長野県にはいわゆる野菜の直売所がたくさんあって、どこもとれたて新鮮な野菜がいっぱい並んでいます。安くて旬の野菜のおいしさを存分に味わえるのはやはり直売所ならでは。でも、ちょっとお待ちください。直売所には、野菜だけではなくて、地元のおかあさんたち手づくりのおやつもたくさん並べられているのをご存じでしたか? ということで、珍しくて、どこか懐かしい、地域限定のおやつを、これからしばらく毎週ご紹介していきます。その第一回目は、長野市篠ノ井にあるおかあさんの味処「たんぽぽ」でみつけた「犬石ものがたり」と「おからん棒」の2品です。
妙に懐かしい素朴な味
長野市の郊外、長野オリンピック道路から松本・白馬方面へ向かって小松原トンネル、犬房トンネルを越えたところに、おかあさんの味処「たんぽぽ」があります。そこでは新鮮自家野菜の直売、おやき、豆腐、漬け物などが販売されているのですが、そのなかに「犬石ものがたり」と名づけられている渦巻きかりんとうを見つけました!
さっそく袋を開けていただいてみると、あらら、昔なつかしい、とっても素朴な味。聞けば、長野市信里地区の犬石という集落に伝わる、古くからお盆に仏様にお供えする揚げ菓子なんだそうです。発売当初から好評で、今も一番人気! 昔からそのあたりの各家庭でもおやつに食べていたものです。その頃はたまごがあまりふんだんになかったので、もう少しかたかったとか。飽きのこない純粋なお粉の味がして、なかなかいけます。
次は「おからん棒」。ご覧ください、ゴマが入った棒状の揚げ菓子です。おもしろい名前でしょう。平成8年にNAGANO料理コンクール土産部門で入賞したという味わい深いお菓子です。豆腐から出るおからを再利用した、甘味を抑えた子どものおやつに最適なヒット商品。子どもが手に持って食べるにはちょうどよい大きさです。おからが入っているので香ばしくて、ついつい手が出てしまうほど。きっとあなたもやみつきになることまちがいなし。
口コミで広まっています
ちょうどお店で「おからん棒」を作っているところを見させていただくことができました[写真]。おからとゴマの入った生地をのばして棒状に切り、そして中温の油でこんがりと色が付くまで揚げます。
揚げたてはやわらかく、冷ますと乾燥してかたくなって食べやすくなるのです。「おからん棒は、コーヒーと一緒に食べるのが一番おいしいのよ。やめられなくなっちゃうのよね」とたんぽぽのおかあさん。
たしかに、香ばしくて、しかも甘さ控えめなので、ビールのおつまみにもいいかもしれません。犬石ものがたりもおからん棒も、どちらも地域の口コミで広がって、遠くの親戚などからも送ってくれないかという注文が入るのだそうです。
農業大好きなおかあさんたち
この昔懐かしいお菓子たちを作るのは、長野市篠ノ井信里地区の農家の女性26人からなる有限会社「たんぽぽ」のみなさん。たんぽぽの会は、「女性農業者セミナーいきいき主婦講座」をきっかけに、少子高齢化による後継者不足で農業離れが進み耕地放棄地も増えていくなか、健康で、楽しみながら、収入のある効率的な農業をしよう、そして地域が元気になる農業がしたいと、そんな願いから平成4年4月に発足した会で、今年で15周年を迎えました。当初は女性がこんなことをはじめていつまでできるかと、冷ややかだったそうですが、今ではみんなよき理解者・協力者だとか。「とにかくメンバー全員が農業大好き!なんです。楽しいし夢一杯の職業だと思いますね」とお店のおかあさんは笑顔で話してくれました。
そんなお母さんたちが心を込めてつくる昔なつかしい味、今日のおやつにいかがでしょうか。
そうそう。味処「たんぽぽ」は、また、田舎の味を提供するレストランでもあります。「薬膳おやきセット」や「野菜たっぷりカレー」が人気のメニュー。その日に取れた新鮮野菜を調理した逸品で、他ではまずお目にかかれない料理です。お立ち寄りの機会にはぜひこちらもお試しを。
おかあさんの味処 たんぽぽ
問合せ先 電話026−229−2948
長野市篠ノ井秋古8831−19
(定休日 毎週月曜日)