農作物が育つときの土壌の役割は、しっかり作物を支え、根に水や養分を送ることにあります。良い土壌かどうかの判断は「化学性・物理性・生物性」という3つの視点から行われます。その中でも、土壌の化学性(土壌に含まれる養分)の多い・少ないを評価する土壌診断は、農作物を安定して生産するためにはとても重要です。
土壌診断が事業として始まった当初は、必要な養分がどれだけ不足しているのか、酸性の強さはどの程度かという、もっぱら土壌養分の不足状態を把握することが目的でした。次第に化成肥料が十分に出回ることによって土壌の養分は充たされました。しかし、今日では土壌養分が必要以上に溜まっている農地が多く見られるようになりました。
養分が適正基準より多いからといって、良い土壌というわけではありません。土壌中の養分が多すぎると、場合によっては作物が健全に育たなくなることもあります。
また、肥料の原料は限られた資源であり、その多くを海外からの輸入に頼っています。地球人口の増加に伴って、近年肥料の原料も他の資源と同様に、世界各地で需要が増えています。資源のない国である日本では、限られた資源を効率よく利用していく必要があります。