信州の紅葉が高原から平地に徐々に降りてきて、日常の中でも秋の景色を見られるようになりました。公園の木々も真っ赤に色づいており、先週末からの3連休はたくさんの親子連れで賑わっていました。そろそろ紅葉シーズンも終盤ですね。県内の紅葉の情報は「信州紅葉だより」でご確認いただけます。
直売所では、野沢菜を見かけるようになりました。野沢菜といっても、漬物ではなく漬ける前の菜っぱです。畑に何度か霜が降りたお菜は、やわらかくておいしいと言われています。高地ではすでに霜が降りていますが、平地ではこれからといったところでしょうか。しかし、あまり遅くまで待ってもいられません。この時季、野沢菜発祥の地・野沢温泉村では、温泉でお菜を洗う風景が見られますが、一般的な家庭では冷たい水で野沢菜を洗って漬けるので、あまり寒くなってからですと厳しい作業になってしまうのです。長野県では、お茶うけに漬物が出てくるのが定番ですが、各家庭の味となる野沢菜を漬ける季節が今年もやってきました。
きのこ生産量が全国1位の長野県では、きのこが生えている様子を「1」に見立てて、11月11日を「長野県きのこの日」と制定しています。きのこに含まれる繊維の一種であるキノコキトサンは、内臓脂肪を効果的に燃焼してくれるうれしい成分です。小腸には中性脂肪を分解するリパーゼという酵素があり、リパーゼによって中性脂肪は内臓脂肪として体内に吸収されるのですが、キノコキトサンがリパーゼの働きを弱め、脂肪吸収を抑制してくれるそうです。食を楽しみながら健康にもうれしいきのこは一石二鳥ですね。
県内の「どぶろく特区」では、地元のお米をつかったどぶろくの仕込みが始まっています。どぶろく特区とは地域経済活性化を目的に導入された構造改革特区の一つです。酒税法では、決められた年間最低製造量の生産能力がなければ製造免許が受けられませんが、どぶろく特区の場合は原則として農家などが特区内の醸造所で自家産米で仕込んだどぶろくを製造、販売できるというものです。県内では11の市町村や地域がどぶろく特区に認定されています(平成25年3月現在)。製造している農家民宿はまだ少ないようですが、幸運にもご当地のどぶろくを見つけたら味わってみたいですね。
農業の話題です。
安曇野の選果所では、長野県のりんご生産量の約6割を占める品種「サンふじ」の選果が始まりました。蜜が入りやすく、ジューシーで甘みが強いのが特徴です。今年は10月中旬からの冷え込みにより、色づき・糖度とも良いそうです。これから各地で順次選果・出荷が始まります。
長野県南部の飯田市などでは市田柿の収穫が始まり、干し柿への加工作業が本格化しています。今年は4月下旬の凍霜害の影響で収穫量が減り、前年比8割ほどの出荷量が見込まれています。3週間〜1ヶ月ほどかけて乾燥させた市田柿は、果糖が白く粉をふいて雪化粧のように表面を覆います。和菓子のような上品な甘さの市田柿は、11月末ころから出荷されます。
減少してはいますが、家庭でも干し柿をつくります。
我が家では専用の皮むき器もないので一つひとつ包丁で皮を剥きますが、なかなか大変な作業です。そんなに苦労して剥いても、気温や日当たりの影響なのか黒っぽくて固くなることも多く、なかなか売っている商品のようにきれいに仕上げるのは難しいです。
長野県中部の山形村などでは、ナガイモの秋掘りが始まりました。ナガイモのつるが黄葉し収穫適期を知らせてくれます。今年は、最も肥大する8月中旬以降に適度な雨と気温に恵まれたため、ここ数年で最も太くて長く、高品質なナガイモが出来ているそうです。とれたてのナガイモをすりおろして、新米と一緒にとろろかけごはんというのもいいですね。
[巻頭のカバー写真]
ナガイモが黄葉しています。木々だけではなく、畑の作物も錦色に染まって秋を告げています。

*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。