もはや真夏では?と感じるような7月頭。長野市から車で約3時間、南信州・飯田市。
口笛はなぜ~♪遠くまで聞こえるの♪と、口ずさみたくなるこの現場。真っ白な子山羊ちゃんたちがたくさん!
今回は全国的にも珍しい「子山羊市場」にやってきました!ここでは子山羊の「共進会」とセリが行われます。共進会とは聞きなれない言葉ですが、品評会のこと。
当日は、まさに夏日。暑さもさることながら、セリ会場の熱気も十分。夏空に子山羊たちの元気いっぱいな声が響いていました。
今回はJAみなみ信州畜産協議会とJA全農長野が開催する「第75回下伊那子山羊市場」の様子をお伝えします!
「下伊那子山羊市場」とは?
長野県南部、飯田市にある三尋石(みひろいし)集畜場では年に1度、7月初頭に「下伊那子山羊市場」が開催されます。
全国で数少ない子山羊市場のなかでも、血統書付き日本ザーネン種の市場が開催されるのは、なんとここだけ!日本唯一の子山羊市場なのです。
75回目を迎える本年の当日の日程は下記のとおり。
・出品子山羊受付 8:00~9:00
・子山羊共進会 9:00~10:15
・購買者受付 10:00~11:00
・共進会表彰式 10:45~11:00
・セリ開始 11:00~
生産者自慢の子山羊たちが集まる「共進会」
模様のない真っ白な体に可愛らしいカタチの目、短いしっぽ。集まった子山羊たちはパッと見、みんなおんなじに見えますが、よく見ると一頭ずつ個性があります。
今年の3~5月に生まれた、生産者が愛情込めて育てた選り抜きの個体が出そろいます。そして県やJAなどの畜産関係者たち出品された子山羊の体格や毛並みを審査・評価します。
その中で特別優秀賞(雄雌各1頭)、優秀賞(雄雌各1頭)、優良賞(雌1頭)が、さらに特別優秀賞の中から県知事賞が1頭選ばれます。
今年は雄6頭、雌26頭が出品され、飯田市龍江の生産者・一 英明(はじめ・ひであき)さんの雄が県知事賞を受賞しました。授賞式には、飼育を担当する妻のあゆ子さんが参加されました。
山羊の飼育を始めて約15年くらいという一さん。今までの飼育頭数は5~6頭ほどだそう。
「受賞した子はおだやかで素直な子。山羊の性格もいろいろです」と教えてくれました。
首には特別優秀賞のリボンが輝きます!
素人目から見ても、ひときわ真っ白でなめらかな毛並みでした(受賞リボン装着前に撮影)
日本唯一の子山羊のセリ!
共進会の後は、子山羊のセリが行われます。今年は共進会に出品された子山羊が全頭セリにも出品されました。
1000円からスタート、セリ人の声が盛り上げます。
全国から参加者が集まるこのセリ、遠くはなんと九州から来た方も。今年は16名と3団体が参加しました。
落札価格は、雄が平均価格(税込)68,200円で、最高価格89,100円。雌が平均価格65,958円で最高額110,000円。全頭平均では66,378円。
近年はペットや除草目的に子山羊を購入される傾向にあるようで、飯田市内から来た男性は「今年は2回目の参加。前回ペットとして購入した子山羊に仲間を増やしてあげたい」とのこと。
購入した子山羊を連れて帰る落札者
子山羊市は下伊那の伝統
下伊那子山羊市が始まったのは昭和24年。単なる市場というだけでなく、今年で75回を数える地域の伝統でもあります。
山羊の飼育歴は60年以上となるJAみなみ信州山羊部会部会長の城田政治(しろた・まさはる)さん。購入された方へのアドバイスをたずねたところ、
「山羊も人間と同じでそれぞれ性分が違う。なるべく早くそれぞれの山羊の特徴をつかんで慣らしていくことが大事。人が怖くないことを、愛情もって触れ合って教えてあげて。最近はペットの需要も増えてきたので、かわいがって長生きさせてやってほしい」と答えてくださいました。
「山羊はものを言えない。飼う人は毎日愛情持って様子をみてやってほしい」と城田さん
「下伊那子山羊市場」のセリは一般の方も参加できます。当日にセリ参加の受付をすればOK。購入した子山羊は当日連れて帰ることになります。
お子さんと一緒に安曇野市から来た女性は、「子どもの教育にもいいかなと思い」購入したとのこと。荷台に載せられた子山羊に子どもたちは、大はしゃぎしていました。
連れて帰る山羊をうれしそうに見つめる男の子
来年も開催する予定。きっとまた元気な子山羊たちの声が南信州に夏の訪れを告げてくれることでしょう!