果物

こんなにうまい甘柿が長野県で作れるなんて

elder_kasahara.jpg秋ですねえ。日本の秋を代表する果物に「柿」があります。

柿は長野県でも栽培されていて、庭木にも多く利用されてきました。高地で気温が低いことから甘柿よりも渋柿の栽培に適し、また乾燥した気候が干し柿の生産に向いているため、干し柿の生産量は全国で第2位。特に長野県の南部、下伊那地方の「市田柿」が有名なことは多くの人たちの知るところ・・・なのですが、今回は、太陽と風で甘くする渋柿ではなく、最初から甘い甘柿を栽培している長野市豊野町の笠原保治さん(83)を訪ねました。

kaki_tree.jpg「豊生」と「文太郎」
笠原さんの家の庭では、実にゴマが入る甘柿が、まさに今、収穫の最盛期を迎えています。その名も「豊生」(ほうしょう)と「文太郎」(ぶんたろう)。「豊生」は、豊野町の「豊」からとられたものではなく、昔からある柿だそうで、明治20年ごろ、豊野町のさる人が、お伊勢参りに行った際、彼の地で苗木を買ってきて植えたのがきっかけだったとか。こなた「文太郎」は、同町の井上文太郎さんという人が広めたのがきっかけで、その名がついたもの。両者とも豊野町に伝わる昔からの柿なのであります。

文太郎のほうが若干大きめで、糖度も、豊生16〜17、文太郎が17〜18と、文太郎のほうが少し高いのだそうです。今年は、8月に高温の日が続いたせいか、生育がやや遅れ気味だといいますが、それでも出来は上々、甘味十分と自信たっぷりで満足げな笠原さんです。

うまい柿を作りたい
笠原さんは、元はJAの職員でした。退職後は自家用として野菜やお米と、少しではありますが、りんごやプラムを直売所に出していたのですが、昔、お母さんの実家で食べた柿の味がどうしても忘れられず、

kaki_fruits.jpg
左側が「豊生」で右側が「文太郎」

「こんないうまい柿を産地化できればいいな」

と柿の栽培に本腰を入れることになりました。

「色がついてくればそろそろかな・・・」と、毎日そわそわと落ち着かなくなります。「量は少ないけど、おいしかったと喜んでもらうことがなにより」とにっこり。

ただ、いくら甘柿といえども、全部が全部ちゃんと甘いとは限らず、渋を見分けるには色や形でわかる場合もあるけれど、これがなかなかむずかしいのだとか。

だからサルは怒った
ところで、みなさん、柿ってどうやって作るのかご存じですか?

柿の苗は接ぎ木をして作ります。昔話の「さるかに合戦」のなかでは、カニがおにぎりと交換した柿の種をまくと、芽を出した柿が大きくなって、やがて実をつけ、サルが木に登ってその実を独り占めにして食べてしまいますよね。

ところが実際には、タネから大きくなった苗は、ほぼ間違いなく渋柿になるのだそうです。だからサルは、食べた柿が渋かったので怒って柿の実をカニに投げつけたのでしょう。

柿農家では、種をまいて作った苗に、栽培種の種木を接ぎ木した苗を、畑に植えます。「桃栗3年、柿8年」といいますが、上手に育てると3年目ぐらいから実をつけはじめるのだそうです。

豊野町甘柿研究会始動
豊野町では、2001年から地元JAで苗木の注文、配布を開始したところ、05年までに約200戸で566本が定植され、栽培が増え、関心度は上がってきているというのですが、まだ、市場へ出荷するというところまではいってないそうです。

さらにまた、笠原さんは、柿を豊野町の特産とするため、「豊野町甘柿研究会」を立ち上げようと呼びかけをし、柿栽培技術の向上をめざしています。「柿の木は低いので作業が楽だし、手間もかからない。高齢化する農業には最適なのさ」

そのようにしてなるべく労力のかからない「柿」の栽培農家を増やし、ワインやジュースなどもを作っていきたいと、笠原さんの農業者としての夢は広がります。

どこで手にはいるの?
今回紹介した甘柿「豊生」と「文太郎」は、「JAながのアグリながぬま」と豊野温泉「りんごの湯」にある直売所でお買い求めいただけます。今月の中旬くらいまであります。ぜひ機会を見つけてお立ち寄りのほどを。

JAながのアグリながぬま
長野県長野市大字穂保274−1
TEL:026−295−1093
営業時間:AM9:00〜PM6:00
休業日:年中無休(正月を除く)
アグリながぬまウェブサイト

豊野温泉 りんごの湯
長野県長野市豊野町石417
TEL:026−257−6161
利用時間:AM10:00〜PM10:00
定休日:第4火曜日(祝日の場合は翌日)12月31日
りんごの湯ウェブサイト

関連記事

おいしさは『手間』の結晶 市田柿
加工品

おいしさは『手間』の結晶 市田柿

早く食べたい。でももう少し。初冬の手仕事 干し柿づくり
果物

早く食べたい。でももう少し。初冬の手仕事 干し柿づくり

10月には豊秋というリンゴを食べてほしい
果物

10月には豊秋というリンゴを食べてほしい

市田柿はなぜ市田柿として特別な存在なのか
加工品

市田柿はなぜ市田柿として特別な存在なのか

新着記事