なんて爽やかで気持ちのいい時節なのでしょう。外を歩けば涼しい風が全身をすうっと通り抜けて、いつもより少し長く外を歩いていたい気分にさせてくれます。暑く長い夏の終わりと共にやってきた9月下旬の突然の寒さには暖房が恋しく、今年はこのまま冬になってしまうのかしら・・・と一時は気を揉みましたが、この頃はそんな寒さも和いで、過ごし易い日々が続いています。それでも今週に入ると、朝晩は先週より若干空気が冷たく感じられ、手に息を吹きかけてバスを待つ人や、袖の中に手を入れて歩く小学生の姿が見られました。
長野市内では、柿の葉っぱ、そして実が徐々にオレンジ色に紅葉して、秋ならではの風情です。長野市街地から見える周囲の山々にまだ紅葉の兆しは見られませんが、街路樹のハナミズキやドウダンツツジの葉っぱが緑から赤に変わっているのを見つけると、紅葉の波はじわりじわりと里に迫ってくるのを感じます。今県内の標高の高い場所(1,500メートル付近)では、ため息が出るほどの紅葉が楽しめます。県北部の志賀高原では周囲の木々が一面に黄色く紅葉し、まるで黄金の世界のようでした。また北安曇郡白馬村の標高1,600メートル付近も見事な紅葉で、そんな自然の神秘を記録に残そうと、カメラと三脚を手にするたくさんの人の姿を見かけました。
紅葉もいいですが、またリンゴが枝にたわわに生る様を見るのも長野県ならではの素敵な光景でしょう。ドライブで長野県を走ると途中、県内の至る場所でリンゴの木と遭遇するはずです。赤と黄色の2種類の彩りで実が生るのを見られるのも今だけです。とはいえリンゴ農家は、11月上旬からいよいよ収穫が始まる主力のリンゴ・サンふじを、味はもちろんのこと見た目にも美しく仕上げるための、葉摘み作業と玉回しに今忙しい毎日を送り、リンゴの木の本数が多いところでは、お手伝いの人を頼んで作業に追われています。
高い山々では紅葉がにぎやかですが、下界では毎週のようにどこかしこで収穫感謝祭が行われ賑わっています。そんなわけで週末は、今しか見れない紅葉を見に行こうか、それともその土地ならではの珍しいものを探しに収穫祭に行こうか、と悩むこの頃です。収穫祭では、ハクサイやキャベツなどの葉物野菜がこの時ばかりはと通常より安い値段で販売されていて、ここぞと買い込む人々でごった返していました。また豊作となった天然のキノコも豊富に並び、さらに今だけの秋の味覚の栗を買い求める人も多く見られます。
果物では、ブドウを食べられるのもあともう少しというところでしょうか。店頭で販売される量は徐々に少なくなってきています。また梨・南水の産地である県南部の飯田、下伊那地方では、出荷のピークを過ぎ、現在北部の中野市で出荷のピークを迎えています。やはり今最も多く出ている果物といえば、信州が誇るリンゴでしょう。今年は平年よりおよそ1週間から10日程収穫が遅れているようですが、11月から収穫がはじまる”サンふじ”を前に、今の時期、秋映(あきばえ)、シナノスイート、ジョナゴールド、ゴールデンデリシャス、陽光、そして甘味と酸味のバランスが良く水分豊富な黄色い姿のシナノゴールドも、これから出荷量を増やしていきます。
種類豊富に様々なリンゴが楽しめるのはこの時期ならではですので、紅葉狩りなどで長野にお越しの際は、是非たくさんのリンゴを召しあがってみてください。ちなみに美味しいリンゴは”果点(かてん)”というポツポツとした点が表面に浮き出ているものが目印だそうですよ。
今年は松茸が何年かぶりに豊作との話題を、先週はほぼ毎日のように耳にしました。職場の仲間には、自分の山で松茸を今年は山ほど採ったなどと何とも羨ましい話も聞きましたが、そんな松茸が比較的安価で食べれるのも豊作の年ならでは。今年こそは是非松茸を味わいに出掛けなければと思っているしだいですが、人気の松茸にありつくには予約をするのが確実です。
大町市から白馬村を車で走っていると、そば屋の入り口に”新そば”の張り紙を見つけました。場所によってはまだソバが刈り取られずに畑に残っている所もありますが、早いところではもう、あの香り豊かな新そばが食べられるのです。新そばに新米に、美味しい食べ物が次から次へと登場して、体重の増加も気になります。
畑では、ナスがだんだんと獲れなくなって、代わって大根の葉っぱが土の上で青々と、そして伸び伸びと葉を繁らせています。さらには春菊、小松菜なども生長してきています。高速道路の長野インター出口付近を走りながら眼下に眺められる畑に、柵に絡まるようにして整然と植えられているもの。最近ではその葉が緑から黄色や茶色へと変化してきていますが、この葉っぱの下の土に植わるもの、それがこの地方の特産である長イモです。葉っぱが枯れるとそろそろ収穫のサイン。来月にはそんな味覚も楽しめるようになります。
