新信州暦 おいしくて美しいなら今がその時

almanac_autumn01.jpg紅葉は山から徐々に降りてきています。里山でもよく見ると少し色が変化した場所も見つかります。県内の高速道路を車で走っていると、大分色ついた場所もあり、新幹線の車窓からも、軽井沢周辺で街路樹や蔦などの色づきがよくなってきました。木々だけでなく長野市松代や山形村では特産の長芋畑の葉が黄色から橙色を帯びていて目を引きます。山だけでなく畑の紅葉にも注目いただきたいところです。県内の紅葉をチェックするなら長野県公式観光ウェブサイト「信州紅葉だより」のページへ。

akinomushi.png秋の日はつるべ落としなどといいます。日暮れが早いせいか、晴れた日の帰り道には、月が澄んできれいに見えます。夏の終盤から鳴きはじめた虫たちもこの時期にはオーケストラの最終版の盛りあがりをみせ、聞こえる音の世界の隅々まで素晴らしい演奏を聴かせてくれています。今月末には空が明るくなる日の出は朝6時台となり、夜の闇がおりはじめる日の入りは夕方の午後5時台と、確実に夜が長くなってきている長野市です。日中はともかく、朝晩は冷えこむようになりました。良く晴れた朝などには透明な光りにあふれた世界の美しさにマウンテンカントリーに暮らしている喜びを感じるときでもあります。

isinomaki.jpg東日本大震災および長野県北部地震がおきてから、すでに7ヵ月が経過。支援の輪は止むことはありませんが、全国のJAグループは、4月以降東北被災地における農地の瓦礫撤去や農業施設の復旧作業に延べ1万人の支援隊を派遣してきました。JA長野県グループも先週1週間、岩手県の陸前高田市や宮城県の石巻市を中心に農業施設などの復旧支援に参加しました。JA長野県としては3回目の支援。一人一人の力は小さなものですが、みなの力がひとつになると勇気と希望が見えてきます。被災地では農地を必ず再生させるとの決意のもと、日々努力を重ねています。同じときに信州で震度6強の地震に襲われた長野県北部の栄村の、米を作れなくなってしまった水田におけるそば栽培でも、sakaemura.jpg先週収穫作業が行われました。この時のことは信濃毎日新聞社が提供する「信州そば漫遊」のサイトに「支援感謝、栄村『福幸そば』 作付け不能の水田で収穫(11年10月12日号)」として紹介されています。JA長野県グループも機械の入らない農地における刈取作業に協力しました。来年以降は何とか水田として復興できることを目指しています。

kinokokid.gif震災以降の節約ムードや野菜の価格高を受けて、スーパー各社などは今秋きのこの売り込みに力を入れています。17日の日曜日には長野市内のA・コープ店できのこまつりが行われ、きのこ汁のふるまいも行われました。これからは気温も下がり鍋などきのこを食べるのにいい季節。健康にもいいきのこをしっかり食べましょう。

almanac_autumn02.jpgそういえば住宅街のりんごの木がネットで被われていました。赤みをおびてきたりんごの実を鳥たちから守るためなのか、それとも人間たちから・・・かは、わかりませんけれど。寒さの深まってきた今、長野県のりんごは、いよいよ中盤から後半に向かう季節です。県内の直売所では、だいたいどこも甘味が勝負の「シナノスイート」や、酸っぱさが愛おしい「紅玉」が山のようにつまれています。そしてこれからは、黄色いりんご「シナノゴールド(写真)」がお目見えとなります。これは、長野県が年月をかけて育成した品種で、「ゴールデンデリシャス」と「千秋」の交配品種。shinanogold.jpg甘味と酸味のバランスが絶妙なために近年人気急上昇中のもので要チェックです。もちろんわが編集部も大好きなりんごのひとつ。このりんご、ヨーロッパでの商業栽培契約がすすんでおりまして、味にこだわる人なら一度は食べてみるべき、いいえ毎年必ず味をチェックしたいりんごです。

