新信州暦 短く暑い夏をじゅうぶんに楽しむ

camp.jpg先週末は長野県では天気の良い3連休でした。家でごろごろしていたり、家族と出かけてみたりしても、まるでもう夏休みのような気候です。スーパーの食料品売り場に行ってみても、桃やプラム、なす、トマト、トウモロコシなどの夏野菜が並び、「夏休みがはじまっている」と錯覚してしまいます。この時期の果物はいずれも水分が多く、また栄養豊富な夏野菜も内側から体温を下げる働きがあり、熱中症や夏バテ予防に効果的です。積極的に旬のものを食卓に取り入れることをオススメします。

semi.jpg夏休みのような錯覚におちいりながらも、やっぱり夏休みとは何か違うな?と感じませんか? そうです。まだセミの鳴き声があまり聞こえてこないんです。これだけ暑いんだから、セミも間違えて早く鳴き出すのではなかろうかと考えてしまいます。でも、セミが土から出てくる時期は春から梅雨入りまでの気温に影響を受けると言われており、3〜5月の気温が平年よりも低かった今年は、少し成長が遅れているのです。もう少ししたらセミ時雨の季節になるという話です。とはいえ、長野県でもニイニイゼミが鳴きはじめています。他のセミより早く鳴き出すニイニイゼミは、抑揚無く「に〜〜〜」とか「ジ〜〜〜」と鳴いているので、他のセミに比べると少し地味。セミだと思われず、良く聞いてみたら実は鳴いていたなんてこともあります。けして耳鳴りなんかではありません。日本全土に広く分布しているセミですので、セミの声が聞こえないと思ったら、「に〜〜〜」という声がしていないか、もう一度耳を澄ませてみてください。聞こえているかもしれません。

goya.jpg住宅地を歩くと、今年は長野県でも節電を意識してか、あるいは環境教育のせいか、ゴーヤーを窓の外で栽培してすだれ代わりの「緑のカーテン」にしている家をしばしば見かけるようになりました。他の植物でも緑のカーテンは出来ますが、ゴーヤーは葉っぱが大きく良く茂り、日陰を作るのに持ってこいですし、そのうえ栄養満点のゴーヤーは暑い沖縄でよく食べられるように、夏バテ対策にぴったりの野菜。まさに一石二鳥とはこのことです。もともとゴーヤー、あるいはゴーヤは、沖縄県の言葉で「ツルレイシ」「ニガウリ」を呼ぶ言葉ですが、トロピカルな沖縄文化が広まった今では、「ゴーヤー」「ゴーヤ」が標準語化しています。実はゴーヤーがこんなに広まったのは1990年以降のことでした。それ以前のニガウリはウリ類の大害虫で、東南アジアからタイワンへ沖縄へ南西諸島へと移動してきたウリミバエを媒介したために沖縄から持ち出しが禁じられていたからです。やがて放射線を放射して不妊化させたものを意図的に放つ不妊虫放飼という技術で、ウリミバエが根絶されてしまったことで、”核の平和利用”の一環としてのデモンストレーション的意味合いもあったために、大々的な出荷が可能となり、生産量が一気に高まったものです。いずれきっと日本列島の夏は青々と葉を広げたゴーヤーだらけになってしまうでしょう。そして毎日、朝は野菜サラダ、夜はゴーヤーチャンプルーの日々が続くようになるのです。

momo.jpgこう暑いとスイカもおいしいですけど、わが信州の夏の作物といえば、今の桃を忘れることはできません。長野県は桃の出荷量第3位の桃の国でもあります。桃カレンダーを見るとこれから、川中島白鳳、あかつき、なつっこ、川中島白桃、黄金桃と、色を変え、甘さを変え、味を変えて次々に9月上旬まで出荷される予定です。

tanabata.jpg長野市のニュース。長野市の権堂アーケード通りが、七夕の飾り付けで彩られています。長野県では、昔から月遅れの七夕を祝う慣習があり、夏の夜を楽しむ今年の「長野七夕まつり」は権堂で7月22日から8月7日まで行われます。先週にはJR長野駅の構内にも大きな七夕飾りが登場して、長野市に到着した人々を出迎えています。

hanabi.jpg信州の夏の祭りといえば、花火を忘れてはいけません。先週末の7月17日には、県北部の千曲市にある戸倉上山田温泉で夏祭りと大煙火大会が開催されました。これから9月前半まで、信州では毎週末どこかで必ず花火大会が開かれることになります。長野県の花火大会は、さわやか信州旅ネットの花火特集ページを参照下さい。今週末は、須坂市、木曽町、阿南町などで花火が打ちあがる予定です。

