県内でも一足早い桜の開花を迎える南部の飯田市南信濃では、遠山川沿いに植わる桜並木「河津桜」が咲きはじめました。とはいえ春を間近にして、寒暖を繰り返す日々が続いています。長野県内も4月目前となっているのに、雪が降ったり、朝晩は氷点下まで気温が下がったりと、体調を崩した方も多いようです。また、街ではマスクをしている方も増え、花粉症との闘いもはじまっています。
東日本大震災の発生から20日余りが過ぎようとしていますが、じょじょに被害状況が明らかになってきています。言語を失うほどの甚大な被害が出ており、多くの方が犠牲となりました。心からご冥福をお祈りいたします。また、避難所生活を続けられている方にとっては、寒い中、まだまだ物資が不足し、厳しい状況が続いていると思われます。心よりお見舞い申しあげるとともに、暖かい場所で暖かいものが食べられ、ゆっくりと眠れるなど安心して生活が送れるよう支援をしていかなければなりません。心から少しでも早い復興をお祈りします。また、阪神大震災や中越沖地震などで被災された方が、その時の恩返しにと復興支援を行っています。震度6の地震が発生した県北部の栄村では、新潟県柏崎市の高校生がゴミの仕分けや搬出、家屋の片付けなどを手伝ったりと復興支援の輪がひろがっています。ひとりひとりが何をできるのか、いま一度考えなければなりませんね。同村では昨日28日時点で16の水道のうち10の水道が復旧、避難者は7箇所の避難所で現在290人となりましたが、震度3ほどの余震が現在もときおり続いています。
まずは、その地震に関連した県内の話題から。東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、福島県の周辺では、水道水や農畜産物に放射性物質が含まれていることが報道されています。この状況を受けて、近隣各県単位では、空気中や水、農畜産物などの検査が行なわれています。長野県でも県内の空気中の放射線量が測定されており、健康被害を受けるような状況にはありません。水道水の調査は、25日に上田市、塩尻市、箕輪町、26日には飯田市、下諏訪町、中野市で行われましたが、いずれも放射性物質が検出されませんでした。(上田市・塩尻市・箕輪町水道水検査に関する県プレスリリース)(飯田市・下諏訪町・中野市水道水検査に関する県のプレスリリース)。さらに農畜産物についてはホウレンソウと原乳を採取して検査が行われましたが、24日の上田市や千曲市では暫定基準値を大きく下回る結果となり、27日の長野市、安曇野市、伊那市については、放射性物質が検出されませんでした。(農畜産物検査に関する県プレスリリース)安心を得るために県は今後も継続した調査を行うそうです。JAグループの使命はこれまでどおり安全な農畜産物を安定的に供給することであり、その使命を果たすために今後も引き続き努めてまいります。県内の燃料不足については、少しずつ落ち着きはじめていますし、スーパーなどでの品薄状態もゆっくり回復しつつあります。必要以上に買い溜めをする姿は、あまり気持ちの良いものではありません。本当に、物が豊富でスーパーやコンビニなどのお店に行けば何でも手に入る生活は、ありがたいとつくづく感じます。余震や原発問題など生活を不安が包み込もうとしておりますが、ここは情報をしっかりと捉えて、適切な行動をすることが大切です。今週末には、4月となり、新年度に入ります。入学や入社、転勤など新生活を迎える方も多いでしょうが、被災されたみなさんのことを念頭においた生活をしていきたいものです。
JAとは日本の農業協同組合のことですが、今こそ相互扶助の精神のもと、力と心を合わせて助け合う「協同の輪」が必要です。被災していない地域では現地へボランティアに行けなくても、必要以上に買い溜めせず、節電に努めるなど生活を見直すことで、被災地の復興を後方で支援していきたいものではありませんか。
農業の話題。JA信州うえだでは、「楽しい菜園講習会」を上田市真田町長の真田図書館で開き、今年の作付け計画や栽培のこつ、夏までのやるべき作業などを学びました。また、JAグリーン長野でも、最終回となる親子ふれあい農業塾を開き、カーネーションやバラなどを使ったフラワーアレンジメントを行いました。生産者だけでなく、一般消費者の方が農業にふれあう取り組みが進められています。また、JA松本ハイランド直営農産物直売所「ファーマーズガーデンうちだ」はオープンから1年を迎えて、19日から3日間、産直フェアを行いました。
併せて販売代金の一部を東日本大震災や県北部地震の義援金に寄付する「被災地支援販売コーナー」設けて取り組みました。直売所ではアスパラガスや春の野菜などが出はじめ、4月に入るとこれから更に賑やかになっていきます。安心して食べられるものが身近にあって、購入できることは贅沢な暮らしなのかもしれません。JAながのでは、若手のりんご農家が剪定チームを構成して手が回らない農家に出向き、ノウハウを学びながら農作業を応援しています。手が足りないために作業がしきれなくて農業をあきらめてしまう方もいらっしゃいますので、
こういった地域に根付いた取り組みが、地域の農業や農作物の産地を守ることにつながると実感します。一般参加による援農隊など農作業をボランティアで手伝う取り組みもありますが、若い農業者が支援をしながら技術を学ぼうとする姿には頭がさがります。
