先週木曜日、12月2日は久しぶりの大雨が信州に降りました。かなり激しく降ったため、慣れていた高速道路の運転もいつもに増して緊張感が。これからの積雪の季節にも同じことが言えますが、山国においては気候の変化による道路状況の悪化には、慎重に慎重を重ねたいものです。昨日は二十四節気の「大雪」でした。寒さがだんだんと厳しくなり、雪も多くなる頃といわれますし、昨日から今日にかけて、はたせるかな信州でも高い山には雪が降ったようです。冬至が、クリスマスが、年末が、すぐそこに近づいてきています。
先週、知人宅の玄関先に、手作りのクリスマス・リースが置かれているのを見つけました。聞くところによると、「知らないうちに誰かがおいていった」との答え。なんだかサンタクロースが来たみたいです。名前も名乗らず、自分の家の玄関にプレゼントが気軽に置かれていく関係性がまだ、信州の土地には残っているのだと感じました。4日、長野県軽井沢町の矢崎公園では、クリスマスイルミネーションが登場しました。「軽井沢ウィンターフェスティバル」のオープニングセレモニーの開催です。イルミネーションの点灯は25日まで行われます。
国の特別天然記念物のトキ1羽が今年も信州に飛来しました。信州の東に位置する南佐久郡佐久穂町穂積の水田で、6日に、1羽のトキが目撃されました。佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)で今年ふ化した雄で、11月上旬に放鳥された13羽のうちの1羽のようです。昨年以降、県内でトキが目撃された場所としては最も南に当たります。毎年、やってきてほしいものですね。きっと昔はたくさん長野県にもいたのでしょう。どうか信州の風景のなかにトキのいる姿を、想像してみてください。
7日には世界的な現代美術のアーティストのひとりである草間彌生(やよい)さんがデザインした赤い水玉模様のバスが、今月から彼女の出身地の長野県松本市内を走りはじめました。現代美術のアーティストとして世界的に名を轟かせている現代美術のアーティストです。松本出身だそうですが、彼女の松本時代の思い出はあまりよくありません。それほどの評価もされず、いじめられて、それからはずっとニューヨーク暮らしで、愛と平和のシンボルだと彼女が信じる水玉模様で、世界的な芸術的な評価を得たのです。松本電気鉄道(松本市)が市街地などを運行する周遊バス・タウンスニーカーの新車両の一台のために今回依頼し、製作を引き受けてもらえたものです。小型低床ノンステップバスで「水玉乱舞号」と命名されています。
このバスの内装デザインに参加したデザイナーさんのページがここにあります。また彼女の作品は松本市美術館の玄関前にも展示されていますし、常設展示されている作品も多くあります。水玉乱舞号に乗る人に愛と平和を!
夜の長さが最長になる冬至が近づきました。正確な冬至は22日水曜日ですが、小海町では、観光協会の主催で18日(土)に冬至祭なるものをはじめて開催するそうです。フィンランドの夏至祭に習い、大きな焚き火コッコ(Kokko)という焚き火を燃やします。当日はキャンドル作り教室も行われ、それを「コッコ」の周りに並べて楽しむ計画があります。ひんやりと澄んだ空気の中に、メラメラと燃え上がる炎は、とても幻想的に見えることでしょう。JR小海線も冬至祭トレインを特別にこの日は走らせるそうです。毎年おこなわれるようになればよいのに。
寒さ深まる信州では、冬の風物誌がお目見えです。中信の諏訪ではその土地の乾燥した空気と厳しい寒さを利用して、特産の寒天作りが行われています。寒天作りは江戸時代の天保年間に農家の副業として諏訪地方に広まったものです。日中の晴天と夜間の寒気を利用して自然乾燥法によりおよそ2週間凍結・融解・乾燥を繰り返し、来年2月下旬まで行われます。美容にもよいとされる寒天は、冬太りに悩む時の強い味方かも・・・
長野県各地のJAの話題です。信州の北部に位置するJA須高では、二期作のブドウの出荷がはじまっています。この時期にブドウが食べられるなんて、びっくりする方もいらっしゃるでしょうが、この秋の気温が高かったため、糖度は高く、粒が大きめでおいしく出来あがりました。クリスマスまでに巨峰、ナガノパープル、シャインマスカットなどが出荷されます。洋梨のル・レクチェも今が旬。クリスマスパーティーには果物を盛りだくさんに使った手作りのケーキを作ってみてください。
クリスマスといえば、同じく信州の北部に位置するJAグリーン長野のニュースではユーフォルビアの出荷がはじまりました。ユーフォルビアはクリスマス用のアレンジに需要が多い、鮮やかで小さく、かわいらしいお花。興味のある方は昨年の当マガジンのユーフォルビアについての記事「優雅に弧を描く姿と鮮烈な色彩が動きを演出」をご覧あれ。
また、信州の北に位置するJA北信州みゆきでは、都会から集まったボランティアとともにリンゴの収穫が行われ、リンゴ園が参加した人たちの笑顔であふれたとの報せが届きました。自分関わって育てたリンゴの味は格別でしょう。このJA北信州みゆき協力の「快汗!猫の手援農隊」の内容は当ブログマガジンでも「援農ボランティアで第2のふるさとづくりを」として過去に紹介しています。
また、信州は南に位置するJAみなみ信州では、全国的に名高い「市田柿」の出荷が順調に進められています。各地で吊るされている柿のれんは、半透明なハウスの外からとはいえ、この時期しか見ることのできない風景です。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。ずらりと吊るされた柿のれんの前でため息。先週の木曜日、下伊那郡高森町で見た「市田柿」づくりの1シーンです。大雨が信州に降った日で、撮影した午前中に雨は一時やんだものの、湿気が残っていたため市田柿をつくる過程で行う「柿もみ」作業も中止。「市田柿」はつくる過程で非常にデリケートに扱われます。
