新信州暦 稲穂も重い頭をさげはじめるころ

inaho.jpgお盆も終わりました。学校もはじまりました。長野県内は涼しくなりはじめています。各地の田んぼでは稲穂が重い頭をさげるようになりました。朝晩は冷えるようになり、早くも毛布がほしくなるときもありますが、なにかまた梅雨にでも戻ってしまったかのように、雨の降る日が続いています。長野気象台からは、大雨や洪水・雷警報や注意報が頻繁に出されていますし、雨が多いので洗濯物の乾きもいまひとつです。お盆休みは終わってしまいましたが、今年の夏を十分楽しんだ方もそうでない方も、おいしいものを食べて秋を楽しみたいところですね。

obon.jpgお盆は正月と並ぶ大切な行事でした。少し信州のお盆をご紹介します。迎え盆の13日の朝、霊が急いで家に戻れるようにきゅうりで作った馬を作り、そして、ゆっくりと帰っていけるようになすで作った牛を供えます。お墓では、かんば(白樺の皮を乾燥させたもの)を燃やし、その煙で先祖が家に帰ってこれるよう家でもまたかんばを燃やし煙をあげます。16日の送り盆には反対にまず家でかんばを燃やし、そしてお墓でも燃やすという順番になります。地域によっては、かんばではなく、わらを燃やすところもあります。お盆中のごはんは、昔は貴重だった油を使った夏野菜のてんぷらはもちろん、善光寺平では「こりんと」という黒砂糖入りの生地を油で揚げたお菓子や、おやきが食べられています。なんでもご先祖様をもてなすため、bonodori.jpg13日から16日の間は3度の食事が同じにならないように気を使っていたそうです。お墓では、久しぶりに同級生に会うこともあり、田舎では一大イベントとなっています。やめてしまえばそれだけのことかもしれませんが、先祖を敬うことを昔の人は大切にしていたのだと、あらためて感じる大事な行事です。

ktruck.png東日本大震災関係の話題。JA長野県グループでは、被害のあった東北3県に、軽トラック30台と、刈払機や噴霧器を贈呈しました。これは、農業復興を担うべき被災地のJAの自動車も津波などによって被害があったためで、機動力をもって復興を進めてほしいとの思いがこめられています。県内の農家から提供された軽トラックを整備し、現地まで届けました。少しばかりの協力ですが、被害にあわれた農家のみなさんが早く農作物を作れるように、通常にもどるようにこれからも応援してまいります。

radioactive.jpg福島原発事故の関係で出荷停止になっていた東北の肉牛が出荷再開されはじめました。情報が多すぎてなにが正しいのか、なにを信じてよいのか不安になっている方もおおいと思います。長野県では県のプレスリリースでお伝えしておりますように、いろいろな農産物などでも検査を行っています。肉牛や原乳やお米、淡水魚などでも検査を行っていますが、いずれも放射性物質は不検出となっています。引き続き、検査を行うなどして信州の農畜産物を安全にご提供します。

furimando.jpgお盆の期間中に行われた県内の話題です。迎え盆の13日には佐久市ではどんどん焼きが行われました。真冬に行われることが多いのですが、浅科地域ではお盆の伝統行事となっているそうで、無病息災や害虫駆除を願って高さ6、7メートルのやぐらに点火されました。同じく13日南箕輪村では「振り万灯(まんど)(写真)が行われ、子供たちが縄の先に結んだわら束「万灯」に火をつけて振りまわしたそうです。15日には、各地で花火大会。roukakukofire.jpg長野市信州新町のダム湖でも、「第59回ろうかく湖とうろう流しと花火大会」が行われ、約4000発の花火が打ち上げられ、1000個もの灯籠の流れる様子を観客が見守りました。同じ日、諏訪市の諏訪湖では「第63回諏訪湖祭湖上花火大会」も行われ、東日本大震災や長野県北部地震による被災地復興を願って打ち上げられた「鎮魂花火」からスタートし、約3万9000発が次々と打ちあげられました。約50万人が来場、花火が夜空を焦がしていた2時間の間、歓声や拍手があがっていたそうです。例年ではありますが、周辺の高速道路が渋滞するほどの大人気でした。人が集まればごみも残されてしまうことがイベントの悩みかもしれませんが、翌日には市内外の有志680名の方が、ごみ拾いを行いました。suwakofire.jpg参加者からは年々ごみが減っているとの感想もあったようですが、こうした裏方というか縁の下の力持ちががいるおかげで、楽しく花火が見れることを忘れてはいけませんね。20日には、初めて大町市の大町温泉郷で水まつりが行われました。大町の豊かな水に感謝するために旅館やホテルなどの若手の経営者が企画し、神輿に向けて思い切り水を浴びせました。新しいお祭をはじめることは、大変かもしれませんが、地域を元気にしようという取り組みです。