alkuma.pngアルクマ君の人気の高まりはすごいものですね。今年の秋の長野県がすすめる観光キャンペーン「未知を歩こう。信州2011」で、旬のりんごの色と香りを楽しめるタクシーが長野駅周辺に登場してしまいました。あくまでも「鮮やかな色とフレッシュな甘い香りを利用者に楽しんでもらう」のが目的の、その名も「ながの・アップルタクシー」。秋映(あきばえ)、シナノスイート、シナノゴールド、ふじと順番に12月まで、目と鼻で楽しむことができますので、100台と数は少ないですが長野駅にお越しの際は一度乗車して思い切り深呼吸してみてください。このアップルタクシーのドライバーはおいしいリンゴを購入できる近くの直売所も教えてくれます。また県北部のJA北信州みゆき管内の中野市豊田では、昨年6月に当誌「援農ボランティアで第2のふるさとづくりを」の記事で紹介しましたが、fuji.jpg今年も都会からの援農ボランティア総勢69人が、3班に分かれ、14戸のりんご農家で、最終段階に入りつつある「ふじ」の葉摘みを行いました。これはリンゴを赤く色づかせるための最も手間のかかる作業です。平成14年秋からはじまった収穫や摘果作業のボランティア。来月11月11日(2011年)には、いよいよふじの総取り援農が予定されています。

shinsoba.jpgまた、信州の秋10月も後半となりますと、もちろん「新そば」が楽しみな季節となってきます。信州信濃の新そばであります。貯蔵技術が高い現在においても、やはり新そばはたまりません。やや緑がかった色と香り楽しみながら「ずずーっ」といっちゃってください。22日には伊那の八百メートル以上の高地で育ったそば粉を使用して、ひきたて、うちたて、ゆでたてを心ゆくまで味わえるみはらしファーム「そばの家 名人亭」の新そばまつり。小諸市では「あなたの新そば祭」。筑北村(ちくほくむら)自慢の新そばを味わう「新そば祭りと収穫祭」もあります。ここも毎年千人ほどがそばを目当てに訪れます。筑北村のそば処さかい(電話0263−67−2888)、直売所まんだらの庄にて。

20111019cover_small.png*巻頭のカバー写真。白馬八方尾根にて。ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、紅葉の中を1時間ほど歩くとこんな絶景が現れます。鏡のような八方池に映る青い空と白馬三山。里の紅葉ももうすぐ。


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planters.jpg20日ははやくも下弦の月。21日は秋土用入です。この日から次の立冬の直前までが「土用」の期間。土用というと夏の土用の丑の日だけが有名ですが、本来は季節ごとに土用があり、秋は10月25日と11月6日が土用の丑の日に当たり、土用が明けるのは11月7日です。月はどんどん細くなっていき新月になるのは27日。もう今年も日曜日はあと10回しかありません。天気がよい日には今年の夏につかったプランターや植木鉢の泥を落として、水洗いをして来年の春のために片付けておくといいでしょう。

walking1.jpg今週末は歩いてさわやかな信州を体験するのに絶好な季節ですね。土曜日22日には各地でウォーキング大会が開かれます。信濃町JR黒姫駅から飯綱町飯綱福祉センターまでを歩く信越高原ウォーキング2011。おりしも今年は北国街道400年記念だそうです。塩尻市のJR奈良井駅をスタートでJR東海が主催し約10キロを4時間かけて歩くさわやかウォーキング。同じ塩尻市では高原に歩くために敷かれたいい香りを発するチップウォーキング道を歩く「日本土真ん中塩嶺高原ウォーク2011」。長野市では駅からハイキングりんごの里と善光寺古道でお寺巡りを体験できます。また小谷村では塩の道 千国街道を歩く〜いにしえの道と秋の里山を歩く旅の第2回目「千国越えに北アルプスの絶景と歴史探訪を体感する」(ガイド料込み1500円)が開催されます。1日をかけてゆっくりと歩きながら北アルプスの絶景を堪能できます。walking2.jpgなお第3回は11月5日(土)に「雨飾山の絶景を愛でながら鳥越峠に遊ぶ」(ガイド料+バス代込み3500円)も予定されていて、いずれも小谷村役場に朝集合解散となります。お問い合わせは小谷村観光協会(電話0261−82−2233)まで。