爽やかな季節のこの時期は、トレッキングにマラソン大会などが毎週のように各地で開催されています。木々の色付きやリンゴや柿の実り、収穫を終えた田んぼの様子や秋の空など、この時季ならではの景色を眺めながら体を動かすことは、とても気分が清々しいものでしょう。運動不足の現代人と言われますが、河川敷のグランドでもサッカーや野球などのスポーツに興じる人々の姿も多く、まだまだ暑い日中の日差しの中でもみんなとても気持ち良さそうに走り回っています。さらにその近くでは、バーベキューを楽しむ家族やグループの姿もありました。
紅葉狩りやキノコ狩りなどで山に入る人が多いこの時期ですが、一方で熊の被害も聞かれます。お出掛けの際は鈴を付けるなどの対策をして、気をつけて自然をお楽しみください。またこのほど県からキノコによる食中毒注意報が全域に出されました。これはキノコによる食中毒が相次いで発生したことを受けてですが、この秋は一部地域では野生キノコが例年になく豊作で、そんなキノコを求めての入山者も多いそうです。そして採れたキノコを持ち込み鑑定待ちの人で連日長い列が出来ているようですが、「区別がつかないキノコは無理して食べないことが第一の予防」と保健所では呼びかけています。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。北信州・高山村。山田牧場スキー場一帯は、まるで不思議の世界に迷い込んだような、圧倒される紅葉が広がっていました。放牧されている牛たちも、来月には牛舎に帰されるため、今のうちにと一心に牧草を食べています。この紅葉、牛にはどのように映っているのでしょうか?
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●今日20日は、旧暦九月十三日で、栗名月とも呼ばれ日本列島では1000年近く前からこの夜の十三夜の月をめでる風習があります。先月の十五夜はサトイモなどを供えるため「芋名月」と呼ばれていますが、十三夜は「栗名月」とか「豆名月」と呼ばれます。十五夜はあまりすっきりしない夜空であることが多いのですが、十三夜の夜は晴れることが多いようで、「十三夜に曇り無し」という言葉もあります。今夜の月はどうでしょうか? 長野県は予報では残念ながら曇るそうですけれど。
今月の満月は23日です。23日は二十四節気のひとつ「霜降(そうこう)」です。暦便覧という江戸時代の暦の解説書には「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」と記されています。気がつけば虫の声もだいぶ減り、信州でも高原や山間部では、霜が降りて朝には草木が白く化粧をするころでしょう。紅葉も標高1500メートルを下回ってきています。あと1週間もすると里にも紅葉が降りてきて、秋がぐっと深まり、寒冷を覚えるようになるのでしょう。
24日にはまた、長野県と静岡県の県境兵越峠で毎年催される「峠の国盗り綱引き合戦」がおこなわれます。現在まで12勝11敗の信州軍と11勝12敗の遠州軍が「国境」をかけて綱引きで対決する国盗り合戦です。長野県飯田市・南信濃、静岡県浜松市・水窪の両商工会の青年部精鋭が選出され、3本勝負を行なって勝った方が1メートル、相手側に“国境”を広げられることになっています。昨年に開催された23回大会では「信州軍」が大勝利。領土も信州側が遠州側に1メートル押し広げて今回を迎えます。綱引きで争われる「国境」は残念ながら本当の行政境ではありませんけれど、歴史開闢(かいびゃく)以来、海を持ったことのない信州軍は「太平洋を信州に」を合言葉に戦い続けています。信州遠山郷のホームページには「兵越峠から遠州灘までの直線距離で計算すると、信州軍が連勝を続ければ、六万五千年後に太平洋が信州にやってくることになります。少なくとも、九万連敗して遠州軍に諏訪湖を盗られてしまう事態だけは避けてもらいたいというのが、信州人のいつわらざる願い」と書かれています。毎年シャトルバスが運行されるぐらいの大きなイベントになりつつあります。出かけた際には信州軍の応援をよろしく。
25日には宵のころから翌26日の明け方にかけて、月齢18日目の月とおうし座のプレアデス星団(すばる)が接近します。月が明るいため肉眼でプレアデス星団を見るのはむずかしいので双眼鏡を用意したいですね。さて星と言えば今の季節、北の天空の地平線ぎりぎりの所にあるのが北斗七星です。中天に向かって無数の星たちをぶちまけたようなひしゃくの形をしています。ひしゃくの水をすくう部分を形作る4つの星と、柄の部分にあたる3つの星が見えますね。ひしゃくの一番外側のふたつの星をつなぐ線をそのまま延長した先には明るく輝く北極星があります。磁石がなくても北を見つける方法を教えましょう。
1.北斗七星を見つける
2.柄ではない方のひしゃくのふたつの星を確認
3.ふたつの星をつないだ線を延長し北極星を見つける
4.真上の空を見あげる
5.体を北極星にむける
6.あなたの顔のむいている方角が北
長野県の秋の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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