北条庵が入る観光案内所・休憩所「塩田の館」
野菜など農産物をつくった人が直接調理をして提供する「農家食堂」は、究極の地産地消の一つでしょう。JA女性部を中心に、真心込めた〝手作り〟の味で既存の飲食店にない魅力を伝えようと工夫しています。そんな「農家食堂」をシリーズでお伝えします。
シリーズの最後は上田市の西塩田地区営農活性化推進組合女性部のメンバーが、同市の観光案内・休憩所「塩田の館」で開いている「そば処 北条庵」です。「信州の鎌倉」と呼ばれる塩田平の一角で、開設19年目になる地元密着のお店です。メンバーの高齢化や、主な客層としている観光客の落ち込みで、一時は「勇退」との話も出ましたが、「もう少し頑張ってみたら」との創設メンバーらの励ましを受けて再出発のシーズンに入っています。
第3火曜日にワンコインで提供する盛りそば
塩田平を訪れる観光客の昼食コーナーとして、うどんやおやきも提供している北条庵ですが、一番の目玉はそばです。活性化組合が地元でつくるソバの実を、石うすでひき、メンバーが手打ちしています。丹精込めて打ったそばを、もっと地元の人々に味わってほしいと、今シーズンから盛りそば1人前を500円で提供するワンコインデーを毎月第3火曜日に設定しました。随時受けていた生そばの注文も、1パック(3人前)1000円で毎週予約販売することに。リピーター向けにポイントカードもつくりました。
地元の主婦を中心としたメンバー10人が交代で運営。窓から見下ろす塩田平の風景が自慢の一つ。右端が代表の安藤美恵さん。その隣は西塩田地区営農活性化推進組合の勅使河原澄夫組合長
代表を務める安藤美恵さんは「観光客は、テレビドラマに取り上げられたりすると一時的に増えるけれど、その影響は長続きしないものなんだな、というのが実感です。そんな経験も経て、地元の素材で、手が掛かったおいしいそばがあることを、塩田の人々にこそ知ってほしいと思い、ワンコインデーなどを始めました」と率直に打ち明けてくださいました。バックアップしている同組合の勅使川原澄夫組合長も「ソバ用にコンバインを2台用意するなど組合も力を入れています。こだわりのソバを、多くの人に味わってほしい」と期待しています。
塩田平の南の山懐。隣の塩田北条氏の菩提寺だった龍光院のほか、近くに戦没画学生の遺作を集めた「戦没画学生慰霊美術館『無言館』」や前山寺、中禅寺、塩野神社といった地域を代表する寺社が控えています。散策を兼ねてお訪ねください。 北条庵は冬場(12月1日~翌年3月末)を除き、無休で営業は11時~14時。問い合わせは塩田の館(TEL0268-38-1251)へ。
こちらは 2019.07.09 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
関連記事
おらほの味そば処へいらっしゃい
産地の母娘おすすめ!一度は食べたい市田柿スイーツ
地粉そばとサクフワ天ぷらが旨い!直売所のそば処十哲
2018信鮮!信旬!キャンペーン14:今年のブドウは甘い!
新着記事
冬を赤く彩る縁起物。南信州の南天
里芋がゆ
大豆のナムル
特別対談「僕らが農家になった理由」 ― 元プロサッカー選手が語り合う、農業という新たな可能性 ―