年が明けて2週目に入り、9日には各地で成人式が行われ、晴れ着姿の成人した皆さんを目にしました。県内では、お正月の三が日は親戚が集まって新年会、という家も多く、新年を祝うにぎやかな日が続いた方もいらっしゃるかと思いますが、そろそろ平常に戻りはじめているのではないでしょうか。まだまだお正月の行事もありますが、寒い冬が到来しています。編集部のある長野市内では、それほど積もってはいませんが、毎日のように雪が舞っているような日が続いています。
ところで、冬になると朝、霜で真っ白になっている自動車を目にします。県内出身者は当たり前のように感じていますが、これは「霜が降りる」などと言います。観光客の方から「屋根の下にあった隣の車と自分の車で、霜のつき方が違っていて不思議に思った」という話をお聞きしました。これは、車が車庫に入っていたかどうかの違いで起きる現象で、屋根の中に停めてあると霜は降りないのです。霜のメカニズムでは、気温が5度以下まで下がり、さらに地表の温度が0度以下に下がると空気中の水蒸気が固体となって結晶になるそうです。そんなわけで、いくら寒くても風の強い日は霜がついていなかったりすることもあります。信州で通勤にマイカーを使用する人は毎朝大変で、フロントガラスの霜を取り除くためにお湯をかけたり、霜とり用のゴムへらで霜を取り除いたりしなければならないし、自動車のフロントガラスをカバーする霜除けシートなる商品もあります。出かける前の雪霜対策や雪が降ったときの渋滞と、いずれにしても時間がかかるのが信州の冬の朝かもしれません。
これまでも、県内各地に白鳥が飛来している話題をお伝えしておりますが、安曇野市明科の御宝田では300羽を超える白鳥や、あたり一面のカモが飛来しています。こうしたのどかな冬の風物詩の背景では、鳥インフルエンザの予防も行われています。見物に行った後は、靴を洗うことが大切だとのこと。人の靴や車のタイヤなどに着いたウイルスが、養鶏場などで感染を繰り返すことで強毒性に変異する恐れがあるそうです。
身近で見られる白鳥たちですが、えさを与えないことや靴を洗うなど、見物の仕方にもルールがありますし守っている人たちがいます。自然の風景ではありますが、毎年渡り鳥が来てくれる、そんな環境を守っていきたいですね。
先週末の7日は、七草がゆを食べる日でした。中国から渡ってきた風習だそうですが、寒い中に芽吹いた野草の生命力をいただいて魔除けとする意味があるそうですし、正月の飲食で疲れた胃腸を休める、なんてことを言う方も。七草は、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろが一般的ですが、干し葉(干した菜っ葉)や白菜などを代用するところもあるようです。最近ですと、スーパーなどで七草がゆのセットが販売されていますので、手軽に味わうことができるようになっています。
伊那市の農業公園みはらしファームでは、「ほんだれさま」の飾りつけが行われました。穀物がたわわに実った様子を表す飾りです。上田市内でも、小正月に飾る繭玉作りが行われました。繭玉は、昔養蚕が盛んだったことから、繭玉に模したお餅をクワやミズキ、ヤナギなどの木の枝に付けたものですが、これをどんど焼きなどで焼いて食べる風習があります。
先週末には、長野市や佐久市、松本市などでどんど焼きが行われました。松本などの中信地域では「三九郎」などとも呼ばれています。正月飾りや書初めなどでやぐらを立てて、無病息災を願いながら燃やし、その火で繭玉を炙って食べるなど、健康を願う多くの人でにぎわったそうです。
年末年始は人が多く集まるイベントごとがたくさんあります。昔ながらの伝統的な行事が少なくなっているなかで、大切にしたい日本の文化だと感じさせてくれます。
さて次は、農業の話題です。
JA松本ハイランドでは、今年発となるセルリー苗の配布が行われました。1ヶ月ほどしたら畑に定植し、5月下旬から出荷が始まるそうです。またJAグリーン長野では、果樹園で定年帰農者などを対象に農業講座を開きました。桃やりんごの木の剪定をJAの営農技術員が説明したそうです。生き物や自然と係わる農業ですので、お正月にも関わらずすでに作業が始まっています。今年もおいしい農畜産物がお届けできるようにと、農家の皆さんは年始早々動き出しているんですね。
今年こそ災害の少ない年となりますようにと祈るばかりです。
今週末のイベントのご案内です。
長野市の善光寺では15日(日)まで、「御印文頂戴」が行われています。これは、善光寺如来のご分身といわれる三判の宝印「御印文」を僧侶から僧侶が参詣者の頭に押し当てる儀式で、体に押されると極楽往生が約束されるといわれています。
また、15日には、北信州の野沢温泉村で「野沢温泉道祖神祭り」が行われます。こちらは、国の重要無形民俗文化財に指定されている日本三大火祭りのひとつで、十数メートルの高さの社殿に火をつけようとする村民と、それを防ぐ25歳厄年の青年たちの攻防が見どころです。
伊那市では400年の歴史をもつ「羽広の獅子舞」が行われます。雌雄の獅子が同時に舞うのは全国でも珍しいそうです。
長和町では、「豊受大神宮 おたや祭り」が行われ、素朴な農民美術の伝承財として指定を受けている山車も見ものですし、4年ぶりに復活する花火大会も行われる予定です。
スキー場などで行われるにぎやかなイベントもたくさんありますが、新春ならではの心が洗われる行事をご紹介させていただきました。花火大会や火祭りの活気のある雰囲気も良いですし、なによりも1年の無事を祈っての行事です。冬の信州、ぜひ雪道に気をつけてお越しくださいね。
*巻頭のカバー写真。安曇野の御宝田遊水池では白鳥だけでなく、北アルプスの眺めも楽しめます。中でも目立つのが常念岳(左端)と有明山(台形の山)。写っているだけで安曇野だと分かる、地域のシンボルです。

*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。