4月を迎えました。県内の小・中学校では昨日から今日にかけて入学式が行われているところが多く、たくさんの人が新たなスタートラインに立ちましたが、今シーズンは東日本大震災そして原発事故と、新たなスタートをきるにあたり今までとは違う心構えをした人も多いことでしょう。まず自分としては何をしなければならないか、そして何が出来るのかを考えながら、数百キロ離れた陸続きの同じ国内で、不自由な思いを強いられながらも歯を食いしばり今を生きている人々が居ることを胸に刻み、毎日を大切に、そして周りの人達との協力や調和を図りながら生活していかなければならないと思う日々です。
現在多くの県から災害の復旧作業に大勢の方が命がけで作業にあたられているほか支援の手は海外からも差し伸べられ、海外での募金活動をはじめ作業の手伝いや医療団の派遣、軽油やガソリンの提供など遠く離れた地からもこの日本を心配して支援をくれる行動に、いま人類が心をひとつにして東日本を支援していかなければならない思いを強くしました。
今回の災害により県外被災地から長野県内へ避難された方の数は、42市町村で700人ほどにのぼることがわかり、このうち98%が福島の原発事故の影響を受けて非難された方だそうです。慣れ親しんだ故郷を離れ、その故郷が様変わりしていく様を遠く離れたところから見るのは当事者でないとわからない辛さがあると思いますが、どうか今はゆっくりと静養し、じょじょに今後の方向を決めていただきたいものです。
4月を目前にした頃からようやく暖かさが感じられる日が多くなり、通勤途中、手袋をしない人の姿も多くみられるようになりました。とはいえまたすぐに寒くなったりと、安定しない春へと向かう天候ですが、先週末は冷たい風が吹き抜けながらも晴天の暖かな日差しに恵まれた県内では、鍬で土を掘り起こしたりと畑仕事に勤しむ人々の姿があちらこちらで見られました。そうして聞かれるのが「そろそろジャガイモを植えないと」という声。今年は寒さが長引いた為に、例年ですと県北部の長野市の場合4月頭に植えるのが通常ですが、その時期が遅くなっている人も多いようで、カレンダーと天気予報をにらめっこしながらそんな準備も急がれています。そうしていよいよ今後は二ケタ台の春らしい暖かさとなる予報で、桜の開花も待ち遠しいこの頃です。
先週末、県北部の長野市信州新町のろうかく梅園では、約2ヘクタールに植わる600本ほどの梅の花が3分咲きとなりました。例年より見頃は10日程遅く、今週末までの予定だそうですが、ようやく訪れた春の光景に人々はお弁当を広げたりカメラのシャッターをきったりと思い思いに楽しんでいました。
日本では自宅に梅の木が植えられている家も多くありますが、長野市内の庭に植わる梅の花も、花びらがそろそろほころびはじめています。今ではお花見といえば桜ですが、奈良時代以前には花といえば梅を指すことが多かったのだとか。また梅の花は品種が多く、実を利用する実梅は100種類ですが、花を鑑賞するのが目的の花梅は300種類にものぼると言われます。
またほかにも庭にはパンジーやスミレにスイセン、クロッカスなど黄色に白や紫といった花々が賑やかに咲き誇り、家に居ながらにして十分お花見が楽しめます。またそんな華やかさにこれから物事は何か良い方向にまわっていってくれそうな、そんな予感を感じると共に、そう願わずにはいられません。
県東部の上田市菅平高原では、1月に雪の中で保存したリンゴの掘り出しが行われ、約8500個が雪の中から姿を現しました。雪の中での保存は湿度、温度が一定になるため保存前と変わらない甘味と歯触りが味わえると好評で、この取り組みも今年で3年目。「菅平高原スノーアップル」として4日からはじまっている上田城千本桜まつり(24日まで)で販売されますので、桜散策のついでには是非このリンゴもお楽しみください。また売上げの一部は東日本大震災の義援金として被災地に送られる予定です。
