冬至が過ぎて、ほんのわずかではありますが、昼間の時間が延びています! 「冬至からは米一粒ずつ日が長くなる」といわれますから、二粒ぐらいは伸びたのです。寒さはいよいよ厳しくなりますが、これからは明るくなるばかり。でもつい先日まで「12月とは思えないほど寒さが来ないな」と思いながら、内心はどこかで「ほっ」としていました。ところがところが、本格的な冬将軍の到来です。雪ごいをしていた各地のゲレンデにも、一気にたくさんの雪がもたらされました。
でもそんな寒波のなか、長野市でもファッションなのか、体脂肪の燃焼効率がよいのか、半袖姿の若者を見かける機会が、かなり増えたように思うのは気のせいでしょうか。ダウン・ジャケットや革ジャンの下はTシャツ一枚がおしゃれなのかもしれません。
先週17日の木曜日からの数日間、長野県では雪が降り続きました。雪の日の早朝、編集部があります長野県JAビルからの眺めは白い靄に囲まれたかのような寒々しい様子でした(上左写真)。朝なのにどんよりとした雪空で、遠くはなにも見えず、目に見える寒さにすっぽりくるまれて、ぶるぶる震えてしまうほどです。それが晴れてきた昼間はまったく世界が一変し光りがあふれます(上右写真)が、それでも外へ出るとやはり冷たい風が身をすくませてくれます。雪晴れの日、信州の人たちは雪かきや雪片付けをして身体を温めるのです。
19日の土曜日、車で出かけようとして「唖然と」しました。車には2日間で雪が30センチ以上も積もっており、その雪を降ろすのからして大変でした。しかし北部の長野市から東部の佐久市まで移動してみると、みるみる雪の量が減っていきます。同じ日でも地域によってこれほどの違いがあるのかと、改めて驚かされました。気象庁からの情報によると、2009年の県内主要5地域(長野市、松本市、飯田市、諏訪市、軽井沢)の平均気温は昨年に比べ、1.6〜2.0度に上昇しているとのことです。寒いとはいえ、温暖化の脅威は着実に近づいているといえます。
さて、今日はクリスマス・イブですからクリスマスネタを。今夜、明晩はよりいっそう、街全体がイルミネーションやイベントなどで盛りあがりを見せるでしょう。みなさまも今夜は、パーティーの準備やお出かけ、もしくはプレゼント選びにお忙しいかと思います。ここ数日、県内のあちらこちらでクリスマスの話題を耳にしました。19日土曜日、上田市の駅前では「クリスマス・ゴスペル・コンサート」が開かれ、周囲をクリスマス気分で盛りあげていました。また、全国ニュースでも流されましたが「佐久熱気球クラブ」のメンバーが、サンタやトナカイに変身して気球に乗り、子どもたちにクリスマスプレゼントを届けて喜ばれました。プレゼントをもらった子どもたちはもちろん、主催者側も「本当にサンタになった気分」と楽しんだとか。
さらに、この日の夜は諏訪市で「諏訪を彩る光の祭典」が開幕。テーマは御柱(おんばしら)で、LED2万個を使って、12メートルの御柱がかたどられ、ライトアップされました。さらに20日の日曜日には、松本市調理師製菓師専門学校で親子を対象とした「クリスマス・ケーキ講座」が開催。作ったケーキは「ブッシュ・ド・ノエル」。どんな出来前だったのでしょうか? クリスマスにはいつもより豪華なご馳走を、手作りするいい機会かもしれません。JA中野市の女性大学でも、クリスマス向けにフラワーアレンジメント教室が行われました。先日「長野県のおいしい食べ方」でもご紹介しました、「ユーフォルビア・フルゲンス」も、今日明日が本格的な出番です。ほとんどが都心部へ出てしまうとのことでしたが、県内長野市内では長野駅近くの園芸店「ナガノ・タネ」で、ユーフォルビアを購入することができます。
クリスマスがすぎれば、いよいよ年越しです。21日月曜日、長野市にあります善光寺で「おそなえつき」(正月のための餅つき)が行われました。お正月の準備も忙しくなってきましたね。ところで年末年始、みなさんのお宅ではどんな料理を食べますか? この機会に長野県の年末年始の食文化について、少しだけご紹介します。長野県の中信地区の家庭では大晦日の晩に“ブリ”を食べる習慣があります。この“ブリ”は普段の3倍くらいの大きさで、大き目の皿でも足りないくらいです。この大きなブリの塩焼きを食べるほか、ブリのあらと一緒に収穫したダイコン、ジャガイモなどを粕汁仕込みで煮込んだあら煮は、古くからの家庭の味です。元旦の朝食は、ご飯にすり下ろした長芋をかけたとろろご飯と焼いた大羽いわしです。とろろは、器に入れてかき混ぜればかき混ぜるほど空気が混ざり込み、かさ(量)が増え粘りも出ます。30分ぐらいかき混ぜます。また、元日の日ではなく、2日の朝食にお雑煮を食べる家庭もあります。
