新信州暦 信州の春は南信の県境から北へと

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信州は、暖かい日が数日続いて、寒い日がまたやってくる、いわゆる「三寒四温」を繰り返して春に向かっているということは、先週の暦でもお伝えしたところですが、先週から今週にかけてはポカポカと温かい日と、少し冬に逆戻りしたような寒い日が交互に訪れました。

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先週の木曜日(19日)は本当に暖かい日で、日中には半そでで遊びまわる子どもの姿も見られましたが、この日は信州でも花粉が大量に飛散し、花粉症の人にとっては1秒たりともマスクの手放せない日となりました。花粉症の人にとっては春の訪れも喜び半分、切なさ半分といったところでしょうか。先週末はゴォゴォと鳴るほどの強風が吹きつけ、木々や家の窓を激しく揺らしました。また、ザァザァと強い雨も屋根に打ちつけ、前日までの晴天から一転しての雨と風の春の週末。コロコロ変わるいかにも春らしい天気の一週間でした。

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早春賦(そうしゅんふ)という唱歌に「春は名のみの風の寒さや」という一節がありますが、まさしく信州の春をほうふつとさせます。同じ早春賦の別の一節に「春と聞かねば知らでありしを。聞けば急(せ)かるる 胸の思(おもい)を」という心の機微を歌う個所も。この早春賦という唱歌は、作詞者の吉丸一昌が大正時代に信州安曇野を歩きながら創作したという説もあるぐらいで、まさしく信州の人たちの春に対する思いを伝えるものになっています。安曇野市の穂高川右岸には早春賦歌碑(写真)も建てられていて、毎年4月下旬には碑の前でコーラスが歌われる早春賦祭りも開催されます。

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信州の春はまず南信の県境からといわれるとおり、下伊那郡天龍村では19日に村内のソメイヨシノが咲きはじめました。昨年より一週間早い春の訪れということで、今週月曜日には4分咲き、村では明日26日ごろを見ごろと予想しています。このほか南信の飯田市でも咲きはじめており、今月末が見ごろだとか。hana.gif「サクラが早く咲く年は豊年」という言い伝えもあります。長野県の桜前線はこれより南から北へ、高原へとまる1ヶ月ほどかけて移っていきます。いよいよ花の咲く春の到来です。

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千曲川の水がぬるむ北信州。農家ではさまざまな種まきがはじまっています。JA北信州みゆきでは、アスパラの種まき作業がスタートしました。また、信州各地のJAでは生産者の集まりである「部会」で2009年度の栽培方針や販売方針を話し合う会議などが開かれています。果樹園ではぶどうやリンゴなどの剪定や移植や挿し木や接ぎ木の作業がおこなわれています。

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長野市では善光寺のご開帳に向けて地元団体が、町歩きのコースを企画し、ボランティアガイドの勉強会が開かれました。ご開帳は4月5日から。同じく長野市では県が新たにはじめた牛肉の認定制度「信州プレミアム牛肉」を使った料理などを味わう「信州の食材を愉しむパーティ」が22日に開かれました。市民ら300人が参加し、信州プレミアム牛肉のほか、信州サーモンなど県オリジナルの食材を楽しみました。

*巻頭のカバー写真を入れ替えました。top_090325_small.jpg先週末、長野市から新潟県へ向かう途中にある上水内郡飯綱町の三本松地域付近で撮影しました。飯綱町は、冬場は雪が多く降る地域でマイナス10度になることもしばしば。また、県内でも有数のリンゴの産地で、日光をいっぱいに浴びることができる斜面にはリンゴの木々が広がっています。撮影した日は、3月とはおもえないポカポカ陽気でしたが、後方左側にそびえる黒姫山(標高2053m)、右側の妙高山(標高2454m)には、まだまだ雪が多く残っていました。


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二十四節気という季節の巡りをあらわす表現がありますが、それぞれの節気を5日ごとの3つにさらに分けて、自然の移ろいを感じる72の気候を表現するのが七十二侯とされるものです。25日は、二十四節気の「春分」のなかの2番目の「候」で「桜始開」(さくらはじめてひらく)とされる日です。そして新月となる27日は、さくらの日で、日本さくらの会が1992年(平成4年)に七十二侯の「桜始開」と「さく」の語呂合わせの「3×9(3×9=27)」から27日になったのだとか。

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この新月の日の27日には、小諸市平原の十念寺で二十五菩薩来迎会(ニジュウゴボサツライゴウエ)がおこなわれます。鎌倉時代から伝えられたともいわれている古い宗教儀式で「御堂(極楽浄土)と舞台(俗世界)との間に橋が架けられ、菩薩面をつけた25人が念仏和讃の中を御堂に渡る」というもの。同日は明治大正時代のアララギ派歌人の島木赤彦が亡くなった日でもあります。赤彦は1926年に諏訪市で生まれました。「信濃路はいつ春ならん夕づく日 入りてしまらく黄なる空のいろ(『柿蔭集』)」という信濃の遅い春の歌を残しています。

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30日は七十二侯のひとつ「雷乃発声(らい すなわち こえを はっす)」で「雷が遠くで音を出す」とされる日。この日の宵のころ、夕方の空を冬の星座とともに彩っていた宵の明星の金星も、すでに今月半ばごろには西の地平線へと姿を消していますが、かわりに西の夕空で月齢4日の細い夕月とすばる(プレアデス星団)が近づく天体ショーを見ることができます。

indexarrow.gif 長野県の春の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

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