S_mark.gif18日、来たる9月3日の諏訪湖で新作花火が1万6000発打ち上げられる「第29回全国新作花火競技大会」の有料自由席券が、JR上諏訪駅前の「スワプラザ」で販売がはじまりました。価格は大人が2000円から2500円、子供は1000円から1200円で、「スワプラザ」のほかローソンチケットなどでも販売されています。地元の方からは、15日の花火大会と比べると混雑も少なく、新しい花火が見れると好評だです。短かった夏を惜しみ収穫の季節を喜びに本州のほぼまん中にある大きな湖にいらっしゃいませんか。

shinshuapples.jpg次に農業関連の話題。まずはリンゴ。JAあづみでは早生種の「シナノレッド」の出荷がピークを迎えています。17日には「サンつがる」の出荷がはじまりました。これから「さんさ」「シナノドルチェ」「紅玉」へとリレーするそうです。いよいよ信州リンゴの季節になります。高温障害などが心配されていましたが、例年同様のできとのことです。また、桃も、川中島白鳳などの品種が出荷のピークを向かえました。「川中島白桃」も出荷がはじまっていますが、出荷時期が後の品種がおいしいという方もいますので、きっちり食べ比べをしなければなりませんね。JA松本ハイランドでぶどう狩りがスタートしています。9月中旬までは「デラウェア」、それ以降は「巨峰」や「ナイアガラ」が楽しめます。今年は気温の寒暖差が大きかったため、色づきもよく生育状況は良好。おいしい松本のぶどうはお召しあがりください。

rihgootome.jpgところで、みなさんはりんごなど摘果した実がもったいないと思ったことはありませんか? JAみなみ信州ではそれを加工品として利用しようと、お土産品を製造販売する会社「株式会社マツザワ」へ販売しています。なんでも、さわやかな香りと程よい酸味があっておいしいとのことです。こちらの会社で作られている「りんご乙女」はりんごを使った薄焼きクッキーで、さまざまな賞を受賞しています。サービスエリアやお土産店などで手に入ります。

20110824cover_small.jpg*巻頭のカバー写真。一面のセロリの畑。大きな農業用機械から両方に手のようなものが出て必要な作業を行っています。みずみずしく、歯ざわりの良い新鮮なセロリを食べれば、嫌いだなんて言う子供も少なくなるかもしれません。


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teruteru.jpg25日から28日まで、池田町にあるあづみ野池田クラフトパークでは「第5回いけだまち てるてる坊主アート展」が開催されます。美しい北アルプスと安曇野の田園風景が眺望できるあづみ野池田クラフトパークの芝生の上に、全国から応募された「てるてる坊主」を展示するユニークなイベントです。

misayama.jpg26日から諏訪大社(上社・下社)で御射山祭(みさやまさい)。諏訪大社上社の重要な狩猟神事の初日です。今では3日間ですが、昔は5日間続いたと記録にあります。江戸時代まではそれは「御射山御狩神事(みさやまみかりしんじ)」と言われていました。上社の御射山(みさやま)社は八ケ岳の山麓にあります。諏訪大社の分社であり富士見町と原村にまたがる林の中にある御射山社の穂屋(ほや)に諏訪大社の神さまが一晩篭ることから「穂屋祭」ともよばれていました。鎌倉時代、源氏の幕府は費用を信濃の豪族に交代負担させて全国の武将をこの神事に参列させ、八島高原や霧ケ峯一帯で武芸を競わせたりしたそうです。南北朝時代の説話を集めた「神道集」第4巻所収の『信濃鎮守諏訪大明神秋山祭事』では「平安時代初期、坂上田村麻呂が蝦夷征討のため信濃まで来た際、諏訪明神が一人の騎馬武者に化身して軍を先導し、蝦夷(えみし)の首領悪事の高丸を射落としたので田村将軍がとどめを刺すことが出来た。将軍がこの神恩に報いるため悪事の高丸を討ち取った日を狩猟神事の日と定め、御射山祭のはじめとなった。mato.jpgこの縁日(旧暦7月27日)になると討ち取られた高丸の怨霊が嵐を起こすといわれる」という伝説を伝えています。秋の台風は、滅ぼされた蝦夷の怨念だと考えられていたようです。御射山社祭の神事が終わる日没のころには、太陽と月と星(金星)を同時に拝むことができるとされ、これは「穂屋野の三光(ほやののさんこう)」といわれていて、諏訪七不思議のひとつになっています。この御射山祭ですが、今は、信州に夏の終わりを告げる祭礼とされ、サカナを川に流して厄を落とし、農作物の豊穣祈願と二才児の厄除健勝祈願が行なわれます。

