新学期が始まって2カ月半が過ぎました。長野市内のある大学近くのイタリアンレストランでの出来事です。 この日、私が食事を終えかけているとき、大学生のグループが入ってきました。「結構いい店じゃん」などと言っているところをみると新入生なのでしょう。メニューを注文する声が聞こえてきました。「オレ、カルボナーラのLサイズ」「ペスカトーレのL」「私はMサイズのボロネーゼ」。この店はパスタとピザがメインなのですが、特にパスタの量が多いのです。 パスタの場合、量がS、M、Lとあり、Sサイズでも200g近く、Lサイズだと500gくらいはあるのではないでしょうか。ウェイトレスが一所懸命説明するのですが、そこは若さってものなんでしょう。「大丈夫、オレ、パスタならいくらでも食えちゃうから」。 とうに私は食事を終えていましたが、物語の行く末にとても興味があったので、彼らにパスタが届くのを待つことにしました。 しばらくして「え、こんなの聞いてねえよ」(ウェイトレスが十分説明した)「量、間違えてませんか」(同じく)・・・。私は「してやったり」とほほ笑みを浮かべ(われながら人が悪いと思います)席を立ったのでした。 以前も長野県の飲食店で出されるメニューの量についての話を書いたことがあるのですが、蕎麦を例にとっても、東京など大都会に比べて明らかに量が多いのがわかります。 もっとも蕎麦は、江戸時代から酒を飲みながら、あるいは酒の後で食べるもの、という一面があったのも事実。だから蕎麦を食べる前に酒を飲み、何かちょっとしたものを注文する。これを「蕎麦前」と呼んでいました。 また、最後に食す蕎麦はざるや皿に少しのせて出す。信州のようにこれでもか、と盛り上げて出すようなことはしない。この盛り付け方を江戸っ子は「きれい」と呼んでいたそうな。もっともこれを信州でやったら「何考えてんだ」と客が来なくなるでしょうが。
同じ大都会でも大阪の食文化は東京とは明らかに違います。とはいえ、これは一流レストランの話ではありません。大阪人は現実的であることをもってよしとする、見栄を張るのはかえって格好悪い、という文化があるらしく、信州ではあまり見かけないメニューに遭遇します。 数年前、大阪難波のうどん屋で「きつねうどん」を注文した時、うどんに加えご飯と漬物が出てきて、びっくりしました。友人曰く「大阪で、うどんだけ食べたいときは『きつねうどん、単品で』と言わなきゃ」。 さすが「たこ焼き定食」「お好み焼き定食」を生んだ地です(もしかしたら「焼きそばパン」もここが発祥の地ではと思いましたが、東京だそうです)。 そういえば、長野県南部にある公共施設では「五平餅定食」というメニューを見たことがありました。あ、そうそう、札幌発祥の「ラーメンライス」もこのカテゴリーに入りますね。
こちらは 2015.06.23 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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