長野県はいち早く梅雨明け宣言が出されてからのほうが、なぜか雨が多い印象です。毎晩のように雨が降り、それはそれで涼しい風が窓から吹き込んできて快適ではあるのですが、雨上がりの日中は湿度が高く、ムシムシです。空を見上げればいつも灰黒色の雲があり、スッキリとした青空と真っ白な雲にしばらくお目にかかっていません。そんな天候のせいかセミの鳴き声もまだあまり聞こえてきません。晴れた日にわずかに聞こえてくるものの、大合唱にはまだ遠く、独唱といったところでしょうか。料理屋さんには冷やし中華が登場し、扇子やうちわをあおぎながら街中を歩く人たちの姿が多く見られるなど、
暑い夏は間違いなく近づいてきているはずですが、気象庁の3カ月予報によるとエルニーニョ現象の影響で8月は例年より気温が低いとの予想。農産物の成長にも暑い日は欠かせませんので、ギラギラした真夏の太陽と真っ青な空、真っ白な雲に、早くやってきてほしいものです。おーい!
とはいえ、それでも直売所に目を向けると夏野菜や果物たちが所狭しと棚に並んでいます。トマトにキュウリにナスにトウモロコシ。桃やネクタリン、プルーンの姿も見え、店内はそれらを求めるたくさんの人でにぎわっています。善光寺平では、8月に出荷ピークを迎える桃たちが樹上で出荷のときを今か今かと待っているのがわかります。また今週のプレゼントにもある県内有数のスイカ産地、JA松本ハイランドの山形支所では、先日、とても巨大なスイカが収穫されました。
試験的に栽培されたもので、ななななんと、その重さは63.5kgもありまして、ざっと普通のスイカの8倍ほどの大きさなのだそうです。このスイカは神奈川県内のスーパーに観賞用として出荷されていきましたから、神奈川県の人でスーパーに出かけて驚くほど大きなスイカを見かけたら、この記事を思い出してください。ぜひ飾られている雄姿の写真も送ってくださいませ。
長野県のおいしい食べ方ブログも、気がついたらエントリーされた記事の総数が軽く1000本を超えていました。なかには季節ごとに面白い過去記事もたくさんあります。JA須高では高糖度のパプリカ「ガブリエル」の出荷が本格化していますけれど、このガブリエル、11月まで出荷が続きます。「ガブッ」と食べられるから「ガブリエル」というのは嘘のような本当の話なんですよ。詳しくは当ブログ過去記事「ガブリエル、あなたはなぜガブリエルなの?」で紹介していますのでよろしければお読みください。
またそのJA須高でトルコギキョウの新ブランドとして色にこだわった「臥竜の紫紺(しこん)」が誕生しました。「紫紺」というぐらい独特の色合いで、花の先端が濃厚な紫色、下部が白く、上から見ると黄色のめしべ・おしべ、底部の黄緑とのコントラストがとにかく美しい花です。近い将来メジャーな花になることは間違いないといわれています。
情報によれば木曽郡王滝村では特産の「すんき漬」の夏版が登場したそうです。通常冬にしか作られないし、冬にしか食べられないのですが、昨年から夏に食べられる「すんき漬」作りを目指し、春に種をまいた赤カブの葉を使って「夏すんき」作りが進められてきました。「すんき」は赤カブの葉を乳酸発酵させたもので、漬物なのに塩はまったく使わないで仕上げる木曽地域の特産品。この「すんき」を使ったカレーがなんとも絶品で、これも販売されています。この「夏すんき」、村内の飲食店などで提供されているとか。食べた人の話では冬のすんきと遜色ないぐらいうまいらしい。一度は食べに行かなくては。8月上旬には御岳山7合目の田の原(標高2180m)で登山者にすんきをのせたすんきそばが振る舞われるそうです。いいなぁ、おいしそうだな。詳しい場所などのお知らせは王滝村のブログ「水と緑のふるさと王滝村」でやがて公開されるらしい。
夏の風物詩「第91回全国高校野球選手権大会」は8月8日に甲子園で開幕。長野県代表は26日の決勝戦で長野日大高校に決まりました。全国に長野県旋風を巻き起こしてもらいたいのですが。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。長野県佐久市のとある家庭菜園の朝、思わず「かぼちゃ、み〜つけたっ!」と叫んでしまいました。庭の畑でひっそりと実をふくらませていたかぼちゃを見つけたのです。ボウボウの草にも負けず、肥料を与えるだけで、しっかりと実をつけてくれたのですね。こんなに生命力のあるものなら、食べれば元気になること間違いなし! 煮物でも、蒸かしてサラダにしても、スープにするのもいいかな。かぼちゃは育つ姿からも、おいしい料理になった姿からも、元気をくれます。