県内のスーパーでは被災で影響を受けた方々を支援する活動が各地で行われています。店舗内の直売コーナーに出荷する地元生産者らは東日本大震災の被災地を支援する取り組みとしてチャリティー販売会を行い、生産者が直接店頭に立ち「売上げは全額被災地へ寄付します」との消費者への呼び掛けに、足を止めて農産物を買い求める人の姿も多く「こんなことしか出来ないけれど、被災者の役に立てば嬉しい」と話しながら農産物を購入していました。また他のスーパーでは福島原発の放射能の影響で、安全が確認されているにもかかわらず風評被害により消費が低迷している群馬、茨城県産の野菜を、安全性をアピールしながら通常より2〜3割安い値段で販売、またその売上げの1割を被災地に寄付することとしています。
長野県では救援物資の受け入れが再開しました。期間は11日以降15日までとし、配送効率化のため大口での物資提供が可能な企業や団体に限っての受け入れとしますが、対象物資はインスタント食品やみそ、しょうゆ、砂糖に飲料。またトイレットペーパーや洗剤、使い捨て容器など、集められた物資は岩手県に送られる予定です。
長野県北部地震で被災した下水内郡栄村では1日、被災した711戸に一律5万円の見舞金が支給となりました。自宅の修復などで多額の出費が見込まれるなか、全国から寄せられた義援金の一部を職員が各戸や避難所を回り直接住民に手渡し、住民からは感謝の声が聞かれました。村外に避難している人にも自宅や村に戻る日を確認して手渡す方針のほか、残りの義援金については住宅の被害程度に応じて村民に配分される予定です。また栄村は「絵手紙の村」としても知られるところですが、そんな村に全国各地から被災した村民を励ます絵手紙が届き、この激励に村民も復興の思いを強くしています。JR飯山線での「絵手紙列車」の運行や、村内にある絵手紙の展示・収納施設の営業再開の目途は未だたっていませんが、村では避難所の壁新聞にコピーを貼り付けるなど紹介しています。
県内各地からみそ作りの話題が届きました。昨年の夏は猛暑の影響で大豆の収穫量は例年より少なかったようですが、ゆでて潰した大豆に塩やこうじを混ぜる作業を仲間で輪となり行いおよそ1時間で完成。8月には天地返しを行って11月にはお待ちかねのみそがいよいよ食べられることになりますが、みそにはその家の味が出る。といわれるように、その味は家毎に様々で手作りの味は格別。市販にはない本物の味の完成が待ち焦がれるところです。
NHK放送の朝の連続テレビ小説「おひさま」がいよいよ4日からはじまりました。信州・安曇野、松本を舞台に戦前から戦後まで昭和という激動の時代を前向きに生きていくヒロイン・陽子のさわやかな一代記。テレビを通じて信州の自然豊かな景色を日々ご覧いただき、またその景色を確かめに長野県を訪れていただきたいと心から思います。
白鳥が生まれ故郷のシベリヤへと飛び立つ北帰行も、例年ですと終わりの時期を迎えていますが、どういうわけか今年の冬は各地でまだ多くの白鳥が滞在しているようです。諏訪湖の白鳥はすでにすべてが飛び立ってしまったそうですが、県南部・茅野市上川ではまだ数羽の白鳥が、また北部の飯山市の水田でも今だ多くの白鳥がこの地に留まり、見学者が与えるエサや水田で餌をついばみ、この光景を見られるのも後もう少しと、残り少ないこの光景を楽しませてくれています。
*巻頭のカバー写真。先週末(2日)安曇野市三郷で撮影した小麦です。りんご生産が盛んな当地域も早春で周囲はまだ多くは土色の世界。そんな中、緑色に萌える小麦の青さに目を奪われました。昨年よりも遅れている桜の季節もあとわずか、鮮やかな季節はもうすぐそこにあります。
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●例年ですと4月にはいったこの時期、長野市内から眺められる飯綱山や菅平高原など山々の頂上付近に少し雪が見られる程度ですが、今年はその麓の方までまだ雪が残っています。例年にない、そして長引いた寒さの3月でしたが、長野地方気象台のまとめによると、長野、諏訪、飯田、軽井沢の4箇所の観測地点において3月の平均気温は昭和59年以来の低さだったことがわかりました。また積雪量では、長野が平均より10センチほど少なかったほかは他の地域で平年並み。また山間部の飯山市や北安曇郡小谷村では、平年より2倍かまたはそれ以上の84年の観測以来もっとも多い積雪量になったそうです。
