姨捨は高齢者を捨てるところではありません

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迫ってきたゴールデンウィークを控え、旅行の計画をたてていらっしゃる方も多いことでしょう。その行く先に長野県、とりわけ北信地方を組み込んでいる方にぜひともお勧めしたい観光スポットがあります。それは千曲市の姨捨(おばすて)というところです。JR篠ノ井線姨捨駅には姨捨の由来となった昔話がたてられています。読んでみましょう。


昔、信濃の国に年寄りの大嫌いな殿様がいた。彼は、70歳になった老人は山へ捨ててくるよう国中におふれを出した。ある月明かりの夜、一人の若者が年老いた母を背負って山に登って行った。彼の母親は70歳になったので山に捨てなければならなかった。

とにかく景色のよいところ
この姨捨駅を通るJR篠ノ井線から眺める風景は、日本三大車窓といわれ、長野自動車道姨捨SA(サービスエリア)からの夜景は新日本三大夜景・夜景100選事務局が選ぶ日本の夜景100選にも選ばれました。また、姨捨の棚田は日本の棚田100選に選ばれており、姨捨駅は日本経済新聞が行った「訪ねる価値のある駅」というランキングで、堂々第2位に選ばれたといいますから、実に色々な記録になる価値を持つ土地なのです。

冒頭には姨捨駅から見渡す善光寺平の風景を昼と夜、写真を掲載しました。しかし、昼にしても夜にしても、どうしても写真ではその素晴らしさを伝えきることができません。自分の眼に見える夜景はもっと鮮明に街の明かりが飛び込んでくるはずです。昼には棚田を見下ろし、天気が良ければ、北信5岳の飯綱山や戸隠山などを望むこともできます。

なぜ「姨捨」なのか?
obasute_station.jpg姨捨駅は急勾配の途中に作られた駅で、全国的にも珍しいスイッチバック方式という方法で電車が止まるため、全国の鉄道ファンにも有名な駅です。この駅舎の入口脇に、先ほど前半で読んだ信濃の国に伝わる姨捨伝説の書かれた看板があるのです。

このご時世、なんだかとても昔の話とは思えないような背景設定ですので、そこに記された伝説の続きを読んでみてください。そこになにか普遍的な教えがあるかもしれません。


しかしいざ山に登り、捨てるという時に、どうしても捨てることが出来ず、そのまま母を背負って山を下り、こっそり床下に穴を掘って母をかくまっていたのである。さて、そのころ、殿様のもとへ、隣国から使者がやって来て「灰で縄をなえ、九曲の玉に糸を通せ、さもないと国を攻める。」という難題をもちかけてきたのである。困った殿様は、おふれを出し、この難題を解ける知恵者を探し求めた。これを知った若者が、床下の母に尋ねると、母は塩水にひたしたワラでなった縄を焼けばよいこと、玉の一方に蜜をぬり、その反対側から糸をゆわえたアリを通せばいいと教えてくれた。若者は、さっそく殿様に申し出て、この方法を知らせたのであった。すんでのところで国難を救われた殿様はたいそう喜び、若者にほうびをとらせようとした。「なんなりと申すがよい。ほうびは望むままに進ぜよう。」「ほうびはいりません。ただ、老いた母を助けてください。実は、この知恵を授けてくれたのは、70歳になった私の母です。」若者は、涙ながらに母親のことを打ち明けたのである。国難を救ったのが老婆の知恵であると知った殿様は、いたく感銘し、この時はじめて老人を大切にすべきことを悟ったのだった。むろん姨捨のおふれはほどなく廃止されたということである。


天気の良い日に訪れてください
感慨にひたりつつ姨捨駅から少し歩けば、有名な棚田が広がります。いまの時期ではまだ水張りも田植えも行われていませんが、棚田と善光寺平一帯が眼下に一望できるその景観は一見の価値ありといえます。また、付近にある長楽寺というお寺には松尾芭蕉ほか多くの俳人の句碑があることからもわかるように、中秋の名月の夜には多くの月見客が訪れるそうです。そこから車で15分ほど行けば、戸倉上山田温泉。本誌過去記事に登場したた居心地のいいカフェ「都ャ」さんはこちらにあります。

JR新幹線長野駅から姨捨駅までは普通電車でおよそ30分。特急や一部快速電車は停車しないのでご注意を。ドライブでしたら、姨捨SAまでは長野IC(インターチェンジ)から車で15分ほどです。

関連サイト:

arrow2.gif Wikipedia 姨捨山のページ

arrow2.gif Wikipedia 姨捨駅のページ

arrow2.gif 千曲市名所探訪:さらしな・姨捨名月の里(千曲市観光情報サイト ピピッと千曲市)

arrow2.gif 新日本三大夜景・夜景100選のサイト

arrow2.gif 姨捨山 長楽寺 公式サイト

本誌過去記事:

indexarrow.gif ゆっくりとした時間が流れるカフェで朝食を

indexarrow.gif わざわざ見に出かけるだけの価値がある風景

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