寒に入った途端の凍てつく寒さ、先月までとはあきらかに度合いの違う寒さに襲われています。暦のうえでは、立春とされる節分までの約1ヶ月間がもっとも寒さが厳しいとされる時期。今はとにかく辛抱です。
けれど、長野県には、その寒さによってこそ、もたらされるものもあります。そのひとつが、「信州の海」ともいわれる諏訪湖の湖面が氷となってせり上がる「神御渡り」。「神様の通り道」などとも噂される神秘的な自然現象で、今年もその出現に期待がもたれています。さらにこの周辺は、海なし県にもかかわらず、海草を煮溶かして固め、フリーズドライ製法により作られる寒天の一大産地。厳しい寒さと乾燥した空気から極上の寒天が生まれます。
先週末は、華やかな成人式のほか、無病息災、五穀豊穣を願う「どんど焼き」が各地で賑やかに行われ、高く積まれた松や竹を煙りと炎が勢いよく巻き上げ、その様子を大勢の人が見守りました。この時、枝の先に付けて一緒に火の中で焼いて食べるお餅が子ども達にとっては楽しみなものですが、地域によっては米粉をカラフルに色付け、繭玉などに形作ったものを柳の枝に飾り、それを焼いて食べるところもあります。ちなみにこのどんど焼き、県中部の松本市では「三九郎(さんくろう)」と呼んで行われています。
枝に刺した餅「ものづくり」をあぶって食べ、
その年の健康を願う「どんど焼き」
(撮影場所:中野市)
さて本日15日は小正月。一年の無病息災を祈り、小豆粥を食べる風習があります。この小豆の赤色は邪気を払うともいわれ、また古来から小豆は縁起ものとされていましたから、今でも祝い事の際に食べる赤飯にちゃんと小豆が入っているのはその証でしょう。
農作業もひと段落かと思える時期ですが、各地を巡れば、この寒さを利用して様々なものが手仕事によってつくられています。
県東部の佐久地域では、豆腐を凍結乾燥させる「凍み豆腐」。また県西部の大町地域や南部の伊那地域では、水に浸した餅を乾燥させる「凍り餅」。さらに伊那地域や県北部では、大根を軒先などで乾燥させる「凍み大根」など、手を真っ赤にしてお母さん達による保存食づくりがせっせと行われています。
畑からの収穫物も落ちつき、寒さ厳しい今ですが、農家に休む暇はありません。なぜなら、植物が休眠状態の今こそが果樹などの剪定に最適な時期だからです。果樹の生産地では、収穫の出来を左右させるこの大切な作業のために、頬をさすほどの寒さのなか、枝を鋏で切る生産者の姿が見られます。農園周辺では、「パチン、パチン」という音だけが、澄んだ空気に冴え渡って聞こえていました。
いよいよ受験勉強もラストスパート! 受験生には見事栄冠を勝ち取ってほしいものです。
そんな勉強の最中、お腹が空いた時に食べていただきたいのが、合格祈願商品「伊那華の華満点うどん」。地元特産の小麦「ハナマンテン」を使ったもので、合格を意味する"満点"を掛けて名付けられたもの。JA上伊那の独自ブランドとして、JA上伊那の直売所や、地元A・コープ店などで発売されています。厳しい寒さの中で行われる受験勉強ですが、体を温かくして頑張ってください。
急な寒さにゾクッと風邪の気配を感じていませんか? 風邪の予防にはビタミンCの摂取を、などと言われますが、そんなビタミンCがたっぷり含まれているこの時期旬の食材といえば"イチゴ"です。県内では正月明けから各地でイチゴ園が続々とオープンしています。このイチゴ、1日に7〜8粒食べれば一日の所要量を満たすといわれるほど、ビタミンCが豊富です。とはいえこの寒さ、出掛けるのはちょっと気が引けるという方、じつはイチゴ園のハウスの中は、この時期とは思えないほどの温かさに保たれているんですよ。今の季節はイチゴ園へのお出掛けをオススメします。
◆県内の主なイチゴ園
・JAながのアグリながぬま(長野市)
・こもろ布引いちご園(小諸市)
・JA信州うえだ塩田東山観光農園(上田市)
・みはらしいちご園(伊那市)
・たかぎ農村交流研修センター(下伊那郡喬木村)
・諏訪湖いちご園(諏訪市)
[巻頭のカバー写真]
先週末に行われた「どんど焼き」の風景から。この日は朝から子供たちが集めた書初めや縁起物でやぐらを作ります。夜のはじめ頃に点火されるやぐらは、高く高く焚き上げられ、大人も子供も集い無病息災を願います。

*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。