4月7日の夕方、月齢4の細い月とすばるが西の空で接近する光景が見られます。おうし座、オリオン座といった冬の星座ももうじき姿を消します。夕暮れの空を眺めてください。8日は花まつりの日。ほんとうは旧暦らしいのですが、日本ではさくらの季節であるこの時におこなわれるようです。仏教の開祖である釈迦の誕生日とされ、各寺院では釈迦の立像に甘茶をそそぐ儀式を行ないます。甘茶とは砂糖入りのお茶ではなく、ユキノシタ科のアマチャやウリ科のアマチャヅルを煎じた飲料で、漢方薬店で売っています。
9日は、1305年前の704年、大宝4年、国印がはじめて鋳造され、「信濃」という表記が定まりました。国印とは、国司の印鑑(いんかん)のことです。
ヤマトの律令政府が国ごとに与えて公文書にこの印を押させました。右の写真は字が読めるように鏡像にしてあります。「科野」「信野」を経て、このときから「信濃」という名前は1000年以上前からつかわれているのですね。
いよいよ稲の準備もはじまっています。県中部の松本市に本所があるJA松本ハイランド管内の育苗センターでは水稲の種もみの消毒が始まり、10日から順次生産者へ配布される予定です。この、湯に浸して種もみの殺菌消毒を行う温湯(おんとう)消毒方式、水温が低いと消毒効果は低下し、また浸種時間が長ければ発芽障害を起こすなど注意の要る、手のかかる作業ですが、これにより農薬を使わずに自然環境や作業する人に優しい種子の消毒が出来る方法とされています。
県北部に位置する長野市内では、まだしっかりとつぼみを硬くして桜の花がほころぶ気配はまったく見られませんが、県内一早咲きとして知られる県南部・下伊那郡天竜村では、先月31日にソメイヨシノの蕾が開き始め開花宣言が出されました。今年に入ってから冷え込む日が多く、開花の早かった昨年と比べれば12日程遅い開花だそうですが、ようやく県南部では春本番となり、南北に長い県内ではその北上が望まれるところです。先月30日に発表された日本気象協会による桜の開花予想では、県南部・伊那市高遠城址公園が9日、中部・松本城と東部・上田城址公園が12日、北部・長野市城山公園周辺が16日、南部・高島公園は17日、東部・小諸懐古園は18日、北部・飯山城址公園は20日、なお北部・更埴市森のアンズの開花は、上弦の月を迎える11日の予想です。
大正時代に書かれた「農事暦」(梅原寛重著)には「この月になると、農家のために肝要な所有地内の道路すなわち農業道などは、辺境(かたいなか)に至るまでよくつくり、牛馬諸車なども自由に往来するようにしておこう。山野についても、また同様である」とあります。いよいよ農作業が本格化。
「4月の驟雨」という言葉があります。冷たくて湿気の多い4月は牛を肥やすとか、スペインでも「4月の雨は一粒で千粒」ということわざがあります。4月の湿り気は5月の快晴になるとかいわれます。春に虹を見ると、24時間から42時間は晴れるとか西洋ではいわれています。4月の雨は貴重なのですね。日本では「春の日と親戚の金持ちはくれそうでくれない」などということわざも。春分の日を過ぎると、昼の時間が長くなり、仕事もきつくなってくるので、日没が待ち遠しくなるということでしょうか。
春を真っ先に告げる野菜といえば、アスパラガスです。冬がようやく終わり、根の野菜のときが終了したことをわたしたちに教えてくれる作物です。アスパラガスときのこをつかった簡単なパスタなんて、まずは食べてみたいです。りんごの花が咲いたらキャベツを植えるときだし、テントウムシをはじめて目にしたらトマトを移植するときなどといわれています。
長野県の春の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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