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●本日8日は、ジョン・レノン忌であって、また太平洋戦争開戦の日でもありますが、昔の農事暦では「御事納め(おごとおさめ)」の日でした。その年の農事等雑事をしまう日です。1年の農家の仕事が終わる日なのです。早かったですねえ。よかったですねえ。江戸時代には、里芋・こんにゃく・にんじん・小豆を入れた「御事汁」を食べたそうです。この日が来たら、仕事で疲れたカラダを癒すために、近くの温泉に湯治に出かけたのでしょう。1年の農事をはじめる「御事始め」は来年の2月8日。やらざるをえないとは言え、現代の人は忙しすぎますよね。
10日はノーベル賞受賞式。鈴木さんと根岸さんのおふたりのノーベル化学賞授賞式でもあります。スウェーデンのストックホルムからの中継に、まるで自分の親戚が受賞したかのように日本の人たちはTVにかじりついて喜びをわけあうことでしょう。
北信濃の豪雪地帯では、木々の葉が落ちて、ブナの幹が灰色の木膚をあらわすようになることを「山が年寄りになる」と表現したそうです。そうなるともういつ大雪が降るかわからないと言うことでしょう。12月とはいえ旧暦では、じつはいまはまだ万物の生命力の弱まる霜月。霜月とは冬至を含む月のことをいい、次の満月が21日で、冬至が22日、新月は1月4日ですので、いまはまだ自然界においては旧暦の11月(霜月)で、南信濃は飯田などの各神社で、あらゆる命を奮い立たせるべく古代の伝統的な儀式のままに霜月祭りが真っ盛りを迎えているのもそのためです。山と渓谷に囲まれて、日本の古き良き伝統行事を今に伝える里として知る人ぞ知る遠山郷で、11日から16日までの5日間が、先週号でお知らせした遠山郷の霜月祭りのピークを迎えます。いずれも祭りは夜中に行われます。興味がある人は信州遠山郷秘境の旅「霜月まつり」のページをご覧ください。
13日が上弦の月で、この日は昔から年神さまを迎える準備をはじめる日とされ、門松やお雑煮を炊くための薪等、お正月に必要な木を山へ取りに行ったといいます。14日は赤穂義士祭であり吉良祭の日。1702年(元禄15年)12月14日、赤穂浪士たちが江戸本所松坂町の吉良邸に打ち入りました。ウィキペディアというインターネット百科事典には「元禄赤穂事件」として掲載されています。信州とのつながりで言いますと、事件後18歳で吉良家当主となった吉良義周(きらよしまさ)は、吉良上野介の孫ですが、のちに幕府評定所に呼び出されて「吉良家改易と義周の信濃諏訪藩主諏訪忠虎にお預けという配流の処分」をくだされ、4年後に21歳で亡くなっています。誰も引き取り手がなかったために、鷲峰山(しゅうぶせん)法華寺(諏訪市大字中洲神宮寺)に埋葬されたといいます。
今年は「日本のスキー発祥100周年」にあたります。1911年1月12日、オーストリア陸軍のレルヒ少佐が新潟県高田(現上越市)で日本陸軍の青年将校にスキーを指導したのが、日本のスキーのはじまりだそうです。長野県の今シーズンのスキー場オープンは、恒例のSNOWLOVE.NET-長野県スキー場情報へ。スキー場もたくさんある信州ですが、長野県最初のスキー場を調べてみると、信州 スキーのはじまり 山小屋ノートというブログのなかに、志賀高原丸池に戦後に進駐軍が作ったものが最初だと記されていました。「昭和20年、アメリカ軍が志賀高原を保養地に指定し、進駐軍専用のスキー場になります。志賀高原ホテル、上林ホテル、丸池スキー場が接収され、米軍専用施設に。この丸池スキー場に昭和22年リフトが完成します。これが信州最初のリフトですが、もちろん日本人は使用できません。日本人が利用できるリフトは昭和25年、野沢温泉に作られたものが最初」だと。
さて、いよいよ寒さも増し、南信地方の特産干し柿「市田柿」の出荷も本格化します。寒い日はこたつに入り、干し柿や野沢菜漬けをつまみながら、あつあつのお茶を飲む。今年もこの冬、あちこちの家庭でそんな信州の風物詩的光景が見られることでしょう。農業も、冬ごもりのための仕事が本格化するものの、基本的には農閑期に入ります。農閑期になると農業者はこたつのなかで技術や経営の勉強をしたり、来年度の生産計画を立てたり、なにもせずいっさいを忘れて農休みをしたりします。今年はホワイトクリスマスになるでしょうか?
さて、来週の当ブログマガジンについてお知らせです。毎月第3週目の水曜日に掲載している「伝える・おらほの味」のシリーズですが、今月ご紹介するはずだった「柿ゆべし」が来月(来年1月)に持ち越しとなってしまいました。ごめんなさい。シリーズをお楽しみにしてくださっていたみなさまにお詫びします。理由は生産者の方が柿の出荷作業に大忙しで、取材が困難なためです。なお毎月どおり、冊子「エコガイドブック」のプレゼントは実施いたしますので、ご応募ください。
長野県の冬の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
こちらは
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農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
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