踊りで、三味線、笛、太鼓といった鳴り物を一切使うことなく、歌にあわせてただひたすら踊る官能的なものです。15日の夜はとりわけ一晩中、朝日が昇るまで踊りが続き、最終的には数千人にもふくれあがることもある壮観なリズムが、16日明け方の「踊り神送り」で圧巻を迎えます。
最後まで踊り続けようとする若者たちと、それを押しのけて進む切子灯籠=新精霊が、激しくも感動的なせめぎ合いを演じます。天竜川流域の「三遠南信地方」は、”芸能の宝庫”といわれるほど古い民俗芸能が数多く分布する地域。阿南町新野は、冬の雪祭り・夏の盆踊りなど多彩な芸能を伝える民族学博物館のような村です。その場にいるだけで、古(いにしえ)のわたしたちの祖先の祭りの元型とエネルギーを感じることが出来るでしょう。
22日は、昼前に沈み、夜中に再びあらわれる下弦の月。また22日は藤村忌。1943年のこの日、筑摩県第八大区五小区馬籠村に生れた島崎藤村が71歳で亡くなりました。「血につながるふるさと・心につながるふるさと・言葉につながるふるさと」という言葉を残した藤村が生まれた馬籠村は、長野県に後に合併される筑摩県にありました。そして長野県を経て現在は岐阜県中津川市になっています。ですから藤村記念館は現在長野県小諸市と岐阜県中津川市馬籠の2個所に存在しています。小諸市懐古園内の藤村記念館では没後68年目となるこの日前庭で藤村忌を記念する講話がおこなわれます。また岐阜県馬籠にある藤村の菩提寺永昌寺でも藤村忌が執りおこなわれます。
23日は1太陽年を24等分にわけて季節感を表す二十四節気のひとつ「処暑(しょしょ)」。8月8日が「立秋」で、「処暑」は立秋から15日後になります。残暑と言い、猛暑と言い、酷暑と言い、この間暑い日が続きました。江戸時代の暦の解説本である暦便覧には「陽気とどまりて、初めて退きやまんとすれば也」とあります。処暑は「暑さが止む」と言う意味です。暑さが初めてこのころ少し後退すると暦は伝えています。暑さの峠を越すのもこのころですが、かといって急激に涼しくなると言うものでもありません。とはいえ朝夕には心地よい涼風が吹くのもこのころから。暑気をすり抜けてくる涼風や朝晩の涼しさに、信州では初秋の息遣いを感じるでしょう。稲が実るのもまもなくです。
8月は水曜日が5回あるために、8月17日は当ブログマガジンもお休みとなります。次号は8月24日の発行と更新です。良いお盆休みをお過ごしください。
長野県の夏の気象の特徴
長野県の秋の気象の特徴
長野県の気候 長野地方気象台のウェブサイトより
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