*巻頭のカバー写真。日差しがやわらかい19日の土曜日、上田城跡公園(上田市)で梅の花が咲いていました。公園では散歩をする人やランニングをする人たち、鬼ごっこをする子どもたちの姿も。お堀を囲む千本木桜のつぼみはまだ小さく、公園がピンク色に染まるにはまた日にちがかかりそうですが、可愛らしい梅の花を見つけて、すこしうきうきした気分に。
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●なんと慌ただしい4月の訪れではありませんか。3月11日で時間が止まったままの人もまだ多いかもしれません。気のせいかもしれませんが、それでも肌を切るような風も少なくなり、日差しが暖かく感じる日も増えました。水温む4月は、またの名を卯月(うづき)といいます。これはもともと旧暦の4月のことでしたが、今では新暦の4月もそう呼ばれます。卯月の由来は、十二支の四番目が卯だからなどといわれていますが、農耕の視点からみると、稲の苗を植える月であるから「種月(うづき)」「植月(うゑつき)」「田植苗月(たうなへづき)」「苗植月(なへうゑづき)」とするという考え方もあります。田植えが近づく月ですね。家庭菜園をお持ちの方は4月になったら土づくりをしましょう。春夏野菜の植え付けが4月の下旬にはスタートします。今年一年の作物の計画を立てておきましょう。
3日は新月。5日は立春にはじまる二十四節気の5番目にあたる清明(せいめい)。暦便覧には「万物発して清浄明潔なれば、此芽は何の草としれる也」とあります。清明とは「清浄明潔」の略で、大地に草木が芽吹きだし、草木の種類が明らかになってくる頃のことです。この頃の晴れ渡った空は、まさに「清浄明潔」という言葉が相応しくて、地上に目を向ければ、新芽が芽吹き、百花が咲き競う季節で、万物が新鮮になり、明るく清清しく美しい頃です。マウンテンカントリーではようやく春の訪れが感じられるでしょう。夜空には北斗七星が良く見えています。
先週もお伝えしているものもありますが、4月の長野県内のイベント情報をいくつか。2日・3日の両日には同市中央公園で「飯田桜そば食彩まつり」が開催。また、4月3日には同市大宮通りで「大宮通り桜まつり」が開かれ、夜には提灯と桜の鑑賞ができるそうです。松本市では2日から17日まで城山公園で、9日から24日までアルプス公園で「松本観光桜まつり」が行われる予定です。さらに千曲市では毎年恒例の「第56回あんずまつり」が4月2日から16日まで開催、イベントは自粛となっていますが、あんずの花は見れます。その他の地域でも春の花を観賞するイベントが予定されています。信濃町の野尻湖では、屋形船によるワカサギ釣りが今週末の4月3日までとなりました。少し暖かくなりはじめた湖での今年最後のワカサギ釣りはいかがでしょうか。なお東日本大震災の影響で、各地にイベントを自粛する動きが出ておりますので、おいでになる際にはあらかじめ情報のご確認をお願いします。
「野山も、里も、見わたすかぎり、かすみか、雲か、朝日ににほふ」と古い謡に唄われるサクラ。日本にはサクラは9種類あるそうです。もちろん自生しているサクラです。長野県林業総合センターの提供する長野県のサクラというドキュメントによれば、長野県の山にはオオシマザクラを除く8種類が自生しているとか。ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、エドヒガンザクラ、マメザクラ、タカネザクラ、チョウジザクラ、ミヤマザクラの8種類が、時期を少しずつ変えて4月から5月のマウンテン・カントリーに春を告げて廻ります。また自生ではなく人の手で植えられた桜の種類ははっきりいってわかりません。新しい品種が交配によって作られているために、日本国にはおよそ300種類以上のサクラの品種があります。代表的なものはソメイヨシノですが、これはエドヒガンザクラとオオシマザクラの系統で、信州伊那のサクラの名勝として知られる高遠城址公園のサクラは、マメザクラとエドヒガンザクラの系統になります。それぞれ開花時期が異なりますから、長野県のサクラの情報を克明に調べ、暖かい格好で山国の春をお過ごしください。4月には県内各地で桜祭りが行われる予定ですが、繰り返しますが今年は震災や地震があったことから夜間のライトアップなど各種のイベントが中止か変更になっています。それでもサクラの花は咲きますので、今年は静に咲きほこる花を眺めて各自が思いを馳せるのがよいかもしれません。
さて家庭菜園をやる予定のみなさん、土の準備はできていますか? あなたの菜園の土が種をまく準備ができているかを確かめてみましょう。手でひとかたまりの土を軽く握ってみてください。握った土がそのままボールのように丸くなるようだったら、湿り気が多すぎます。反対に、握った土がぱらぱらと指の間から崩れ落ちるようであるなら、種をまく土の準備もできています。
長野県の春の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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