2月がやってきました。信州は一際寒さが増したように感じます。通勤途中は手袋をしていても指先が氷のように冷え、頬を切る風は痛くも感じます。ニュースでは信州の北部で毎日のように雪かきに追われる人々の様子が映されています。しかしながら南北に広い信州は、南信や東信地方などでは雪の降らない地域も多くあり、そのような地域に住むものから見ると、同じ信州人でも雪国で暮らす人々のたくましさを感じずにはいられない、なんていうこともあります。
安曇野への白鳥の飛来数が1月中下旬になって急増し、5年ぶりに1000羽を超えたようです。北日本・日本海側の記録的な豪雪が原因であることは間違いありません。先週木曜日、北信州の小諸市では鳥インフルエンザの疑いのあるコガモの死骸(しがい)が発見され、県は安全確認を重視して、発見現場から半径10キロ以内の養鶏業者を立ち入り検査すると同時に、そのエリアの野鳥の監視を強化しています。長野県内ではこれまで養鶏への被害は確認されておらず、県は冷静な対応を呼びかけ、業者や学校などに消毒用の消石灰を配布して防除態勢づくりを進めています。
先週、先々週に比べて、編集部のある長野市の道路からはだいぶ雪が溶けてなくなりました。道路の脇に残った雪はすでに固く氷交じりになっており、それは朝の光を浴びるとまるで宝石をちりばめたようにキラキラと美しく光ります。その様子は本当に目を見張ってしまうほど。この雪の隙間から、植物が顔をのぞかせるのももうじきと、春の訪れに早くも期待が高まります。
先月29日から今月の12日まで、ほのかな明かりの中、情緒ある宿場の冬景色を楽しもうと、木曽地区の各地でアイスキャンドルや雪像が飾られています。「木曽路氷雪の灯祭り(ひょうせつのひまつり)」趣(おもむき)のある宿場町の冬景色が、アイスキャンドルの優しい灯りに包まれるようすには、心惹かれるものがあります。ぜひ幻想的な雰囲気に包まれてみてください。
春の直前というのは気温が最も低くなる時期です。そういえば長野市鬼無里の住宅では、続く厳しい冷え込みで、巨大なつららが出来たらしいです。屋根から垂れ下がったつららはなんと長さ3メートル! まだ成長しそうとのこと。1日現在は地上まであと50センチに。毎日観察しに来る人もいるそうです。とはいえこの寒さでも、どうやら諏訪湖の御神渡りは、今年は見ることは難しそうです。残念ですね。あと少しだったのに。3年連続で御神渡りの出来ない「明けの海」となります。
JA中野市が戸隠の製造メーカー「(株)おびなた」と共に開発した新しい加工食品「えのき蕎麦(そば)」が完成間近です。エノキタケペースト入りで、喉ごしとつるっとした食感が増した、自信作が期待できるとのこと。今週の当ブログマガジンでもエノキタケをご紹介していますが、食べ方、機能性も含めて、エノキタケは今後も目が離せない食材です。わさびの栽培で知られる長野県安曇野市では、
地元で採取した菜の花やヒマワリの種の油を小・中学生の給食に使ってもらおうという取り組みがされています。JAあづみの「生き活(い)き塾菜の花プロジェクト安曇野」の取り組みは今年で5年目。こちらの菜種油は遊休農地などを利用して栽培した菜の花やヒマワリの種を原料にしています。きちんと「ストーリー」のある食材を子どもたちにたくさん食べてもらいたいですね。
雪深い北信州で春を告げる「すずらん」の出荷がはじまるころです。すずらんは、長野県では北部の飯山市や木島平村で栽培されています。果樹王国・信州で、くだものの出荷のトップバッターをかざるのが、
サクランボでしょうか。県内各地のサクランボ農家では、すでに枝のせん定もはじまっています。光がまんべんなく木に差しこむように枝の伸びを調整することで、収穫量に大きく変化が現れます。この時期ならではの、農家にとって気の抜けない作業です。
本日は旧暦の大晦日ですね。季節も変わろうとしています。昔から季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられており、それを追い払うための悪霊ばらい行事もおこなわれます。明日は季節を分ける節分。一般的には豆まきをして鬼を退治するというスタイルですが、長野県には珍しい風習もまだ一部で残っています。鬼の嫌いなものは「臭い鰯(いわし)の頭」と「痛い柊(ひいらぎ)のトゲ」とされ、県南部に位置する天竜村には、鰯の頭を焼いて、ヒイラギの枝に刺し、家の入り口に差す風習があります。鰯の頭の悪臭で、邪気が家に入るのを防ぐのだそうで「焼嗅(やいかがし)」と言われます。江戸後期からの信仰らしく、日本を代表することわざのひとつである「鰯の頭も信心から」はここからうまれました。みなさんは、季節が移ろうとしている今、新月を迎える明日、どんな節分のスタイルで、邪気を払いますか?