お雑煮の汁はお澄ましです。入れる餅は、以前はもち米を蒸かして杵と臼でついていました。蒸かし上がったもち米を冷たい水に濡らした手のひらに取り頬張ると、炊き上がりのなんともいえない香りと甘味で幸せな気持ちになりました。時代も変わる中で、そのうち餅つき機に代わり、今はJAグループが消費拡大に取り組む県産もち米を使った「生切りもち」です。具はダイコン、ニンジン、ホウレンソウを乗せていただきます。
年末年始の迎え方もだいぶ変わってきているようですが、地域によって異なるお正月料理を食べると「年末年始を迎えたな」と思うようになりました。古くから伝わる習慣ですが、核家族化が進む中で廃れてしまった部分もあるかもしれません。出来る限り守っていければと思います。
*巻頭のカバー写真を入れ替えました。朝、長野県佐久市望月の道端で見つけた霜に耐えるクローバーです。この日は雪は降らなかったものの、とても冷え込んだ朝でした。人通りのない静かな場所でしばらく歩いていると、周囲の霜に覆われた草木が朝の太陽に照らされて、キラキラと光っていました。気づけば寒さはどこかへ吹き飛んでしまい、しばらく眺めていました。特別なものはなにもない場所でしたが、少しだけ幸せな気持ちになりました。
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●25日はクリスマスで上弦の月。見あげた夜空の月が満月になるとお正月です。キリスト誕生以前の紀元前、中央アジアの草原から馬と車輪のついた乗り物でヨーロッパに移動し、ストーンヘンジを残した人たちにケルト呼ばれる人たちがいました。古代ローマの人たちは彼らを「ガリア人」と呼んでいます。古代ケルト人は、1年を4分割して認識していました。冬至、春分の日、夏至、秋分の日が、それぞれの時節の区切りになります。4つの特異日は1年という輪を描いて巡っていますから、それぞれがひとつの終わりでありはじまりでした。クリスマスのもとになったものもまた、もともとは冬至の日の影響を受けた1年の終わりであり新しい年のはじまりを告げる盛大な祭りだったと考えられています。そしてイエス・キリストの誕生がその頃に起こったことで、のちに彼の誕生を祝う祭りへとかわっていったのだと想像されます。ケルトの人たちの影響を受けて、今も欧州などではクリスマスは12日間続くとされています。
28日は官庁の御用納めの日。激動の只中にある今年は、官公庁では御用納めが出来るのでしょうか? それでもお正月は近づいています。30日、水曜日はブログマガジン「長野県のおいしい食べ方」の更新日ですが、この日は休刊。そして31日は大晦日(おおみそか)、信州では信州そばで年越しをする日です。もともとは毎月の最後の日に蕎麦を食べる習慣が江戸時代にあったのだといわれていますが、12月の最後の日だけの習慣になってしまったのです。
そして月がまん丸になる日。満月。2010年、平成22年、1月1日、金曜日。31日の夜中の12時を過ぎた途端に、「ハッピー・ニュー・イヤー!」「明けましておめでとうございます」という言葉が飛び交う、日本国で最も大切とされる年中行事の日です。「新しい希望と決意とを持って新しい年の始めを祝う日」と法律できめられている国民の祝日のひとつ。人びとは神社にお参りに行き、雑煮やおせち料理を食べてこの日を祝います。原則的に欧米ではこの日1日しか休みませんが、日本はお正月を中心に動いている国なので、まだしばらくお正月気分は続きます。2日は初夢の日。1日の夜から2日の朝にかけてみる夢のことではなくて、2日の夜から3日の朝にかけてみる夢が初夢とされているのです。2日はまた書き初め、山村での仕事はじめとされる初山入り、山初め、漁村での仕事始めである舟の乗り初め、初舟、農村での仕事始めである農初め、商店の初売り、姫初めなどなどが儀式として行われます。
4日は官公庁、JAも、そしてほとんどすべての会社も御用始め。5日は二十四節気のひとつ「小寒(しょうかん)」。寒さがより厳しさを増す、寒の入りです。暦便覧には「冬至より一陽起るが故に陰気に逆らう故益々冷る也」と記されています。ますます冷えるなりというところが、現実味をおびていますね。5日の夜は、西洋では、12日間続いた冬至の祭り・クリスマスの開ける十二夜とされています。この夜はシナモンをきかせたスパイシーな温かい赤ワインや子どもたちは温めたグレープジュースなどで、みな健康を祝して乾杯をあげる風習があります。
次号の「長野県のおいしい食べ方」は気持ちの改まった1月6日に配信と更新が行われます。
みなさまよいお年をお迎えください!
長野県の冬の特徴 長野地方気象台のウェブサイトより
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