nuclear.jpg27日は日本の原子の火がともされた日です。54年前の1957年(昭和32年)の午前2時23分に茨城県東海村の日本原子力研究所で臨界実験に成功。日本国中が喜んだのですが、半世紀後に東京電力福島原子力発電所の事故が東日本にこのような禍をもたらすとは誰も想像できなかったのです。

syuki.jpgこの27日と28日の2日間、連続テレビ小説「おひさま」の舞台となっている安曇野で、安曇野道祖神まつりが開催されます。各集落の辻々に祀られている道祖神は130数体があるといいます。安曇野の道祖神は男性と女性が寄り添う形のものが多く、温かい気持ちになれますよ。道祖神めぐりや穂高神社では講演会もあるそうです。

cosmos.jpg28日の第4日曜日には阿南町の早稲田神社で「早稲田人形芝居」が行われます。人形芝居(人形浄瑠璃)と聞けばよくあるものかもしれませんが、エンターテインメントではなく「本来の神に捧げる精神」が濃厚な姿として残っているのが、こちらの特徴です。またこの日は阿智村の治部坂高原スキー場ゲレンデでコスモス祭りが開催。標高1200m・約100万本(3ヘクタール)のコスモスは、まさに“花の海”。地域特産品販売のテント村がオープンします。浪合名物のトウモロコシや御幣餅などを販売されるそうです。先週末現在、やや遅れ気味だったゲレンデのコスモスも咲きはじめています。

milkyway.jpg29日は新月。この日は1年を72の気候に分けたときの41番目の候で「天地始めて寒し」の日。晴れていれば昼間の信州はいずこも最高です。空は高く、青い空に秋の雲が浮かびはじめています。昼はまだ多少は暑いかも知りませんが、天も地もクールダウンしつつあり、過ごしやすい日々がしばらく続くでしょう。霧のなかから陽が昇る信州の高原は、訪れる人の数も減って、たくさんのトンボたちが空を舞い、ススキも伸びて、秋がぐっと深まりつつあって、ひとりで静かに風の声を聞きながら物思いにふけったりするのには最適の季節。また新月の前後は夜空を眺めるのに絶好の季節です。今の季節、夜明けの天頂近くに、目がよければプレアデス星団が見えるはずです。双眼鏡をつかえばもっと良く見えます。プレアデス星団は日本名を「すばる」という星の集まりですが、古来から地球各地の人たちにとって農作業と密接な関係のある星と考えられてきました。プレアデスが空から姿を消す春から夏にかけてが農作業の季節で、秋になってプレアデスが見えはじめるとそれは一年の実りを象徴すると考えられていました。夜明け前の天頂でプレアデスは秋の実りを祝福しています。

vegetables.jpg8月31日はなんの日かわかりますか? 「野菜の日」です。なんで野菜の日かは、恥ずかしくていえません。1983年(昭和58年)に全国青果商業協同組合連合会が野菜の栄養価やおいしさを見直してもらおうと制定した日だそうです。おいしくなった秋のヤ・サ・イをたくさんめしあがれ。いよいよ秋です。季節の変わり目になってきていますので、体調管理は万全にして、おいしい秋の味覚を食べたいものですね。

indexarrow.gif 長野県の夏の気象の特徴
indexarrow.gif 長野県の秋の気象の特徴
indexarrow.gif 長野県の気候       長野地方気象台のウェブサイトより

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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