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。長野駅に程近い、長野市若里にある公園の林の風景です。静かに晴れた早朝、すっかり葉の落ちた木々の枝に、カラスやスズメなど、たくさんの鳥たちがとまり、羽を休めていました。この季節、木々たちを彩る葉はなくなっていますが、そのかわり、むき出しの枝の1本1本の曲線美が、かえって美しく際立って見えます。
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●明日3日は新月で、旧暦の正月にあたります。旧暦の正月に新月が重なるのはとても珍しいそうです。地方によっては、また人によっては、旧暦の日付の方を重視することもあるし、中国などでは「春節」といって今日は国をあげての一大祝祭日で、故郷へ帰る人びとが大移動します。日本はこの日が節分であって、かつては大晦日的な意味合いもあり、宮中でおこなわれた「鬼やらい」の行事が「節分の豆まき」として現在も伝わっています。
近年は節分に食べる「恵方巻」なるものが全国的なブームとなっていますが、信州ではそれほど古い風習ではありません。コンビニエンスストアの広告戦略にのって全国的に恵方巻が騒がれだしてからまだそれほど時間は経過していないと思われます。とはいえ節分の夜に恵方に向かい太巻きを食べると幸福になるという言い伝えは関西のほうにあったようですね。太巻きはひとりで1本食べきるまで誰とも話してはいけないのだとか。その年の恵方は西暦年の末尾1桁が、0,5なら西南西、1,3,6,8なら南南東、2,7なら北北西、4,9なら東北東とか。今年は南南東が恵方です。
月がうまれてすぐの4日は二十四節気のひとつ立春。暦便覧という天明七年(1787)に出版された江戸の暦の解説書には「春の気たつを以て也」と記されています。簡単に言えばこの日から春になるのです。地球各地の少数民族の多くがこのころに春の訪れを祝う祭りを行っていることからしても、天体のプレアデスなどの道しるべとなる星たちの動きを見ていれば、こちらを新年とする宇宙のとらえ方の方が自然のサイクルにあっているような気もします。
だからでしょうか、このころを前後して信州各地では時空を超えたような、さながらいのちのよみがえりと冬の終わりを希求するような儀式やイベントが各地で行われます。たとえば南信州の飯田市では2月8日に「事の神送り」とか「風の神送り」といわれる珍しい行事が行われます。古代の日本では「事(こと)」というのは「魔物や厄災」のことだったらしく、飯田市教育委員会が編纂の中学生副読本「私たちの飯田市」(社会編)によれば、この「事の神送り」という行事も厄除けで、悪魔や悪病を退散させるという願いこめておこなわれるものだそうです。
紅白の紙に「千早振(ちはやぶ)る2月8日は吉日(きちじつ)ぞ、事(こと)の神(かみ)をば送(おく)りこそする」と書いた旗をたて、男女のシンボルの人形を付けた御神体(ごしんたい)のせた御輿(みこし)を、村人が鐘や太鼓を鳴らして行進し、村境の沼にそのまま置いてきます。そして、後を振り返らないように、また鐘・太鼓はたたかないようにして帰るというとても珍しい行事です。このようにして集落から集落へと御輿がリレーされていく祭りで、全国的にも珍しいそうです。
8日はまたちょうど10年前のこの日に長野冬季オリンピックの開会式が行われた日です。つい昨日のことのような気もしますけれど。また8日は「農の事始め」(「御事始め(おことはじめ)」とも、また「事八日」とも言います)の日でもあります。江戸時代まで、東国では1年の農事がこの日を基点としてサイクルを描きはじめ、農のサイクルが終わるのはこの年暮れの12月8日でした。事始めの日には早朝、まだ夜の明けぬ暗いうちに田んぼや畑で冬の間は休んでいた土と土地の四方の神々に祈りを捧げる風習もありました。暦のうえではようやく春が目を覚まして、いよいよ野良仕事がはじまるのです。
長野県の冬の気象の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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