ooshika_pic.jpgいま、松本・安曇野地域が映画やドラマのロケ地として注目を浴びていますが、先週土曜日も、南信州大鹿村を舞台とした映画「大鹿村騒動記」(監督:阪本順治 主演:原田芳雄 主題歌:忌野清志郎)が封切られました。日本で最も美しい村連合に加盟している大鹿村には、300年以上昔から住民によって伝承されている地芝居の歌舞伎があります。その大鹿歌舞伎を題材に描かれる悲喜こもごものストーリー。村の全面的な協力のもと、全編村内で撮影され、沢山の住民がエキストラとして出演しました。残念ながらこの映画を企画し、主演した原田芳雄さんは先日19日に亡くなられ、これが遺作となってしまいました。感謝と共にご冥福をお祈りいたします。さまざまな思いが巡る映画ですが、日本の村を描いた傑作映画として、評価は上々のようです。ぜひ劇場でご覧になり、大鹿村を仮想体験され、その感覚を確かめるために大鹿村を訪れてみてください。良い温泉がありますよ。

yukata.jpg国宝松本城では、浴衣・甚平など和装で来場した人を入場無料にするイベントを8月31日まで開催中です。併設の松本市立博物館本館の入場料も無料となります。蔵造りの建物など、市街地に残る城下町の古き良き町並みを和装で歩いてみるのも粋です。7月30日、31日には国宝松本城「太鼓祭り」が開催される予定。

mountains.jpgそしてそしてそして、本格的な夏山シーズンの開始です。信州ファンのみなさんの中には、登山好き、山歩き大好きの方も多いのではないでしょうか。3年ほど前から、いわゆる「山ガール」と呼ばれる若い女性を中心として登山が注目を浴びてきています。信州の人気山岳地帯でも、今年は若い女性の登山客が昨年よりも多くみられると聞きました。最近はアウトドアファッションもあれやこれや沢山種類があり、ヘビーデューティーでもおしゃれですよ。アウトドアファッションを着たくて登山を始める方もいて当然。しかし山をなめてはいけません。ちゃんとした準備、知識が無いと、命を危険にさらすことになります。単独行の若者も多いと聞きますが、まだ慣れていない人は知識のあるベテランと一緒に行動するようにしましょう。また、登山届けは必ず出してください。いろいろある登山の楽しみのひとつに、高山植物や野生動物との出会いがあります。人里ではあまり見られないかわいい花々は、登山で疲れた体を癒してくれます。miyamaodamaki.jpgコマクサ、ゴゼンタチバナ、イワギキョウ、ミヤマオダマキ(写真)、イワベンケイ・・・挙げ出したらキリがありませんが、高山植物には、普段聞き慣れない名前の植物が多いですよね。山に行く際には、植物図鑑を片手に登ってみるのも楽しいです。野生動物はそのほとんどが人間を怖れているので、あらかじめ自分がそこにいることを環境に向かって主張すること、例えば鈴等鳴り物を身につけたり、大声で歌ったりしながら足をすすめれば、相手が先に気づかれないように逃げていきます。

abu.gifで、山の最新情報です。今年はアブやブヨが平年以上に発生している模様ですのでお気をつけください。鹿が多いことが、今年のアブやブヨが多い理由だそうです。みなさんはアブとブヨの違いって分かりますか? byte.jpgアブとは、ハエの大きなヤツだと思ってください。byte.jpgそのうち何種類かのアブが血を吸うために動物を刺すんです。痛くて腫れます。更にやっかいなのがブヨ(ブユ)です。これはハエよりも小さい虫ですが、こいつは刺すのではなく噛むんです。噛まれたときはチクッと痛みが走りますが、大変なのはこの後です。猛烈に痒くなり、buyo.gif人によっては歩けなくなるほど患部が腫れあがって、めまいや発熱を伴うこともあります。アウトドアを楽しむ際には、入念な虫対策が必要です。

11720cover_small_fix.png*巻頭のカバー写真。ここ数年長野県における夏野菜の代表格に育ってきたズッキーニ。姿形はキュウリに似ていますがかぼちゃの一種です。信州ではいち早く野菜としての産地化をすすめました。フランス料理やイタリア料理には欠かせない食材ですが、油と味噌で炒めた和風味にもピッタリ。ズッキーニの木が丈夫であれば秋まで楽しめる貴重な野菜です。諏訪郡富士見町で撮影。


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tomato.jpg今日から夏の土用に入ります。次の立秋の直前(8月8日午前6時)までが「土用」の期間です。暦のうえでは夏から秋への変わり目の期間に入ると言うことです。自然は4つの季節を巡っていますが、それぞれの季節に入る前に調整期間として18日間ずつ4回、1年に72日土用があるのです。酷暑の時期ではありますが、衣・食・住、全ての生活環境、あらゆる局面を、少しずつ夏から秋へと模様替えしていきましょう。「土用丑の日」とはこの夏の土用期間中の「丑の日」を指すもので、明日21日が鰻の蒲焼きのかおりが街に流れる土用丑の日。土用丑の日と鰻が今のように密接に結びついたのは、かの平賀源内が鰻屋のために書いた客寄せの広告のコピーからとされます。夏に負けないためにこの期間は色とりどりの野菜をしっかりと食べてください。トマトは必ず食べましょう。トマトをサラダ用にスライスするときは、よく研いだ包丁で、上から下に垂直にカットすること。横に水平にカットすると水分がたくさん出てしまいます。夏の野菜サラダのドレッシングにはお酢の代わりにレモンの絞り汁を使うとさっぱりします。

