信州といえば「蕎麦」をイメージする方も多いのでは?蕎麦切り発祥の地とも言われているここ長野県には、多くのお蕎麦屋さんが立ち並びます。今回は、そんな蕎麦の「つなぎ」のお話。長野県にはオヤマボクチという山菜を用いた「つなぎ」があるんです。
オヤマボクチの葉を練りこんだ笹団子
やって来たのは長野県北部に位置する小谷村(おたりむら)。積雪が多いことで知られるこの村では、毎年冬場になると多くの観光客でスキー場が賑わいます。また、この村では、大昔からオヤマボクチの葉を用いた餅を食べる文化が存在しており、現在では、オヤマボクチの葉を利用した『笹団子』を生産するグループなども活動しています。
オヤマボクチとは、山菜のヤマゴボウの一種で、「ゴンボッパ」「ヤマゴンボ」「ウラジロ」と呼ぶ地域もあるそうです。その語源は、葉の裏に生える繊維を、火おこしの時に火口(ぼくち)として使っていたから、と言われています。
オヤマボクチ
また、月日が変わるごとに鮮やかに色味が変わっていくオヤマボクチの花には、近年少しずつ注目が集まっており、小谷村でもオヤマボクチの花を用いた地域おこしを模索しています。
オヤマボクチの花
月日が経つと色味が変わる
蕎麦は、そば粉100%だけ打つと、パサパサした状態になってしまい、まとまりづらい特徴があります。そこで出てくるのが「つなぎ」です。つなぎとは、簡単に言えば、蕎麦を打ちやすくし、切れにくくするために混ぜるもののことを指します。お店によって、卵や山芋などをつなぎとして使用するケースもありますが、一般的には小麦粉を用いています。しかしながら、小麦粉をつなぎに使用した蕎麦には、どうしても小麦の風味が残ってしまうことに加え、蕎麦の味が薄くなってしまうと言われています。
そんな中、オヤマボクチを使用したつなぎは、小麦粉に比べ蕎麦が切れにくく、オヤマボクチ自体に風味がない、といった特徴があります。風味がないからこそ、蕎麦本来の風味が味わえるんです。幻のそばとも言われている県北部・飯山市の「富倉そば」も、オヤマボクチを使用したつなぎを用いています。
オヤマボクチを使用したつなぎの作り方はいたってシンプル。乾燥したオヤマボクチの葉を専用機械で粉砕し、粉砕したオヤマボクチの中からつなぎで使用する繊維の部分を抜き取ると完成!
乾燥したオヤマボクチ
完成したつなぎ
今回取材協力してくれたのは、栽培オヤマボクチの生産量全国第一位を誇る「おたり山菜の会」の中村勲会長と小谷村集落支援員の細澤洋一さんです。山のものを採れば山の資源がなくなってしまうとして、「おたり山菜の会」では"採る山菜から育てる山菜へ"をモットーに、山からの採取はできる限り必要最小限にとどめ、採取したオヤマボクチの種を用いて、村にある遊休農地で栽培するという手法をとっています。
「おたり山菜の会」の中村勲会長(右)と小谷村集落支援員の細澤洋一さん
近年、家庭でのオリジナルの蕎麦作りが流行ってきています。おたり山菜の会のオヤマボクチは、全国配送も行っており、オヤマボクチ蕎麦の作り方レシピも同封されていますので、皆さんもオヤマボクチのつなぎを使って本格的な自家製蕎麦を打ってみませんか?
■販売先・小谷商店・道の駅 小谷・おたり名産館・Aコープ白馬店2.5g × 5パック 1350円(税込)5g × 5パック 2700円(税込)※業務用サイズもございます。ご相談ください。つなぎ2.5gで、そば粉500gを使い、約5人分のそばが打てます。■オヤマボクチのお問合せ先おたり山菜の会090-2761-4839
こちらは 2015.01.20 の記事です。農畜産物や店舗・施設の状況は変わることもございますので、あらかじめご了承ください。
あぐり君
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