日中は10度を上回る暖かい日もあれば、最高気温とはいえマイナスをかろうじて脱した程度の寒い日もあり、まさに「三寒四温」の言葉の通り、寒さと暖かさを繰り返しながら春へと向うこの時期。風に吹かれて小雪が舞うなか、ふと庭にかがんで地面を見れば、枯れ葉で覆われていた庭にも徐々に青さが増して、ふきのとうやスイセンの芽が様子伺いとばかりにチラリと顔をのぞかせていました。
昨日は啓蟄(けいちつ)。冬眠していた虫たちが地上へと這い出してくる頃。これから週末にかけて、県内では最高気温が10度以上のところも多い予報で、暖かい日々が過ごせそうです。
別れと旅立ちのシーズンの3月。先週末の2日には数多くの高校で卒業式が行われました。また自然界においては、安曇野市にある犀川白鳥湖でコハクチョウの北帰行が始まっています。今年は冷え込みが続いていたため記録を始めた14年間でも最も遅く、例年と比べても10日以上遅い北帰行だそうですが、ようやく鳥たちも春の訪れを感じ始めたようで、4月中旬頃まで北の大空へと羽ばたいていくコハクチョウたちの姿が眺められそうです。
まだ冬の寒さを引きずっているとはいえ何となく気持ちが華やぐのは、県内の至る場所で鮮やかに彩られたお雛様を目の当たりにすることも、その理由のひとつでしょう。信州は月遅れの行事も多く、このお雛様を4月頭まで飾っている所も多いですから、そんな華やかな姿を長く楽しむことができます。今週の記事にはそんなひな祭りのひとつ、長野市松代町のひな祭りの話題も掲載しています。
また、長野市よりさらに北に位置する中野市では、一風変わった「土びな」が行き交う人々の目を楽しませてくれる「まちかど土びな展」が行われています。人形型に焼き上げた土を色絵の具で施した土びなの、愛嬌ある姿が中野市街地にある70店舗の店先などで楽しめます。店毎に飾られる土びなの違いを、散策がてら楽しんではいかがでしょうか。まちかど土びな展は2013年4月1日まで。3月31日には土びなの展示即売会も行われます。詳しくは、Webサイトをご確認ください。
春を告げる花として知られる福寿草。県内でも最大規模の群生地として50万株もの福寿草が自生する松本市四賀で、福寿草まつりが始まりました。今年のこの寒さにあって開花は例年より10日ばかり遅れ、現在はそのほとんどがつぼみということですが、これから開花が進めば斜面の段丘は、一帯が眩しいほどの黄金色に埋め尽くされ、今年は4月上旬まで福寿草が楽しめそうだということです。ただし、オリジナル商品や飲食などの出店が行われる福寿草まつりは、2013年3月20日(祝)までの予定です。
春の演出に欠かせない花として人気の桜。JA須高の花木ふかし利用組合では、今まさに桜の出荷に追われているところです。この管内では、遊休農地の荒廃地化を防ぐため山間部を中心に花木の栽培が行われています。桜は、ゆっくりと育成させることできれいなピンク色になることから、温度管理に加えて、湿度管理など細心の注意を払った施設栽培が行われています。
この冬は、農産物への生育にも不安が広がっています。県内にも多いブドウ農家の間では、発芽時期の遅れや、ブドウに実が付かなくなる「ねむり病」の被害が心配されています。事前に幹に藁を巻き付けるなどの作業を行っている農家もありますが、県でも保温対策や発芽時期の水やりなど注意を呼びかけています。
「えのき氷」の人気で再び熱い眼差しが注がれているエノキタケ。そのエノキタケから抽出したエキスを使用して、「信州発えのきヨーグルト」が発売されました。これは、信州大学工学部と長野県農協直販の共同開発によるもので、原料は中野市産のエノキタケと県産の生乳を使い、1カップ(75グラム)のなかに生のエノキタケ10グラムに相当する600ミリグラムのエキスと、整腸作用のあるビフィズス菌を配合したもの。エノキタケ特有の匂いを感じることなく、食べやすいマイルドな仕上がりで、県内のA・コープ店などで1カップ98円で販売されています。
このほど厚生労働省が2010年都道府県別生命表により発表した平均寿命では、長野県が男女ともに全国1位となりました。男性は80.88歳で5回連続、また女性は87.18歳で前回の5位から1位に躍り出ました。その要因としては、農業県信州では高齢者の就業率が全国トップで、生きがいを持ち生活していること。また、男女とも野菜の摂取量が全国1位であること。そして生活習慣病予防や、食生活改善推進員、保健補助員ら健康ボランティアの活動が盛んなことなどと見ていますが、その要因は定かではなく、今後詳しくその分析を行い健康づくりに役立てていく予定です。
当ブログでも毎回信州の農産物や加工品を取りあげていますが、そのどれもが地元ならではのヘルシーなものばかり。興味を持たれたものがあったらぜひお試しください。気軽にお取り寄せができる便利な時代ではありますが、とれたて・できたてをその場で食べる醍醐味は、何にも代え難いものです。暖かくなりますと様々な農産物が直売所に並びます。とれたての新鮮なものを、ぜひ本場信州で味わっていただければと思います。
[巻頭のカバー写真]高原野菜の産地である信州では、各地で夏に収穫する野菜の苗づくり(育苗)作業が行われています。これはレタスの苗。3月中に畑に植える定植作業がはじまります。

*コラムはしばらくの間お休みさせていただきます。