goshinshu.png季節を表す方式のひとつに「四季の移ろいをだいたい15日ごとに表す暦」である二十四節気があります。一年を24の季節に分けるもので、現在は立春から数えて、区切りとなる12番目の大暑。夏の最終段階にあたります。もう半分来てしまったのです。その二十四節気のひとつひとつをさらに3分割した72候だと、大暑の期間を約5日ずつ三つに分けて、最初の5日が立春から数えて34候めで「桐始めて花を結ぶ」時期、次の5日が35候で「土が湿って蒸暑くなる」時期、最後の5日が36候で「時として大雨が降る」時期です。大暑が過ぎると、立秋ですから、これからしばらくがまさにいちばん暑いころと言うことになります。信州も北から南までほとんどの土地で昼間は30℃を越えますが、それでも夜に熱帯夜になるところはまずありません。日中も木陰に入るだけで少し風が吹けば暑さはひいていきます。都会でたまらない夏の暑さに喘いでいる人は、健康のためにも山と高原の国・信州に避暑にいらっしゃいませんか。

bugsbowl.jpg10日程前、南信州の伊那商工会議所(伊那市)などが主催で「伊那総合物産展示会&商工祭」が開かれ「伊那名物」とされるざざ虫、ハチの子、イナゴのつくだ煮を載せた「三色丼」の早食い大会がおこなわれたそうです。伊那市は「ハチ追い」のメッカでこのハチ追いについては当ブログの過去記事「地蜂とりは信州の男子にとっての通過儀礼だ」に詳しく書かれています。きっと読みふけってしまいますよ。この記事のなかに「長野県では、古くから日本一の昆虫食の地域としてイナゴ、バッタ、蚕の蛹、カミキリ虫の幼虫、地蜂などをはじめ多くの昆虫を食してきました」という印象深い一節があります。ある物好きが調べたところでは、世界には食べられる昆虫が1400種類以上いるそうです。WorldEntomophagy.jpg虫を食べることを英語で「entomophagy(エンタマファジィ)」といいます。「昆虫食」という意味です。中国などでも蚕の蛹などを油で揚げて食べます。ロンドンのグルメショップではバッタの唐揚げ、サソリのチョコレートまぶし、蟻で作ったペロペロキャンディーなどが一年中食べられます。コロンビアなど蟻を食べる国は珍しくありません。タイ国では街の屋台でバッタや虫の唐揚げを食べさせてくれます。信州でも古くから昆虫食が続いていました。なぜ虫を食べるのでしょうか? それが体によいからでもあります。また虫のなかには、肉や魚の2倍以上のタンパク質を含むものもあるからです。

Smoothie.jpgいくら「暑い」「暑い」と言ったところで涼しくなるわけはないので、暑さに打ち勝つためのヒントを探してみました。「日が沈んだ直後、まだ空が明るいうちに家中の窓という窓を開け放ち風を入れる。暗くなったら必要なところは網戸にして後はしめる。朝は気温が上がりはじめる前にすだれなどをおろしておく」これはいいかもしれません。また「涼しさを感じるためには、涼しくなるものを食べる」という直接的な手段もあります。アイスクリームとかフローズンヨーグルトとかかき氷とかきんきんに冷やしたすいかとか。毎度氷水ばかりでは芸がないとお感じの方のために、最近流行中の低脂肪スムージードリンクの作り方を。スムージーとは、かき氷ほど氷氷していなくて、ジュースほど水っぽくない、ジュースとかき氷の中間点に位置する飲み物(食べ物)です。イチゴのおいしいところを10から20個ほど手に入れます。バナナを1本、むいて薄くスライスしておきます。オレンジジュース1本。1/2カップほどの氷。それらをミキサーに入れて氷がくだけるまで回して、後はドロドロの状態のものを飲む、いや食べる。おいしくて、少しお腹がふくれ、体も冷えます。

suikatori.jpg長野県のおいしい食べ方の次回更新日である27日は日本全国「スイカの日」です。すいかの特徴となっている縦の縞模様を綱(つな)に例え、7・27を7(な)2(つのつ)7(な)つまり「夏の綱」と語呂合わせで決められました。なかなか強引すぎる語呂合わせですが、この季節にその日を作りたかった理由はわかります。いますいかを食べないと今年は後悔しっぱなしであと半分を暮らさなくてはなりません。そうそうJA松本ハイランドのすいかサイトに「すいかの切り方」を解説してあるマニュアルを発見しました(図)。すいかのいちばん甘い部分は、中央部で、この部分をみんなに行き渡るように切り分けるのが腕の見せ所です。

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indexarrow.gif 長野県の夏の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより

こちらは の記事です。
農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。

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