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●このところ梅雨の戻りのような陽気が続いていますが、それでも最近はフレッシュな高原野菜が食卓にのぼりはじめました。この季節は新鮮なまま全国に出荷される信州の野菜をたくさん食べてください。また読者のなかにも、夏の軽井沢に思い出をお持ちの方はたくさんいるでしょう。今年も「食で地方からニッポンを元気にしよう!」をスローガンに掲げた「食」の祭典「クーカル」が、夏の終わる9月22日まで「一夏かぎりの夢のレストラン クーカル イン 軽井沢」としておこなわれています。27名のシェフが日替わりで登場する夢のレストランで、信州の豊かな食材をふんだんに使った特別な料理を味わうのは夢かしらん。
また南信州では蜂の子も今ならではの食べ物のひとつ。伊那市では先日(7月26日の日曜日)、地元の地蜂愛好会が「ハチ追い大会」を開催しました。会員同士の情報交換などを目的にした毎年恒例のもので、会員約30人が参加し、いくつもの巣を見つけたそうです。ハチ追いについては当ブログの過去記事「地蜂とりは信州の男子にとっての通過儀礼だ」に詳しく書かれています。きっと読みふけってしまいますよ。
この記事のなかに「長野県では、古くから日本一の昆虫食の地域としてイナゴ、バッタ、蚕の蛹、カミキリ虫の幼虫、地蜂などをはじめ多くの昆虫を食してきました」という印象深い一節があります。ある物好きが調べたところでは、世界には食べられる昆虫が1400種類以上いるそうです。虫を食べることを英語で「entomophagy(エンタマファジィ)」といいます。「昆虫食」という意味です。中国などでも蚕の蛹などを油で揚げて食べます。ロンドンのグルメショップではバッタの唐揚げ、サソリのチョコレートまぶし、蟻で作ったペロペロキャンディーなどが一年中食べられます。コロンビアなど蟻を食べる国は珍しくありません。
タイ国では街の屋台でバッタや虫の唐揚げを食べさせてくれます。信州でも古くから昆虫食が続いていました。なぜ虫を食べるのでしょうか? それが体によいからでもあります。また虫のなかには、肉や魚の2倍以上のタンパク質を含むものもあるからなのです。
できればうまい蕎麦を食べたいという方のために、蓼科高原では「寒晒しそば祭り」が開催されています。かつて信濃国が夏の土用のそばとして将軍家に献上していた「暑中寒晒蕎麦」を食すことができるかもしれません。厳寒期の冷たい清流に浸し、引き上げたものをひとつきほどかけて戸外の天日と寒風にさらして乾燥させ、その後は土蔵で夏までじっくりと熟成させた、そばの最高峰として復元された幻の「寒晒しそば(かんざらしそば)」を、この機会にいかが。31日まで。その31日は今年の夏土用の期間で2度目の丑の日。「二の丑の日」といいます。そして今ごろの信州各地は夏祭りの季節。旅して歩けば必ず祭りに出会えるかもしれません。
月がかわって8月。一瞬の夢のような夏山の季節で、乗鞍高原や八ケ岳の麓の山野では可愛らしい高山植物の花が色鮮やかに咲きほこります。北信州の草原や湿原にリンドウの花が咲きはじめるでしょう。そして夏の信州といえば、やはり花火。そしてその信州の花火を代表するのが諏訪湖です。夏の諏訪湖は毎日花火。不景気なんかに負けてはいません。8月にはいると、毎晩毎晩、必ず夜20時30分からおよそ15分間、サマーナイト・ファイヤーフェスティバルとして1日約800発の花火が打ちあげられます。サマーナイト・ファイヤーフェスティバルは入場無料! この時期、とりあえず花火が見たくなったら諏訪湖に来てください。荒天の場合は中止されることもあります。
また8月の15日には別会場で42000発が打ちあげられる有料の諏訪湖祭湖上花火大会が盛大に開催されるので、連続花火はこの日だけ1日休止。そして翌日からはまたこの諏訪湖連続花火大会で、9月5日土曜日の全国新作花火競技大会(有料)を経て、そして6日日曜日の最終日には12000発が打ちあげられるフィナーレ(無料)まで諏訪湖の花火はしばし夜空を焦がし続けます。
長野県の夏の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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