来週の月曜日24日は二十四節気のひとつ霜降(そうこう)。秋の最後の季節になります。江戸の暦本のひとつ暦便覧には「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」とあります。朝晩の冷え込みが本格化して、山の高いところでは早朝には草木が白く化粧をする頃ですね。野の花の数は減ってきて、かわりに山は紅葉で飾られるようになります。夜明けの空に月齢26.7の有明月がのぼるこの日、24日にはまた、長野県と静岡県の県境兵越峠で毎年催される「峠の国盗り綱引き合戦」がおこなわれます。現在まで12勝11敗の信州軍と11勝12敗の遠州軍が「国境」をかけて綱引きで対決する国盗り合戦です。長野県飯田市・南信濃、静岡県浜松市・水窪の両商工会の青年部精鋭が選出され、3本勝負を行なって勝った方が1メートル、相手側に“国境”を広げられることになっています。昨年に開催された24回大会では「遠州軍」が勝利。領土も信州側が遠州側に1メートル押しさげられて今回を迎えます。tsunahiki.jpg綱引きで争われる「国境」は残念ながら本当の行政境ではありませんけれど、歴史開闢(かいびゃく)以来、海を持ったことのない信州軍は「太平洋を信州に」を合言葉に戦い続けています。信州遠山郷のホームページには「兵越峠から遠州灘までの直線距離で計算すると、信州軍が(この後奮起して)連勝を続ければ、六万五千年後に太平洋が信州にやってくることになります。少なくとも、九万連敗して遠州軍に諏訪湖を盗られてしまう事態だけは避けてもらいたいというのが、信州人のいつわらざる願い」と書かれています。毎年シャトルバスが運行されるぐらいの大きなイベントになりつつあります。出かけた際には信州軍の応援をよろしく。

apple_1.gif中生種のリンゴが出回るようになり、リンゴの季節が本格化しています。毎日りんごを食べている人の数も増えていることでしょう。秋から冬にかけてはりんごを1日に1つは食べるようにしたいものです。「1日に1つのリンゴが医者を遠ざける」という格言もあります。最近よく言われるのは、果物は1日に2種類から4種類ほど食べるのが体にもよいらしく、そのなかの1つはリンゴにするのが最善だとか。リンゴがなぜ体によいのかを少しまとめてみました。今年は時勢にあわせてアップデートしました。ぜひ一度読んで記憶にとどめておいてください。


updated.gif 改訂版 リンゴがあなたの体に与える素敵な効能

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*リンゴは鉄分とリンを多く含みます。このふたつのミネラルは、脳と、肝臓と、お腹の、それぞれの調子を整えるのに効果を発揮します。

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*リンゴの成分で最もありがたいものは「酸分」です。リンゴ酸と酒石酸のふたつの酸分が含まれています。これらの酸は、果実そのものを消化しやすくするだけでなくて、胃の中で他の食べ物の消化を助けてくれる働きをします。リンゴには消化器官を調整してくれる働きがあって、便秘を解消してくれたり、便秘になるのを予防してくれたりします。こってりした油分の多い食べ物を中和してくれる働きもあります。

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*原子力発電所の事故以来、放射性セシウムの話を聞かない日はなくなりました。リンゴの成分であるアップルペクチンは、知らず知らずに体内に蓄積する放射性セシウムを排出する効果があります。ペクチンがセシウムと結合し便となって排出されていくのです。リンゴひとつにはペクチンが1.5グラムから4グラムほど含まれています。ペクチンはリンゴの皮に多く含まれますから残留農薬のないものを。赤ん坊には、成長に必要なミネラルまで排出させてしまうので、やり過ぎは禁物です。大きめのリンゴを1日に1つ食べ続けてください。

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*便秘の解消のためには、完熟して、ジューシーな、そしてどちらかというと少し酸味のきついリンゴを、毎晩寝る前に食べるようにしましょう。

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*お腹にたまったガスや下痢を止めたいときには、皮をむいたリンゴを摺りおろして食べるのがいいといわれています。

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*リンゴは歯の健康にもよいとご存じでしたか? リンゴを食べるときに出てくるジューシーな部分が歯をきれいにし、硬めのリンゴを食べることで歯の汚れや歯垢をとるのを助けるそうです。

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*甘味料をいっさい加えていないアップルサイダーは、痛風やリューマチを予防するのに効果があると、欧米では考えられています。糖分が添加されているものにはその働きはありません。

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*またリンゴには記憶力の減退を止める働きもあるようです。1日に1つのリンゴを食べるときに、合わせて温かい牛乳に茶さじ一杯の蜂蜜を溶かしたものを飲むようにしましょう。記憶力の減退を抑え、精神的な興奮を静めるのに効果があります。

indexarrow.gif 長野県の秋の気象の特徴
indexarrow.gif 長野県の気候       長野地方気象台のウェブサイトより

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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